教育を考える 2018.9.9

新・子育て習慣に! 子どもの自己肯定感が向上する「ほめ写プロジェクト」

長野真弓
新・子育て習慣に! 子どもの自己肯定感が向上する「ほめ写プロジェクト」

海外のドラマや映画を見ていると、家に家族写真がたくさん飾られている場面がよく映し出されます。それらが家庭円満の象徴としてハッピーオーラを醸し出し、見た人は潜在的にその家庭の幸せを感じ取るのですが、実はそれは漠然とした感覚ではなく、家族に、特に子どもにもたらす影響が少なからずあることが最近注目され始めました。

今回は2018年夏に本格的に活動を開始した、子どもの自己肯定感を高める「ほめ写プロジェクト」についてご紹介します。

自己肯定感が低い日本の子どもたち

内閣府の満13~29歳の若者を対象にした意識調査(平成25年度)によると、調査対象世界7カ国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、韓国、日本)の中で日本人の自己肯定感は圧倒的に低いことがわかりました。他国が軒並み7割以上なのに対して、「自分自身に満足している」日本人は45.8%に留まったのです(最高値はアメリカの86%)。ということは、半分以上の若者は自分に自信がない……。

謙虚な日本人とはいえ、グローバル社会で生き抜いて行くために自信を持って堂々と行動できる力がより必要とされるこれからの世の中、これは大きな問題と言えるでしょう。

自己肯定感の影響と親の役割

自己肯定感は行動意欲に直結しているため、それが高いということはチャレンジ精神に富んだプラス思考の努力できる子です。逆に自己肯定感が低い子は自信のなさからやる気を失い、忍耐力や持続力も減退しがちです。そのままでは将来にも大きく影響してしまう心配があります。

自己肯定感を育む環境は、家庭はもちろん学校や地域などの役割もとても重要です。また、自分の力を認めることができて、他人の価値観に必要以上にとらわれないようになるためには、乳幼児〜小学生までの間がとても大事。そして家族で過ごす時間が多いほど、親に理解してもらえているという“安心感”を得やすく、「自分は大切な存在」という意識が高まるのだそうです

しかし、子どもの自己肯定感について重要だと認識している親は95%もいるのに、その大切さをわかっていながらも約6割の人はそれを育むための具体的な行動をとっていないそうです。それは具体的対策がわからないからなのではないでしょうか。その一助になりそうなのが「ほめ写プロジェクト」なのです。

「ほめ写プロジェクト」とは

「ほめ写」とは、子どもの写真プリントを家の中に飾り、それを見ながらほめてあげる新しい子育て習慣のこと。

(引用元:写真が子どもの自信をひきだす ほめ写プロジェクト|ほめ写プロジェクトとは?)

<プロジェクトの経緯>
プロジェクト主導者である教育評論家・親野智可等(おやのちから)氏が注目したのが“写真の力”です。元々小学校教諭だった親野氏はたくさんの家庭を見てきて、自己肯定感が高い子の家庭には写真が貼られていることが多いことに気づきました。そこから脳科学者である篠原菊紀氏、臨床発達心理士の岩立京子氏とともに富士フィルムなどの賛同企業を得て、親子の意識調査や“写真でほめる”ことが脳に与える影響など、科学的検証と研究を続けました。

2018年1月末から約3週間、「ほめ写」体験者と非体験者を対象に行った調査では、脳科学の面からもその差が認められました。体験者の方が心地よさのバロメーターである脳の腹内側前頭前野が明らかに活性化していたのです。また、この部分は脳のメモ帳と言われる「空間認知的ワーキングメモリ」に関連していて、入ってきた情報を脳にインプットし、過去の記憶と照らし合わせて情報を整理しているのだそう。それはつまり、「自分により興味を持って写真を見る」「自分自身をイメージして心地よくなる」ということで、これが自己肯定感を育むのだそうです。

さあ、「ほめ写」に挑戦してみよう!

「ほめ写」は簡単です。子どもの写真を撮って、目立つところに飾るだけなのですが、気をつけるポイントが3つあります。

(1)愛されていることが実感できる写真を撮る
楽しそうな笑顔の写真、頑張っている姿、兄弟の仲良し写真などが最適です。

(2)子ども目線で飾る
子ども目線の高さに大きめの写真を飾るといいそうです。枚数は10枚くらいがいいとか。特にいい写真は大きめのA4サイズ程度を推奨されています。スペースが限られる場合は、複数の写真フレームが連結しているコラージュフレームなどを活用して楽しげに飾るのも良さそうですね。

(3)写真を見ながらほめる
飾るだけではなくて、最大のポイントはその写真を見ながら会話し、ほめてあげること「頑張ったね」などその時のことを話すだけではなく、「生まれてきてくれてありがとう」「あなたのことが大好きよ」などその子の存在を肯定するような言葉をかけてあげましょう。飾る写真も季節やイベントごとに入れ替えると、話題も増えていいですね。

楽しげな写真は子供だけでなく、イライラしがちな親への幸せのリマインドにもなりそうですね。

***
子どもの自己肯定感が下がるタイミングは小学校低学年なのだそうです。これは、ある程度ものごとがわかるようになる時期に入学して、運動能力や勉強などで人と自分を比較し始めるから。親を見ていて、謙遜を美德とし、強い自己主張を嫌う日本人気質を感じている側面もあるでしょう。その最良の対策が「ほめること」。ほめられた子は素直な気持ちになり、他人にも優しくなれます。オープンな心持ちでポジティブに頑張れる人へ成長できるはずです。その「ほめる」きっかけをくれるものとして、「ほめ写プロジェクト」はとても素晴らしいと思います。

思い出してみると、アメリカ人は本当にほめ上手。家庭に飾ってある多くの写真といい、このプロジェクトを知って、アメリカ人の自己肯定感の高さは理に適っていると腑に落ちました。簡単に誰でもすぐに始められるのが最大の魅力の子育て新習慣、これからたくさんの家庭に浸透していきそうです

(参考)
写真が子どもの自信をひきだす ほめ写プロジェクト
PRTIMES|写真を貼ると、子どもの“自己肯定感”が向上することが明らかに 「写真でほめる」という、子育て新習慣の啓発活動「ほめ写プロジェクト」本格始動!
内閣府|平成26年版 子ども・若者白書(概要版)|特集 今を生きる若者の意識〜国際比較からみえてくるもの〜
国立青少年教育振興機構|自己肯定感とはなんだろう?
ベネッセ教育情報サイト|大人になったときに影響が?!子どものうちに自己肯定感を高めよう!