朝の支度でイライラしていませんか? 「早く早く!」と何度も声をかけているのに、なかなか準備が進まない。バタバタしているのは親の都合……とわかっていても、時間のない朝にはどうしても焦ってしまう。そんな経験のある方も多いのではないでしょうか。
2025年2月に実施した、こどもまなびラボの独自のアンケート調査(対象:幼稚園、保育園、小学生の子どもをもつ親)によると、子どもの朝の準備時間について「30分〜1時間程度」が45%(134票)、「1時間〜1時間半程度」が36%(108票)という結果でした。
また、特に困っているのは「朝食」で全体の59%、続いて「持ち物の準備」17%、「着替え」15%という結果に。「朝食に30分以上かかってしまう」「バタバタして忘れ物ばかり」「なかなか支度のスイッチが入らない」そんな声が多く寄せられました。
しかしそのなかでも「早寝早起き」「時間を見える化する」「お支度ボードを使う」などの工夫をしている家庭もあるようです。そこで今回は、朝の準備をもっとスムーズにすため、子どもが自分で時間を意識できる工夫と、その効果的なツールであるお支度ボードについてご紹介します。
“お支度ボード” を使ってみた!
「お支度ボード」を使ってみたい! という編集部の3歳の男の子家族と、5歳の女の子家族に実際に使ってもらい、その効果を聞いてみました。
着替えがゆっくりな保育園児(3歳・男の子)
3歳男の子ママ:もうすぐ年少のとってもマイペースな息子。朝は甘えてばかりで保育園の送迎はいつもバタバタ。でも着替えもトイレもそろそろ自分でできるようになってほしい! と思い、お支度ボードを取り入れてみました。
朝の支度にいつも1時間はかかるので、まず「起きる時間」と「出る時間」を親側の目標として設定。そのあいだに無理せずにできることを、子どもと一緒に考えました。最初は「きがえ」「あさごはん」「はみがき」の 3項目。できたら息子のお気に入りのマグネットを項目の上に乗せます。さらに全部終われば、息子が大好きなフリータイム(アニメタイム)! たった5分でもフリータイムがあるのが嬉しかったようで、2日目には自分から「次はきがえしようね!」と支度を先導するようになりました。
そこから「トイレ」「かおをあらう(拭く)」など子どもが自分から「これもやりたい」と、項目を増やしていきました。トイレトレーニングがなかなか進まず悩んでいましたが、朝のトイレルーティンができたのが思わぬ収穫でした。「今日はやりたくない……」といった日もありますが、一進一退しながらも確実に成長していると感じます。
せっかちな性格の年中さん(5歳・女の子)
5歳女の子ママ:親子ともに、うっかりしていて忘れ物が多く、あとで幼稚園に届けに行くこともしばしば。そこでお支度ボードを取り入れてみました。
娘と一緒に「何時に起きるか」「何時に家を出るか」を一緒に考えるところから始めました。いままで、毎朝起こすときに「もう〇時だよ」と伝えていましたが、じつは娘はまだ時刻をあまりよく理解していなかったことが判明。いまは朝の支度をしながら時計の針を意識したり、「○○分でやってみよう」とタイマーを使って声かけをすることで、徐々に時間の感覚が身についていると感じます。
また、お支度ボードを使い始めてから、「カバンに入れた?」「入れたよ!」と言っていても実際には入れ忘れていた、という忘れ物トラブルが大幅に減りました! さらに嬉しい変化として、「〇日までに工作用のペットボトルを持ってきてください」といった園からの連絡事項もボードに書き込むことで、持ち物を自分から私に教えてくれるようになりました。お支度ボードを通じて、時間管理だけでなく、自分で考えて行動する力も育ってきていると感じています。
「にもつのじゅんび」ができたら項目マグネットを右へ移動
「おしたく」も同じように項目マグネットを右へ移動
幼児期のお支度ボードの効果
お支度ボードを使うことで、時間の概念や持ち物の管理など、大切な生活習慣が自然と身についていくことがわかりました。また特に「自分から行動する」という主体性が育まれている点はお支度ボードの大きなメリットかもしれません。
ここまで幼児期のお支度ボードの効果を見てきましたが、子どもが成長するにつれて、その役割や形も変わっていきます。次は小学生向けのお支度ボードについてご紹介します。
