教育を考える 2019.8.2

子どもの身を守る「危機管理能力」と「安全対策」。防犯ブザーは本当に役に立つ?

編集部
子どもの身を守る「危機管理能力」と「安全対策」。防犯ブザーは本当に役に立つ?

子どもが巻き込まれる事件や事故のニュースを目にするたびに、親御さんたちの不安は募るばかりなのではないでしょうか。子どもたちを取り巻く環境は、昔に比べてずいぶんと変わりました。さらにいうと、2、3年前の「安全の常識」が、今では「危険で警戒すべきもの」になってしまうほど、世の中はものすごいスピードで変化しています。

では今、私たちは親として、責任ある大人として子どもたちをどう守ってあげればいいのでしょうか。成長するにつれて、子どもはひとりで行動することが増えていきます。そしていずれは、親の目の届かないところで自分の世界を築いていくのです。

だからこそ、小さいうちから、「自分の身を守る術」や「危険を察知して回避する能力」をしっかりと身につけられるように導いてあげる必要があるのです。

「自分は大切な存在」と認識することが第一歩

幼いうちはどこへ行くにも手をつなぎ、目を離さずに見守っていたわが子も、小学生になったらひとり行動がぐんと増えます。頼もしい反面、危険な目に遭わないか心配でたまりませんよね。

身近な危険から子どもを守るための活動に尽力している危機管理教育研究所代表の国崎信江さんは、のびのび育てる(安全な環境で安心して過ごす)ことと、自由にさせる(危険に対して無防備である)ことは別のことといいます。

安全な環境でのびのび育てるために大切なのは、子どもに過剰な恐怖心を植えつけないことと、子どもに身を守ることの意味を理解させる、ということ

よく「最近物騒な事件ばかりで心配。怖いから気をつけてね」と何気なく言っていませんか? しかし、それでは子どもの不安を煽るだけだといいます。大事なのは、子どもに自分の存在がどれほど親にとって大切で、自分が危険な目に遭うことは親にとっても悲しいことと気づかせることです。

たとえば、「あなたが誰かに傷つけられたり、すぐに探せないような場所に連れて行かれたりしたら、お父さんとお母さんは悲しくてたまらない」と、親の気持ちを伝えて抱きしめてあげるといいでしょう。すると子どもは、自分を守る意識が芽生えて、自分の身体を大切にするようになります。

そのうえで、犯罪が起きやすい場所や人との接し方、また子ども同士で遊ぶときとひとりになるときにはどんなことに注意すればいいのか教えてあげましょう。親の見守りに加えて、具体的な対処法を教えることが大切です。

具体的な声かけと確認すべきこと

防犯の意識は、親子ともに常にもっておくべきです。

神奈川県警察ホームページ内では「声をかけられる場所ごとの対応策」が、セコム株式会社が運営する『子どもの安全ブログ』では、「声をかけられる状況ごとの対応策」が数多く紹介されています。どうやら、昔と違い、不審者の手口はかなり変化しているようです。

日頃から「こんなときはどうする?」と想定した会話をすることで、親も子どもも安心して過ごすことができるはず。いくつか会話例を挙げてみましょう。

「学校からの帰り道、車に乗った知らない人が『お母さんが事故に遭った。一緒についてきて』って言ってきたらどうする?」
「知らない人から『○○ちゃんだよね?』と自分の名前を呼ばれたらどうする?」
「突然知らない大人から道を聞かれたらどうする?」

このように、いつ遭遇してもおかしくない危険な出来事をシミュレーションしてみます。とっさのとき、子どもはつい大人の言うままに流されてしまいがちですが、それが危険であることを認識させなければなりません。

車から声をかけられたらすぐに逃げて。コンビニとかに入ってお店の人に助けを求めるようにしてね
自分の名前が書かれているものを持ち歩くときは名前を隠すようにしようね。傘や水筒、カバンも見えないところに名前を書くようにしよう
大人が子どもに道を尋ねることはないよ。本当に困っていそうだったら、近くにいる別の大人に聞いてもらってね

ほとんどのご家庭では、「困っている人には手を差し伸べよう」「誰にでもきちんと挨拶をしよう」と言い聞かせているかと思います。しかし、世の中には子どもを狙った犯罪が多いことも事実です。だからこそ、とっさのときに子ども自身が危険を察知して、自分の身を守れるように教えてあげなければならないのです。

親子で確認! 子どもがひとりで外出するときの注意点

まず子どもに自覚させなければならないのは、ひとりでいる子どもが狙われるということ。通学路や習い事の行き帰りの道は慣れているから安全だと思いがちですが、その油断が気の緩みにつながるので注意が必要です。

