教育を考える 2021.1.8

いま、幸せですか? 子どもを幸せ体質にする親の特徴6つ

長野真弓
いま、幸せですか? 子どもを幸せ体質にする親の特徴6つ

2020年に発表された「レポートカード16-子どもたちに影響する世界:先進国の子どもの幸福度を形作るものは何か」(ユニセフ・イノチェンティ研究所調査)で、日本の「子どもの幸福度」は先進国38ヵ国中、20位でした。2013年に行なわれた前回調査の6位からかなり順位を落としています。特に「精神的幸福度」については、生活満足度の低さや自殺率の高さが影響し、ワースト2位という結果に。

健康や学力、経済面はトップクラスなのに、子どもが幸せを感じられないという事実。どうしたら、子どもたちは「自分は幸せ」と思えるようになるのでしょうか。今回は、「子どもの幸せ」「子どもを幸せ体質にする親の特徴」について考えてみます。

「幸福の4因子」があれば人は幸せになれる!

人はどうすれば「幸せ」を感じられるのでしょうか? 心理学・統計学をベースとし、「人はいかにすれば幸せになれるのか?」を追求する学問「幸福学」の第一人者である前野隆司氏(慶應義塾大学大学院教授)は、幸せを感じるための要素として、「幸福の4因子」を挙げています。

やってみよう因子
幸せを感じるためには、やりがいを見つけること。小さなことでもいいので、何かトライすることがとても有効です。新しい学びを得て、成長することに、人は幸せを感じるのです。

 

ありがとう因子
「感謝の気持ち」をもっている人は、周囲といい人間関係を築けるため、幸せを感じやすいそう。また、人を喜ばせたいという気持ちがある人も、相手から感謝されることが多く、幸せを感じることができます。

 

なんとかなる因子
リスクテイクできることは大きな強みになります。「なんとかなる!」と失敗を恐れずチャレンジできる人は、自分の世界が広がり、幸せへの道筋を見いだすことができるでしょう。

 

ありのまま因子
人との比較で勝って得た幸せは、長続きしないことがわかっています。「人は人、自分は自分」と、ありのままの自分を受け入れることが、幸せにつながります。

つまり、「幸せな人」というのは、「自己肯定感が高く、利他的で、人への感謝を常にもち、楽観的である人」と言えるでしょう。

前野氏によると、不幸せな人は視野が狭くなりがちなのだそう。抱えている問題に対し、その一点しか見ていないため、袋小路に入り込んで出られなくなってしまうのです。反対に、幸せな人は、物事を俯瞰して見ることができるため、視野が広くなり、さまざまな解決策を出すことができます。解決策が出せれば、「なんとかなる」と考えられるため、楽観的にもなれるというわけです。

そして驚くべきことに、「幸せな人」は「不幸せな人」よりも、寿命が7~10年長く、仕事の創造性は3倍、生産性は1.3倍になるという研究結果も出ています。幸福学についてもっと詳しく知りたいという方は、前野氏の著書『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』を読んでみてはいかがでしょう。「幸せは自分でコントロールできる!」と断言している前野氏が、幸せの仕組みをロジカルに解き明かしています。

幸せ体質な子ども1

子どもの知的好奇心を育てる3つのポイント
PR

子どもの幸せの鍵を握っているのは、親

ところで、いま、あなた自身は幸せですか? なぜこんな質問をしたのかというと、親の幸せが子どもの幸せに大きく関わっているからです。

世界に通用する子どもの育て方』の著者で、臨床心理学医学博士の松村亜里氏は、「子どもの幸せの鍵を握っているのは、親である」と言っています。どんな親でも子どもの幸せを願って、いろいろしてあげたいもの。しかし、まじめな人ほど、子どもを差し置いて自分の幸せを追求することに後ろめたさを感じてしまうようです。

実際に、この後ろめたさを感じたことのある方は多いのではないでしょうか。ですが、「自分の欲求を我慢して子どもにばかり尽くしてはいけない」と前野氏は言います。尽くした先に生まれる、「ずっとそばにいてほしい」という束縛する気持ちは、子どもの自由を奪います。それに、子どものためにどんなに頑張っても、イライラして子どもにあたってしまっては本末転倒です。

また松村氏は、もっと個人の強みにフォーカスするべきだと言います。日本人はつい弱みに注目してしまいがちですが、研究によると「自分の強みを知っている人は幸せになる」と証明されているのだそう。「人前で話すのは苦手でも、自分の考えをまとめることは得意」「飽きっぽいけど、新しいことにチャレンジするのは好き」というように、誰にでも「その人なりの強み」があるはず。

これからAI化が進む未来に生きる子どもたちには、強みを生かし、価値を自分でつくり出していく力が絶対に必要なのです。まずは親自身がそのお手本になるべく、自分の強みを見つけ、幸せを積み重ねていく姿を子どもに見せましょう。

