あたまを使う/教育を考える 2019.4.7

地頭を鍛える方法はただひとつ。子どもに「熱中体験」をさせよ

編集部
地頭を鍛える方法はただひとつ。子どもに「熱中体験」をさせよ

「〇〇さんは地頭がいいから」「地頭がいい人だと思ってた」など、地頭がいい、悪いという言葉を耳にすることがあります。学力では測れない頭の良さという意味で使われるこの言葉ですが、実際のところどのような能力を表しているのでしょうか?

今回は、地頭のよさを考えるとともに、子どもの地頭を鍛えるための簡単な日常トレーニングをご紹介します。

地頭とは「思考力」

まずは「地頭」という言葉の意味を改めて確認してみます。

大学などでの教育で与えられたのでない、その人本来の頭のよさ。一般に知識の多寡でなく、論理的思考力コミュニケーション能力などをいう。「地頭がいい」「地頭を鍛える」

(引用元:デジタル大辞泉|じ‐あたま〔ヂ‐〕【地頭】) ※太字は編集部にて施した

また、『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』などの著作で知られ、地頭ブームの火付け役であるコンサルタントの細谷功さんは、特に「思考力」を地頭として定義しています。つまり、近年耳にする地頭は、主に「思考力」を表していると言えるでしょう。

細谷さんは、「地頭を鍛えることで課題を論理的に考え、解決策を導き出すことができる」と述べています。地頭力(=思考力)、子どもの将来の活躍のために、ぜひとも小さいうちから鍛えておきたいですね。

東大で求められる力も「思考力」

また、受験においても地頭は役立ちます。代々木ゼミナール講師の土田竜馬さんは、日本最難関大学である東京大学の入試で求められる力について次のように述べています。

東大入試では、(1)基礎学力を測る問題、(2)思考力・洞察力が必要となる問題が出題されますが、東大の入試問題の特徴といえば(2)にあります。主に整数・確率の分野で独創的な問題が出題されます。これは、東大のアドミッション・ポリシーに描かれている「自ら主体的に学び、各分野で創造的役割を果たす人間へと成長していこうという意志を持った学生」を望んでいるからであり、「知識を詰めこむことよりも、持っている知識を関連づけて解を導く能力の高さを重視」しているからだと思います。

(引用元:Business Journal|東大理系数学の入試問題の特徴と、そこに込められた東大側の狙い

これは、東京大学の入試では地頭、つまり「思考力」が求められているということを表します。「東大を目指しておけば他の大学はどこでも狙える」というほど応用力に定評のある東大入試。地頭を鍛えることは学業、仕事とともに役に立つと言えます。

地頭は「熱中体験」によって鍛えられる!

地頭と聞くと、字面から見て、生まれつきのものと考えてしまいがち。でも、じつは鍛えることができるのです。では、どんなときに地頭が鍛えられるのでしょうか。

脳科学者の茂木健一郎さんは、「地頭は何かに熱中する体験によって鍛えられる」とし、以下のように話しています。

こんなとき、地頭の良い子の親はどうしていると思いますか? 実は「子どもに自分で選ばせている」のです。(中略)自分が選んだテーマに対する強い好奇心と探求心。これこそ地頭が良いということに他なりません。

(引用元:日経デュアル|茂木健一郎 「理三を目指すような子には育てるな」

地頭を鍛えるには、強い好奇心や探求心を持ち、好きなことに熱中することが大切なのですね。この熱中体験と地頭の関係性について、教育評論家の親野智可等さんも同じ意見をお持ちのようです。

子どもがアンパンマンに夢中になっていると、「そんなのいくら覚えたって、テストに出ないよ!」などと言ってしまいたくなるかもしれませんが、そのときに子どもの脳の性能が良くなっているのです。つまり、“地頭を良くする”ためには、好きなことを応援してあげることが一番重要なのです。

(引用元:日経デュアル|子ども地頭をよくするたった1つの方法

Study Hackerこどもまなび☆ラボでも、子ども時代の「熱中体験」や「ハマり体験」はあと伸び力につながるとお伝えしてきましたが、熱中体験をすることで地頭も鍛えらるのであれば、我が子にはぜひとも何かにハマってほしいものです。

家庭内「アクティブ・ラーニング」で地頭を鍛えよう!

