10月27日から11月9日までは読書週間です。本屋さんや図書館の絵本コーナーに立つと、表紙がずらりと並んでいて、どれも楽しそうに見えます。「年中さんには、どのくらいの長さがいいんだろう」「小学生になったら、もう絵本は卒業?」と迷いながら、わが子の顔を思い浮かべて本を選ぶのも、うれしいひとときです。
年少さんから小学2年生まで、楽しみやすい絵本は年齢によって少しずつ変わっていきます。図書館のおすすめリストや出版社のおすすめ年齢、絵本と子どもの学びに関する研究を手がかりに、読書週間に親子で手に取る1冊を探してみませんか。
目次
絵本の「対象年齢」は、読みはじめの目安
名古屋市図書館が保育所や幼稚園向けにまとめた年齢別絵本リストは、おはなし会などで長く読み継がれてきた絵本を中心に選ばれています。リストには、年齢はあくまで目安で、聞き慣れていない子には少し下の年齢の本や、短い作品から始めるとよいと添えられています。*1
『ぐりとぐら』や『エルマーのぼうけん』などの出版社のおすすめ年齢も、「3歳〜」「5・6歳〜」のように、読みはじめる年齢で表されています。上限があるわけではないので、年長さんが年少さん向けの絵本を楽しんでも、小学生がもう一度読みたがっても大丈夫です。いまのわが子が「面白い!」と身を乗り出す1冊が、その子にとってちょうどいい本です。
名古屋市図書館のリストでは、2〜6歳向けの絵本に、1冊ごとの読み聞かせにかかる時間の目安も載っています。寝る前の時間に合わせて選ぶときにも、この目安が役立ちます。

【年齢別】年少さん〜小学2年生におすすめの絵本と選び方
年齢別・おすすめ絵本の早見表
| 年齢 | 絵本と読み聞かせ時間の目安 |
|---|---|
| 年少さん 3〜4歳 |
『ぐりとぐら』約5分 『はじめてのおつかい』約6分 |
| 年中さん 4〜5歳 |
『三びきのやぎのがらがらどん』約6分 『めっきらもっきらどおんどん』約6分 |
| 年長さん 5〜6歳 |
『おしいれのぼうけん』約23分 『エルマーのぼうけん』 |
| 小学1年生 | 『しずくのぼうけん』約8分 |
| 小学2年生 | 『ふたりはともだち』 |
※おすすめ年齢は各出版社の表示、読み聞かせ時間は名古屋市図書館のリストの目安です。
1. 年少さん(3〜4歳):くり返しと、身近などきどき
毎日の暮らしにある出来事や、リズムのいい言葉のくり返しを、親子で一緒に味わえる絵本がおすすめです。
2. 年中さん(4〜5歳):はらはらする展開や、ふしぎな世界へ
お話の山場で息をのんだり、現実とは違う世界に入り込んだりと、物語ならではの楽しさを味わえる絵本を選んでみましょう。
3. 年長さん(5〜6歳):長いお話を、何日かに分けて
長いお話にじっくり付き合える日が増えてきたら、ページ数の多い絵本や、絵より文章が多い「幼年童話」にも手を伸ばしてみましょう。1日で読み切らず、続きを楽しみに何日かに分けて読むのも楽しいものです。
4. 小学1年生:「知りたい」に応える科学絵本も
入学すると、文字を自分で読む機会がぐっと増えます。ただ、文字を追うだけで精いっぱいの時期は、お話そのものを味わう余裕がないこともあります。物語の世界に浸る時間は、大人が読んであげる読み聞かせで続けていけると心強いですね。
「なんで?」「どうして?」が増えるこの時期は、身の回りのふしぎを描いた科学絵本も喜ばれます。
5. 小学2年生:短いお話で「自分で読めた!」を
自分で読む楽しさが育ってくる時期です。1話が短く区切られた本なら、読み切れたうれしさを何度も味わえます。
気に入った1冊が見つかったら、同じ作家のほかの作品や、シリーズの続編へと広げていくのも絵本選びの楽しみです。
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迷ったら、図書館と子どもの「好き」を手がかりに
選びきれないときは、図書館の児童コーナーを頼ってみましょう。司書さんに「年中の子に、6分くらいで読める絵本はありますか」と聞くと、年齢や好みに合わせて探してもらえます。読書週間の期間中は、各地の図書館で読書にちなんだイベントも開かれています。
もうひとつの手がかりは、子ども自身の「好き」です。全国の20〜60代の5,000人を対象にした調査では、子どもの頃に興味・関心に合わせた読書の経験が多い人ほど、小学校から高校までを通して読書量が多い傾向が見られたといいます。(国立青少年教育振興機構「子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究」)*2