親が毎日楽しそうに生きていれば、子どもは「自分もそうなりたい!」と思うもの。まさに「子は親を写す鏡」。ですから、「親自身が幸せになることはわがままでも勝手なことでもなく、むしろ子どものため」なのです。

幸せ体質な子ども2

子どもを幸せ体質にする親の特徴6つ

前述した「子どもの幸福度」の調査で、1位に輝いた国はオランダでした。オランダの子どもたちには、いわゆる「反抗期」もないのだとか。日本とオランダ、何が違うのでしょうか。どちらも、安全で物質的にも恵まれて、十分な教育を受けられることは、共通しています。

違いは「その幸せを感じることができるかどうか」にある模様。そこには親の影響も少なからずあることは先に述べました。子どもを幸せ体質にしているオランダの親たちの特徴に、改善の糸口を探してみましょう。

特徴1:子どもを「できる子」に育てようと思っていない

オランダの親は、「頭がいい子」に育てる教育法などにあまり関心がありません。ですから、知育DVDを子どもに見せたり、幼児向けの習い事をさせたりする親はほとんどいないようです。親たちは、自分の子どもが「頭がいい子」に育つよりも「明朗でのびのびとした子」に育つことを願っています

特徴2:子どもの外遊びに付き添わない

親の付き添いなしで外で遊ぶ子どもの姿は、オランダでは珍しくありません。よちよち歩きの子どもふたりが公園の滑り台で遊んでいても、親たちはベンチに座っておしゃべり。危ないからと横で見守ったり、「そこは触ったらダメよ」なんて言ったりはしません。オランダの子どもたちは外遊びで自由を満喫できるのです。

特徴3:「ダメ」「~しなさい」と言わない

オランダの親は、子どもに意見を押しつけることを嫌がります。しつけとして “指示する” ことも良しとしません。その代わりに、「~してほしい」という親の意思を、その理由とともにきちんと伝えるのです。そして、それをやるかどうかは子ども次第。考えさせて、行動は子どもに委ねます。

特徴4:とにかく忍耐強い

子どもと同等に向き合うことを常としていて、子どもの意向を確認しながら物事を進めるので、何事にも時間がかかります。そのため忍耐力は不可欠。子どもは大人のように、効率的に動くことができません。それでも、オランダの親たちは子どもの判断を待ちます。子どもを信じているからこそ、意志を尊重できるのです。

特徴5:完璧主義ではない

以前、ニューヨークタイムズで「オランダ人女性はなぜうつにならないのか?」と取り上げられたことがあります。その理由のひとつは、オランダの人は「完璧主義」でない人が多いから。「理想の自分」をつくりあげたり、人と自分を比較して落ち込んだりということが少ないのだそうですよ。

特徴6:自分時間を大切にしている

オランダは「パートタイムワーキング大国」。ワークシェアも進んでおり、自分に合ったライフスタイルを選ぶことができます。また、オランダの親たちは自分の時間を必ずもつようにしています。そのちょうどいいライフワークバランスこそが幸福感につながることを、オランダの親たちは知っているのです。

オランダで、幸せのベースになると考えられているのは「平等主義」です。みなが平等であることで、比較、嫉妬、葛藤などの精神的ストレスがかなり減ります。それは親子関係でも同じ。親は子どもと対等でありながらも、人生の先輩として、「よいお手本」となることが推奨されています。親がよい行動と幸せな様子を見せることで、子どもの「幸せ感度」も自然と高まっていくのでしょう。

***
「幸福度研究」の第一人者であるオランダ・ロッテルダム エラスムス大学のルート・フェーンホーフェン教授は、「幸せは、生活満足度」だと述べています。経済的な豊かさではなく、「どれだけ生活を楽しんでいるか」ということが幸せにつながるのです。オランダの親たちはその点に価値を見出して、実践しています。もちろん、それぞれの国の文化、慣習、社会システムがあり、それぞれの家庭事情もあるので、すべて同じというわけにはいかないでしょう。それでも、オランダの事例に学ぶことは多いですね。

(参考)
Rese Mom|「親が幸せになることが大切」幸せな子どもを育むポジティブ心理学 松村亜里さん
unicef|ユニセフ報告書「レポートカード16」発表 先進国の子どもの幸福度をランキング
STUDY HACKER|幸福学が証明「幸せな人はいろいろお得」――今日から始められる“幸せ習慣”教えます
STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「子どもは宝物だ」という思考が危うい訳。子を思うなら親は“自らの幸せ”を追求すべき
YouTube|Well Being~幸福の4因子〜
リナ・マエ・アコスタ 著, ミッシェル・ハッチソン 著, 吉見・ホフストラ・真紀子 訳(2018),『世界一幸せな子どもに親がしていること』, 日経BPマーケティング.
親力|あなたは待てる親? 待てない親?待てる親だけが子どもを伸ばせる