からだを動かす 2019.4.12

もう「かけっこ」の練習で悩まない! 速く走るコツをまるっと教えます

編集部
もう「かけっこ」の練習で悩まない! 速く走るコツをまるっと教えます

子どもが体を動かす機会が減った現代、「うちの子はかけっこが苦手……」と気にしている親御さんも少なくないようです。

そこで今回は、うまく走るコツや、楽しいかけっこイベントをご紹介します。かけっこに自信が持てれば、運動会への準備となるだけでなく、日頃の体育の時間も楽しくなること請け合いですよ。

かけっことは

そもそも「かけっこ」とは何なのか、まずは明らかにしたいと思います。小学館の『精選版 日本国語大辞典』によると、かけっこは漢字で書くと「駆こ」。意味は「駆競(かけくらべ)」と同じで、走ってほかの人と競うことです。

また学習指導要領において、かけっこは小学校中学年で指導される内容です(低学年では「走・跳の運動遊び」、高学年では「短距離走」)。「調子よく走る」技能を身につけることを目的に、「前後に腕を大きく振る」「軽く前傾する」など、走り方の基本が教えられます。つまり、かけっことは、遊びと競技の中間に位置する、走り方の基礎を身につけるための運動だといえるでしょう。

かけっこはスタートの姿勢が大事!

かけっこで速く走るのに大事な要素のひとつは、スタート時の姿勢です。かけっこ指導で知られ、株式会社ジムプロの運動教室で指導員を務める安藤典弘氏によると、正しい姿勢は以下のとおり。

上半身は前傾し、足は前後に開く。腕は足と逆側を前にするのが正しい姿勢だ。苦手な子供は上体が垂直だったり、前に出す足と手が同じ側だったりする。前に出す足は片足跳びがしやすい方。前傾の角度の目安は「前に出す方の足だけで立って上体を前に倒していき、バランスが取れる限界程度の角度」。

(太字による強調は編集部が施した)
(引用元:産経ニュース|かけっこが速くなるコツ 「腕の振り」を前後にしっかり、「スタートの姿勢」は前傾で

前傾姿勢になるのは、体の重心を前に持っていきやすくするためです。株式会社エボーリュのヘッドコーチで、大学や企業でランニングの監督を務めた経験を持つ弘山勉氏によると、胴体を前に倒せば重力に従った加速度運動ができるそう。それに合わせて脚を動かすと、少ない労力で走れるとのことです。

かけっこにおいては、走る前の姿勢が大事。ぜひ、お子さんに教えてあげてください。

かけっこは腕の振り方が大事!

かけっこにおいては、腕の振り方も大事です。上述の安藤氏によると、「肘を自然に曲げて体の横で前後に振る」のが正しいやり方なのだそう。

肘を後ろに強く引くイメージで行うといい。スタートの合図と同時に、前に出している腕を後ろへ思い切り強く引く。

(引用元:同上)

速く走るには腕を振ることが重要、とはよく知られていますが、それには科学的な理由があります。ランニングインストラクターの斉藤太郎氏によると、腕を振るのは、それによって生まれたリズムを「背骨を通して下半身の足運びにつなげる」ため。走りに合わせて腕を動かすのではなく、腕に合わせて脚を動かすのです。

かけっこは、脚だけで走るのではなく、腕を使って走るもの。お子さんによく意識してもらうとよいでしょう。

かけっこが速くなる練習と教え方

かけっこの基本はわかりました。では、速く走るために、子どもはどんな練習を行い、親はどんな教え方をすればよいのでしょう?

まずは、腕を振る練習。短距離走でオリンピックに出場した経験があり、中京大学で短距離走のコーチを務める青戸慎司氏は、大学院のスポーツ科学研究科でかけっこの指導法を研究した成果として「青戸式かけっこ指導マニュアル」をまとめ上げました。それによると、腕を振る練習は以下のとおり。

  1. 生卵をそっと握るイメージで、両手を軽くにぎる。
  2. その状態で脇を締め、肘を直角に曲げ、「小さく前にならえ」をする。
  3. 手のかたちとひじの角度を保ちながら、腕を前後に大きく振る。
  4. 20回ずつ3セット繰り返す。セットごとにスピードを速める。

 

また青戸氏は、前傾姿勢でスタートする練習のやり方を「倒れこみスタート練習」として提案しています。

  1. スタートラインに立つ。
  2. 背中と脚を伸ばしたまま少しずつ前に傾く。
  3. それ以上体を支えられない角度になったら、ももを上げて走りはじめる。

 

親は子どもに動画を見せたり、横から見守って姿勢に注意したりなどサポートしてあげましょう。運動が苦手な人こそいっしょに練習してみると、子どもの気持ちになってアドバイスしやすいかもしれません。ただ「がんばって」と声をかけるより、科学的に効果のある練習方法を教えてあげたほうが、かけっこの上達に役立つはずです。

かけっこ教室に行ってみる?