セキュリティーサービスを提供するALSOKは、そのホームページの中で、「町に潜む危険な場所を、親子で確認し、話し合うことが大切」だと呼びかけています。見通しが悪い、人通りが少ない、密室になる、助けを呼んでも声が聞こえない、などの危険な場所を実際に確認しましょう。

また、『犯罪から子どもを守る』の著者である国崎信江氏は、仕方なく危険な場所を通らなければならないときの行動についても、親子で話し合っておくべき、と話しています。そこをどうしてもひとりで歩かなければならないときは、警戒して足早に一気に通り過ぎること、そしてあらかじめ子ども110番の家のような駆け込み場所を決めておくことも忘れないようにしましょう。

友だち同士で遊ぶときは、帰る時間、遊ぶ場所、友だちの名前を伝えるのはもちろん、遊ぶ場所を移動するときにも親に連絡することを徹底しましょう。子どもが面倒がったとしても、お母さんはあなたと離れているときも常に心配しているよというメッセージを伝え続けることが大事です。

また、持っていることで安心しきってしまうのが「防犯ブザー」。自治体によっては小学校入学時に全児童に配布することもあるようです。使う機会が訪れないのが一番いいことですが、いざというときに最大限に効果を発揮できる使い方をしっかりと確認してから持たせるようにしましょう。

まずチェックしたいのが、ちゃんと音が鳴るかどうか。気づいたら電池が切れていた! ということもあるので注意が必要です。国民生活センターによると、「最低でも1ヶ月に一度は家庭で保護者が作動確認を行ない、電池の点検と交換も定期的に行ないましょう」とのこと。子どもには、乱暴な扱いをして強い衝撃を与えてしまうと壊れてしまうことを言い聞かせましょう。

また、万が一防犯ブザーを使う状況になったとき、鳴らしてから遠いところへポイっと投げるといいそうです。相手は音を止めようとしてブザーのところへ行くので、その間に逃げることができます。

このように、「いざというときどうするか」を親子間でしっかりと話し合うことが、お互いの安心感や信頼感にもつながるのです。

お留守番は短時間から慣らしていこう

親の留守中に子どもが家の中で危険な目に遭うという事件もよく報道されています。そのため、「うちはまだまだお留守番はさせられないわ」と神経質になっている親御さんも多いのではないでしょうか。

しかし、ある程度の年齢になったら、短い時間でもお留守番ができるように練習しておきたいもの。そのためには、「絶対に約束を守ること」を徹底させなければなりません。株式会社CHINTAIホームページには、いつもの留守番ルールにくわえて、「イレギュラーな事態を想定した特別ルールを決めておくべき」とあります。親子で決めたルールは、何度もシミュレーションをして安全確認を徹底しましょう。

ピンポンや電話には出ない
「近所の人だったら?」「宅急便だったら?」「緊急の電話だったら?」という例外を設けたい気持ちにもなりますが、昨今の物騒な社会状況を鑑みて、基本的には対応しないように言い聞かせるべきです。

外出先から子どもに連絡を取りたい場合や、子どもからどうしても親に連絡したい場合は、固定電話のナンバーディスプレイで親の携帯番号を確認できるようにしたり、子ども用の携帯電話を持たせたりして対応するようにしましょう。

家の中の危険を一緒に確認する
つい見過ごしがちですが、家の中にも危険な箇所はあります。普段は親が注意して遠ざけているものや、子どもの目に入らないように気をつけているものなどはありませんか? 包丁やカッターナイフ、ライターなど、絶対に触らないように言い聞かせましょう。また、念のためガスコンロのロックをかけておくと安心です。

***
いくら子どもの安全を守るためでも、親が四六時中ぴったりとくっついているわけにはいきません。子ども自身が自分の身を守るには、防犯の知識をつけること、そして自分を大切に思うことが何よりも重要です。自分がどれほどかけがえのない存在か、また、自分に何かあったら大切な人たちが悲しんでしまう、と認識させましょう。

(参考)
危機管理教育研究所|家庭での指導|狙われにくい子どもにするために
ウーマンエキサイト|小学1年生初めてのひとり行動…子どもの危機管理は大丈夫?
独立行政法人 国民生活センター|防犯ブザーの電池切れや故障に注意!ーいざという時のために家庭で点検をー
All About|一人でお留守番は何歳から?安全対策やお留守番ルール
子どもの安全ブログ|子どもを誘う悪質な「声かけ」にだまされないで!
子どもの安全ブログ|もしかして不審者!?悪質な「声かけ」をどう見わけるか
子どもの安全ブログ|再確認!「子供が出かけるときの約束」について
神奈川県警察|子どもを犯罪から守るために
危機管理教育研究所|家庭での指導
CHINTAI情報局|子供だけで初めてのお留守番! 事前に考えておきたい留守番対策まとめ