恐竜や電車、おやつ、虫など、いまの「好き」から選んだ1冊は、本と仲よくなる入り口になります。図書館では「ママが選ぶ1冊」と「子どもが選ぶ1冊」を一緒に借りてみるのはいかがでしょう。ママの選んだ1冊が、思いがけず子どもの新しい「好き」になることもあります。
研究が教えてくれる、絵本選びのヒント
1. 「もう一回!」の同じ本は、言葉が育つチャンス
毎晩のように同じ絵本を差し出されると、「たまには違う本も」と思うこともありますよね。けれど、くり返し読むたびに、子どもは前回気づかなかった言葉や絵に出会っているのかもしれません。何度目かの「もう一回!」は、言葉が根づいていく時間です。
2. 「知りたい」を育てる本は、写実的な絵を選ぶと伝わりやすい
動物や乗り物のことを知りたい時期には写真絵本や写実的な絵の科学絵本を、空想の世界を思いきり楽しみたいときはファンタジーの絵本を選ぶと、どちらもぐっと楽しくなります。しかけ絵本も、しかけで遊んだあとに「これは何だろうね」とひとこと添えれば、親子の会話が広がっていきます。
3. 読み聞かせの時間は、その先の読書につながっていく
膝の上で聞いた1冊が、やがて自分で読む1冊へとつながっていくと思うと、今夜の読み聞かせの時間が少し特別なものに感じられます。
***
今年の読書週間の標語は「静かだけど、冒険中。」です。*6 絵本を開いた子どもは、静かに座っているように見えて、心のなかでは森へ、橋の上へ、どうぶつ島へと出かけています。
年齢はあくまで目安です。迷ったら、図書館の棚の前でわが子が手を伸ばした1冊から始めてみてください。今夜の1冊が、親子の小さな冒険になりますように。
FAQ(よくある質問)
Q. 絵本の対象年齢より上や下の本を選んでも大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。出版社のおすすめ年齢は読みはじめの目安で、上限ではありません。聞き慣れていない子は、少し下の年齢の本や短い作品から始めると楽しみやすくなります。
Q. 小学生になっても読み聞かせを続けていいですか?
A. 続けて大丈夫です。文字を追うだけで精いっぱいの時期は、読んでもらうことでお話そのものを味わえます。1話ずつ交代で読むのも楽しい方法です。
Q. 同じ絵本ばかり読みたがります。ほかの本も読ませたいのですが。
A. 同じ本のくり返しは、言葉が育つチャンスです。3歳児を対象にした研究では、同じお話をくり返し聞いた子どもたちは、新しい言葉をよく覚えていたと報告されています。新しい本は、図書館で1冊ずつ増やしていけば十分です。
Q. 図鑑やしかけ絵本ばかり選びます。物語も読んでほしいのですが。
A. 子どもの「好き」から選んだ本は、本と仲よくなる入り口です。図書館で「子どもが選ぶ1冊」と「ママが選ぶ1冊」を一緒に借りると、物語との出会いも自然に増えていきます。
(参考)
*1 名古屋市図書館 (2019)|保育所・幼稚園・認定こども園での読み聞かせにおすすめ! 年齢別絵本リスト.
*2 国立青少年教育振興機構 (2021)|「子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究」報告書.
*3 Horst, J. S., Parsons, K. L., & Bryan, N. M. (2011)|Get the story straight: Contextual repetition promotes word learning from storybooks. Frontiers in Psychology, 2, 17.
*4 Strouse, G. A., Nyhout, A., & Ganea, P. A. (2018)|The role of book features in young children’s transfer of information from picture books to real-world contexts. Frontiers in Psychology, 9, 50.
*5 Mol, S. E., & Bus, A. G. (2011)|To read or not to read: A meta-analysis of print exposure from infancy to early adulthood. Psychological Bulletin, 137(2), 267–296.
*6 札幌市の図書館 (2026)|2026 読書週間特別行事~静かだけど、冒険中。~.