電車や虫など、時間を忘れて夢中になれるものがある子はいいですが、とくに好きなものがないという子だって多いはずです。そんなときはどうしたらよいのでしょう?

都留文科大学の特任教授であり、教育デザインラボ代表理事の石田勝紀さんは、家庭内で「アクティブ・ラーニング」を実践することをおすすめしています。アクティブ・ラーニングは、これまでの「記憶型教育」ではなく「探究型教育」です。

日常生活の中で、「おもしろい!」「もっと知りたい!」と子どもが感じれば、もうその時点で「好奇心」と「探求心」が育っています。そして親は、その好奇心の芽をつまないように、子どもと一緒に考えてあげればよいのです。その時間こそが、子どもの地頭を鍛えることになるのですから。

では、地頭を鍛えるためのアクティブ・ラーニングの2ステップを紹介します。

【STEP1|日常から疑問を引き出す】
まずは、子どもに普段から疑問を投げかけてみることを心がけましょう。『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』で知られる、東大生の西岡壱誠さんは、身のまわりのものを考える契機にしたり、得た知識を身のまわりのものに関連づけたりすることで「考える力」が身についたそうです。

子どもに投げかける質問も、普段の生活から引き出すと良いでしょう。また、YES・NOで答えられない質問にすることもポイントです。「秋になって赤くなる葉っぱと緑色のままに葉っぱはどういう違いがあるだろう?」「昼間はなんで星が見えないんだろう?」「カエルの耳ってどこにあるの?」などです。

慣れてきたら、「今日は5つ不思議なことを見つけてみようか」など、子ども自身に疑問を見つけさせると良い訓練になります。「なぜ?」と思うことは、熱中体験への第一歩です。親がどんなことでもおもしろがってあげることが、子どもの思考力につながります。

【STEP2|疑問に思ったことを分析する】
次に、出てきた疑問は「いま知っている情報」から考えるよう促しましょう。先ほど挙げた質問の具体例に対応させると「公園に行って一緒に木を見てみようか」「昼に望遠鏡で空を見てみようか」などです。わからないからといって「Google先生に聞いてみよう!」というのはナシですよ。

子どもがその質問に対して、例えば「赤くなる葉っぱのほうが多い」のように答えたとします。そうしたら、「どうして赤くなる葉っぱは多いんだろう」などとさらに深める質問をしましょう。この際、どのような答えが出たとしても、親は優しく受け止めてあげてください。このワークは、「疑問を分析して考える」ことに意味があるからです。

これらの2つのステップを繰り返し行なうことで、だんだんと自分から疑問を見つけ出し考えるようになります。そうしていると習慣づけられ、難しい問題に直面しても諦めずに考える思考力、つまり地頭が鍛えられるのです。質問をくり返しているうちに、子どもの「好きなこと」が発見できるかもしれませんね。

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前出の石田さんは、こう話しています。
「本当に勉強ができる子は、勉強を勉強とは思っていません。おもしろいからやっているのです。こういう子は、日常の生活の中で、さまざまな物事に出会い、そこからおもしろさを発見しています」
お子さまの地頭を鍛えるために、親子でたくさん疑問を探してみてくださいね。

(参考)
デジタル大辞泉|じ‐あたま〔ヂ‐〕【地頭】
Study Hacker|医学生が教える「地頭力」を鍛える3つの方法
Business Journal|東大理系数学の入試問題の特徴と、そこに込められた東大側の狙い
プレジデントオンライン|面倒でイヤな課題が「地頭」を鍛える
Study Hacker|「自分で考えられない人」に足りない2つのこと。超効率的に『考える力』を身につける習慣とは?
東洋経済オンライン|「地頭のいい子」は家庭内の習慣で作られる!
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