小学生には愛情たっぷり手書きのボードもおすすめ
小学生の場合は、朝の支度に加えて、放課後の時間の使い方も大切になってきます。手書きボードを長年使ってきた編集部の9歳の女の子家族のお話も聞きました。
やること盛りだくさんな3年生(9歳女の子)
9歳女の子ママ:「お支度ボードを自分でつくりたい!」という娘の一声で、100円ショップへGO。ホワイトボードセットと厚紙を購入しました。お支度ボードを自作したことで、「音読」「九九」「ピアノ」など、やるべき行動を親子一緒に再確認できました。さらに「なわとび」「ハンドリング(バスケットボールの練習)」など、娘のやる気に左右されていた練習も習慣になったのは、親としてラッキーでした。
1代目のお支度ボード
初代の項目が習慣化されたため、2代目は「朝学習のテキスト名」と「検温」のみ残しました。そしてこの頃、嬉しい変化が。娘が「朝は自分の好きなように時間を使いたいから、自分で朝食を準備したい」と言い出したのです。そこで、レンチンで完了できる朝食を親が冷蔵庫に用意し、メニューごとにワット数と温め時間を記載するようにしました。
また、「今日は〇〇体育館で練習だから16:35までに帰ってきてね」などの習い事の時間管理メッセージもよく書いていました。帰宅時間やスケジュールを書き込むことで、「早く〇〇やりなさい!」「〇時までには帰ってきなさい!」などの親の命令口調が確実に減りました。
工夫としては、あえて読めない漢字を1文字入れたり、「17:00」と24時間表記を使ったりと、学習要素も取り入れています。このように年齢や成長に合わせてお支度ボードをアップデートしていくことで、より効果的に活用することができました。
2代目のお支度ボード
小学生の手書きボードの効果
小学生向けの手書きにボードは、子どもの成長に合わせて柔軟にカスタマイズできる利点がありますね。さらに工夫次第で、子どもの自主性や自立心がぐんぐん育つことがわかりました。
また、手書きボード自体がコミュニケーションのツールとなり、親子の信頼関係や絆を深めていると感じました。単なる時間管理ツールを超えて、子どもの成長を見守り、励ます親の愛情を届けるツールとしても、とても効果的のようです。
お支度ボードをさらに効果的にするために
お支度ボードが効果的だった! というママたちの体験談から、効果をさらに高めるヒントをまとめました。
1. 子どもと一緒に作る・カスタマイズする
子どもにとって「自分で作ったお支度ボード」という意識が大切です。項目を一緒に考えたり、イラストを描いたり、お気に入りのシールを貼ったりすることで、より愛着をもって使えるようになります。
2. 「やること」「できた!」を見える化
「見通しをもって行動」し、「達成感を味わう」ためには見える化が必要です。項目をクリアするごとに、お気に入りシールを貼ったマグネットを動かせるようにしたり、または「できたら移動する」のような子ども自身が自分で動かせるような工夫が必要です。また全項目達成でごほうび(例:自由時間ができる、など)を設定すると、子どものモチベーション維持に効果的です。
3. 「時間」は徐々に一緒に覚えていく
低年齢の子どもの場合、最初は時計を見て行動するのは難しいものです。そこで、まずは好きな項目からスタート。そして徐々に順番や時間を意識させていきます。慣れてきたら、時計の文字盤を描き入れたり、タイマーを活用したりして、徐々に時間の感覚を養っていきます。「着替えは長い針が1めもり進むまで」や「5分間、タイマーが止まるまでね」など、視覚的にわかりやすい時間の区切り方を工夫することで、子どもも時間を意識しやすくなります。
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朝の準備は、親子にとって大切な自立のステップです。お支度ボードの導入は、朝の準備をスムーズにするだけでなく、子どもの自主性や時間管理能力を育てるよい機会となります。すべてを一度に変えようとせず、できることから少しずつ始めていきましょう。
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