教育を考える 2019.11.19

小学生がヒット商品開発。「お金の稼ぎ方」を知っている子どもが強いワケ

編集部
小学生がヒット商品開発。「お金の稼ぎ方」を知っている子どもが強いワケ

皆さんは、お子さんの前でどれくらい「お金の話」をしているでしょうか。日本では、タブーとされがちなお金の話。しかし、今、子どもへの「マネー教育」の必要性が高まっていることをご存知ですか?

2020年4月から成年年齢が引き下げられるため、これからは、18歳であれば高校生でもクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりできるようになります。この民法改正を受けて、2020年から始まる新しい学習指導要領ではマネー教育が本格的に組み込まれることになりました。しかし、実際にお金を扱ったこともないのに突然机上で勉強を始めるのも難しいもの。そのため、学校でのマネー教育が始まる前に、実体験としてお金を使うことの必要性が叫ばれているのです。

茨城県つくば市の英語学童保育Kids Creation Afterschoolでは、小学生の子どもたちが「パンのヒット商品を開発する」という一大プロジェクトに挑み、無事成功を収めました。(詳細はこちら:ヒット商品を考えたのは小学生!? 子どもたちはどのように「売れる商品」を生み出したのか)小学生にして、経済の仕組みを学び、「売れる商品」を生み出すことができた子どもたち。そもそも、どのような経緯でこのプロジェクトが始まったのでしょう。また、なぜ子どもたちにこのようなマネー教育が必要なのでしょうか。

今回のプロジェクトを企画した、Kids Creation代表の宮嶋さやかさんに「今、本当に必要な教育」についてお話を伺いました。

子どものうちから「マネー教育」は必要

Q. 今回のプロジェクトから子どもたちが得られるもの

宮嶋さん:学校に行くための靴、文房具、食事、お風呂に入ることなど、生きるためには、必ずお金がかかります。しかし、実際のお金のやり取りは大人が行なうので、子どもにとっては、世の中がお金のやり取りで成り立っているということを実感する機会も少ないでしょう。

学校でも、お金の稼ぎ方、使い方などは教えてくれませんし、日本では「お金の話はタブー」という暗黙の了解がありますよね。そして、大学を卒業し、社会に出て初めて、稼ぐことを経験し、困惑する。給料が上がらないことを社会のせいにしているだけで、どうしたらもっと稼げるようになるのかを考えない。そんな人が多いように感じます。

まず「お金は価値への対価として受け取るもの」であるということを子どもたちには知ってほしい。では、その「価値」とは何なのか。それをパンというリアルなものを通して感じ取ってほしいと思い、今回「ぷーぱん」さん、「こどものお金の学校」さんとコラボすることにしました。実感を伴ってお金の勉強をするためには、「リアルな社会との連動」が非常に重要なのです。

こどもパンインタビュー01

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「お金との付き合い方」を知る意義

Q.小学生のうちにお金や経済に関して学ぶ機会を設けることの意義 

宮嶋さん:子どもたちは、最初は自分が食べてみたいオモシロパンを考えていましたが、「みんなが買いたいと思うポイント」について、こども会議を通して考えるなかで、「お客さんのニーズを把握する必要がある」ということに気がついていきました。

こどものお金の学校とのコラボにより、お金を稼ぐためには、相手のニーズをとらえ、ニーズに合わせたもの、価値を認めてもらえるものをつくることが大切であること。そして、必要としている人に情報を届けることが必要なのだ、多角的な視点が必要なのだということを学びました。

お金は、稼いだあと、貯金したり、生活に必要なものや自分が欲しいものに使ったりするだけでなく、誰かのために使ったり、未来のために投資したりすることもできます。使い方を考える時間を持つことにより、自分が考える「お金」という概念が育ってきます。

クラウドファンディングやフレンドファンディングなど新しい資金調達の手段が出てくるなかで、自分なりのお金との付き合い方を社会に出る前に体験し、練習していくことには大きな意義があると思います。

こどもパンインタビュー02

子どもたちが、新しい角度から世の中を見るように

Q. プロジェクトを通して、子どもたちに生じた変化や成長

宮嶋さん:こども会議を通してお互いの意見を交わし合ったことがプラスに作用し、子どもたち同士の距離がぐっと近くなったように感じています。そして、大人に相談しなくても、子ども同士で話し合い、何かを解決できるような流れができたのが大きな変化です。

先日、ある方からリンゴの差し入れをいただき、お礼のカードを作ったのですが、まず「一番伝えたいことは何か」を考え、「一番大切なメッセージは大きく書く」こと、「気持ちを伝えるためには言葉だけでなく、写真やイラストなど言葉以外の方法も使うとより伝わりやすい」ということなど、学んだことを子ども同士で確認し合うことができていました。大人の手を借りずにデザインや見せ方を工夫したカードが完成して、成長を感じました。

また、自宅でテレビCMを見て、「あのCMのキャッチコピーは〇〇に変えたほうが商品の良さがもっと伝わりやすいんじゃないかと思った」などと報告してくれる子もいて、このプロジェクトを経験したことによって、多角的な視点を持ち、新しい角度から世の中を見ることができるようになったのを実感しています。

こどもパンインタビュー03

身につけるべきは「実践力」

Q. パンのヒット商品開発から得られた力

宮嶋さん:Kids Creation Afterschoolの探究プログラムでは、「リアルな社会との連動」を大切にしています。ごっこ遊びの延長ではなく、実際の社会の一員として取り組むことで「自分事」としての意識がしっかり育ちます。

今回のプロジェクトでも、自分たちが開発したパンを何とかヒットさせたいというシンプルな思いから、どんどん新しいアイデアが生まれました。子どもたちによる店頭販売(1日で4回の販売を行ないました)の際にはその日1日のなかだけでも、ディスプレイを変えたり、会計の方法を変えたりと、子どもたち自ら工夫して改善を図る様子が見られました。

子どもたちが生きるうえでは、「実践力」が最重要だと思っています。考えるだけでなく、行動を起こすこと一歩踏み出すことができる人は、必ず前に進みます。授業の中で、この大切な「実践力」を子どもたちはしっかりと身につけることができました。この経験が自信となり、きっと今後の人生でも、彼らは力強く道を切り拓いていってくれると思っています。

***
「パンのヒット商品開発」を通して、「お金を稼ぐ」ということ、「ニーズのある商品を考える」ということ、「情報を届ける」ということなど、さまざまな経験をした子どもたち。初めは「自分の食べてみたいパン」を考えるのに夢中だった彼らが「食べてもらうためのパン」を考えることができたのは大きな成長ですね。

「お金の話」は、日本では避けてしまいがちですが、本来であれば子どもの頃から学んでおくべきもの。お小遣いの使い方などといったちょっとしたことから、お子さんと一緒に話し合ってみてはいかがでしょう。

■ 「こども食パン」開発までを追った前回の記事はこちら
ヒット商品を考えたのは小学生!? 子どもたちはどのように「売れる商品」を生み出したのか

【Kids Creation Afterschool】
〒305-0003
茨城県つくば市桜1-18-1
029-869-5830
日本の子ども達を対象にした英語で学ぶアフタースクール・学童保育。英語を第二言語として学ぶ子ども達のためにデザインされた指導カリキュラムに、日本語で学ぶ「探究プログラム」を組み合わせることでグローバル時代に必要とされる真の国際人へと育てる教育を行っている。