かけっこの自主練習もよいですが、親御さん自身に運動経験が少ない場合は特に、「本当にこのやり方で合っているのかな?」と不安になることもありますよね。そんなときは、幼児向けの「かけっこ教室」に参加してみてはどうでしょう。いくつかご紹介します。

日本スポーツ指導協会ランニングクラブ

一般社団法人・日本スポーツ指導協会は、スポーツを通しての心身の健全な成長などを目的とする、2016年に発足した団体です。東京都を中心に、子どもの年齢や運動能力に応じてさまざまな「かけっこ教室」を開催しています。

たとえば小学1・2年生が対象の「ランニングクラブ 小学生低学年コース」は1回50分。単発での開催なので、毎週予定を空ける必要はありません。1回とはいえ、専門知識を持つ指導者に正しいフォームを教わるだけでも、だいぶ走りが変わるはずです。

かけっこアタック

一般社団法人・日本ランニング協会が主催し、スポーツ庁の後援を受けている、小学生が対象のイベント。「純粋に走ることを楽しむ」子どもが増えるよう、「今の自分より速くなる」ことを目標としたグループレッスンです。

2019年は、4月28日(日)にイオンモール千葉ニュータウンで開催予定。11時~、13時~、15時~の3部制です。参加費は無料なので、気軽に申し込んでみてはいかがでしょうか。「運動が苦手……」という子も、体の正しい動かし方さえ知ってしまえば、かけっこの時間が楽しくなるかもしれませんよ。

かけっこ大会に挑戦!

練習してかけっこに自信が持てた、もとからかけっこが得意……という子は、かけっこ大会に挑戦してみるのも楽しい経験になりそう。日本陸上競技連盟などが主催し、スポーツ庁が後援する「全国統一かけっこチャレンジ」は、親子で参加できるイベントです。

「全国統一かけっこチャレンジ」は誰でも参加できる間口の広いイベントですが、会場は全国各地の陸上競技場と本格的。タイムの測定には、オリンピックの公式記録にも使われる写真判定装置が使われ、ゴールしたときの判定写真つき記録証がプレゼントされます。全国の参加者のなかで自分のタイムが何位なのかも知ることができますよ。参加者はただ「かけっこするだけ」ですが、本格的な陸上の世界に興味がわきそうですね。

2019年5月以降、「全国統一かけっこチャレンジ」は神奈川県、青森県、兵庫県、福岡県など各地で開催予定。ぜひチェックしてみてください。

かけっこに関する本

最後に、かけっこにもっと親しみがわくような本を紹介します。

監修・西薗一也監修、イラスト・左藤芳美『うんどうの絵本(1)かけっこ』あかね書房、2015年

小学校低学年向けに、運動のコツを紹介する絵本のシリーズ。読み聞かせるのにも、子どもが自分で読むのにも最適な、分かりやすい内容です。読み終わったら、かけっこの練習がしたくてたまらなくなりそう。

監修・水口高志『運動ができるようになる本(4)かけっこがはやくなる!』ポプラ社、2011年

6歳~小学校2年生が対象の、うまく走るために体を動かす方法を解説する本です。体の動かし方が、写真と簡潔な文で分かりやすく説明されているので、子どもが理解できるのはもちろん、大人も納得です。

***
今はかけっこが苦手という子は、体の動かし方を知らないだけ。コツをつかめば、きっと体育の時間が楽しくなりますよ。

(参考)
コトバンク|駆こ
文部科学省|走・跳の運動について~かけっこ・リレー
産経ニュース|かけっこが速くなるコツ 「腕の振り」を前後にしっかり、「スタートの姿勢」は前傾で
アスリートLab|速く走るために重心を前方に持っていく理由
日本経済新聞 電子版|正しい腕振りを身につけよう ハサミがヒントに
あおしんドットコム|小学校の体育授業におけるかけっこマニュアル
早稲田大学|小学校の体育授業におけるかけっこ指導法の改善に関する研究
一般社団法人日本スポーツ指導協会|ランニングクラブ 概要
かけっこアタック
全国統一かけっこチャレンジ