教育を考える 2019.8.11

○○を褒めるのは絶対NG。子どもの成績を本当に伸ばす「褒めワード」教えます。

○○を褒めるのは絶対NG。子どもの成績を本当に伸ばす「褒めワード」教えます。

何度注意しても同じ間違いを繰り返したり、悪ふざけをしたりする子どもに対して、「早く○○しなさい!」「なんでそんなことするの!」なんて言ってはいませんか?

仕事や家事に追われていると、どうしても余裕がなくなってしまい、子どもに対してそのような言い方をしてしまいがちですよね。しかし、社会的に成功している人の多くは、子どもの頃に「○○しなさい!」と言われることがなく、「よく褒められていた」と言います。

今回は、褒め言葉がもたらす子どもへの影響や、日常で使いたい「褒めワード」をご紹介しましょう。

褒められて育った子どもは成績が伸びる!?

子育てするにあたって、子どもを褒めることが大切だというのはよく言われていることですよね。しかし、ただ褒めればいいというわけではありません。子どもを伸ばす褒め方と、そうでない褒め方があるのです。子どもを伸ばすために大切なのは、“能力” ではなく “努力” を褒めることなのだそう。

アメリカの心理学者であるキャロル・S・ドゥエック氏は、数百人の子どもたちを2つのグループに分けて、次のような実験をしました。子どもたちに難しい問題10問を出題して解かせ、1つのグループには「頭がいいね」能力を褒め、もう1つのグループには「頑張ったんだね」努力を褒めるというものです。

その後、新たな問題に挑戦するかどうかについて子どもたちに聞いたところ、能力を褒められたグループは嫌がる子どもが多く、努力を褒められたグループは9割の子どもたちが喜んで挑戦したのだそう。能力を褒められたグループは、「もしいい点がとれなかったら、『頭がいい』状態ではなくなってしまう」と考えるようになってしまい、消極的になったのだといいます。

さらに、子どもたちに簡単な問題を解かせたところ、能力を褒められたグループは成績が落ちただけでなく、そのうちの4割が自分の得点を聞かれた際に水増しして答えていたそうです。一方、努力を褒められたグループは成績が伸び、意欲的な姿勢がみられたとのこと。

「頭がいいね」「天才だね」などと能力を褒めてしまうと、子どもの成長を止める可能性があるのです。努力そのものを褒めることが、子どもの成長にとって良い影響をもたらします。

子どもの成績を本当に伸ばす「褒めワード」2

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褒めることで生まれるさまざまな力

保育士として15年以上、福祉施設、託児所、保育園など、さまざまな場面での保育業務に携わってきた市川由美子氏によると、褒めることによって以下のような効果が期待できるそうです。

チャレンジ精神が生まれる

市川氏によると、子どもは褒められることで「自分は認められた」という気持ちになり、やる気が生まれるそう。また、失敗した際には、頑張ったこと挑戦した気持ちを褒めてもらえることで、もう一度トライしてみようという姿勢につながるといいます。

自己肯定感が生まれる

市川氏いわく、親から褒められることは、子どもにとって大きなパワーになるそうです。どんなときでも親に「頑張ったね」と褒めてもらえた子どもは、親に愛されていると感じ、自分のことを大切にできる自己肯定感が育まれるそうです。

子どもの成績を本当に伸ばす「褒めワード」3

子どもを成長させる褒めワード&NGワード

「早くしなさい!」など、ついつい子どもに言いがちなNGワードは、以下のように成長につながる褒めワードへ変換してみましょう。

×NG「やってみなきゃわからないよ」

◎OK「そっか、不安だよね。こうすればできると思うよ!」
(by 教育評論家・親野智可等氏)

子どもが何かに対してネガティブになっているときの声かけです。親はついチャレンジさせることを優先してしまいがちですが、親野氏いわく、まずは子どもの不安な気持ちに寄り添ったうえで背中を押してあげることが重要なのだそう。

 

×NG「ちゃんとやりなさい!」

◎OK「(子どもと一緒に取り組みながら)ちゃんとやりなさい!」
(by 「教育の鉄人」とも呼ばれるカリスマ教師・杉渕鐵良氏)炎天下で一緒に汗を流している人に言われる言葉と、日陰で涼んでいる人に言われる言葉では、受け取る意味が変わってくると杉渕氏は言います。ただ頭ごなしに怒っても、子どもに親の気持ちは伝わりません。しかし、子どもと一緒に取り組みながら伝えることで、言葉の重みが大きく変わるのです。

 

×NG「頑張れ!」

◎OK「よくチャレンジできたね!」
(by 国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ・石川尚子氏)「頑張れ!」と命令形で応援するよりも、できたことを承認する声がけをすると、「自分はまだまだやれるんじゃないか」「もっとできるんじゃないか」と、未来に可能性を感じ、子どもが粘り強くなっていくのだそう。

 

×NG「我慢しなさい!」

◎OK「本当は遊びたかったんだよね」
(by 東京都市大学人間科学部教授・井戸ゆかり氏)

幼い子どもに無理に我慢させると、自発性が伸びなくなってしまうと井戸氏は言います。我慢することを強いるより、まずは子どもの気持ちに寄り添うことが大切です。我慢できたら「よくできたね!」「本当は遊びたかったのにね」と褒めてあげることで、子どもは我慢することの意味に気づいていきます。

 

×NG「ミスがあったね」

○OK「前回よりも成長したね!」
(by ヴァイオリニスト・西谷国登氏)

例えミスがあったとしても、ほんの少しでも成長しているところがあれば、子どもを褒めることが大切だと西谷氏は言います。「できなかったこと」よりも「できたこと」に目を向けて褒めることで、子どもの才能が伸びていくのだそう。

 
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子どものさまざまな力を引き出す「褒め言葉」。普段の生活から意識して使い、子どもの可能性を伸ばしてあげましょう。

文/田口 るい

(参考)
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもが大成していく「褒める」教育――我が子の才能を伸ばすために親がすべきこと
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「辛抱強い子」を育てるヒント。「我慢する力」を伸ばすのは “○○上手な親” だった!
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「ちゃんと宿題やりなさい!」に効果がない理由。子どもに“響く”声かけの方法とは?
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「典型的ないい子」を育てるよりも大切な、伸ばしてやるべき子どもの「考える力」
ベネッセ教育情報サイト|上手に子どもを褒めて、自信をつけてあげよう!
ベネッセ教育情報サイト|自分に自信がない子[教えて!親野先生]
ベネッセ教育情報サイト|「がんばれ!」と言うだけでは動けない子どもにかける言葉[やる気を引き出すコーチング]
NEWSポストセブン|子供の学力を上げるには「能力」ではなく「努力」を褒める