絵本・児童書を数多く手掛ける佼成出版社より、おすすめの絵本をピックアップしてご紹介する連載コラム『佼成出版社 えほんのこころ』。記念すべき第1回で取り上げるのは、あべ弘士さん作・絵、「ライオン」シリーズ4作品です。
元飼育係の作者ならではの動物描写
2001年に1作目『ライオンのよいいちにち』が発売されて以降、多くの読者に愛されてきたこのシリーズ。その最大の魅力は、あべ弘士さんが描くダイナミックなアフリカの草原と、どこかほんわかする動物たちの姿です。
実はあべさんは、北海道・旭山動物園の飼育係を25年間務めていました。長年動物たちを間近で見てきたあべさんが描く動物たちの表情と、今にも動き出しそうな活き活きとした姿。あべさんの絵本を読むと、見ているものは間違いなく絵なのに、本物の動物とアフリカの景色を目の前にしているかのような気分になります。
また、お父さんライオンのユーモアセンスにも要注目。お父さんライオン自ら「なかなか」と言わしめる俳句は実に味わい深いものですよ。
そんな「ライオン」シリーズの魅力を4作まとめてご紹介しましょう!
お父さんのよみきかせにも。「ライオン」シリーズ3作品
1.『ライオンのよいいちにち』
ライオンのお父さんは、子どもたちを引き連れ散歩に出ます。
出会う動物たちは「子守りをして、えらい」と感心します。
ライオンのマイペースな子育てぶりを、大胆なタッチでユーモラスに描く、「ライオン」シリーズの第1作です。
2.『ライオンのへんないちにち』
久しぶりにひとりで出かけたライオンのお父さんは、雨がなかなか降らず、待ちくたびれた動物たちに出会う。
やがて雨の気配が強くなり……。
厳しい自然と対峙しながらも、ユーモアたっぷりのお父さんライオンが魅力的な絵本、「ライオン」シリーズの第2作です。
3.『ライオンのながいいちにち』
雨季が過ぎた頃、ライオン親子が散歩に出かけます。
途中、親子は、息を呑むほどのフラミンゴの群れと出会ったり、帰り道にヌーの大群にとおせんぼされたり……。
アフリカの魅力満載の、「ライオン」シリーズ第3作。
14年ぶりの新作。お父さんライオンがパワーアップ!
『ライオンの風をみたいちにち』
広大なアフリカの大地で日々、家族と仲良く暮らし、心に残る印象的なシーンに遭遇したときに俳句を詠む、ライオンのお父さんが14年ぶりに帰ってきました。
「とうさん、きょうは どこへ いくの」
「とうさんは、きめています。風を みにいきます」
「えーっ 風って みえるの?」
「みえます」――。
ライオンのお父さんが子どもたちを連れて散歩に出かけた先で見つけるさまざまな“風”の姿を叙情豊かに描きます。あべ弘士さんが描くアフリカの情景は圧巻。俳句が出てくる絶妙なタイミングもぜひお楽しみください。
『ライオンのよいいちにち』『ライオンのへんないちにち』『ライオンのながいいちにち』に続く第4弾。14年ぶりの発刊となる今作では、ライオンのお父さんが、以前よりも威厳に満ち溢れ、堂々とした佇まいで登場します。
どこまでも広がるアフリカの景色の魅力も満載。「アフリカの雲はね、地平線から湧き出るように生まれるんですよ」と嬉しそうに話してくださった、あべさん。そんなあべさんの、アフリカに、そしてライオンのお父さんに対する想いがたくさん詰まった、スケールの大きな作品です。ぜひご覧ください!
***
佼成出版社より、今後も旬の絵本ニュースを続々発信していく予定です。どうぞお楽しみに!