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多くの成功者が読書習慣をもっているように、本が好きになることにはメリットがいっぱいです。しかし、YouTubeやゲームに囲まれたいまの時代、どのように読書習慣を育んでいけばよいのでしょうか。
本稿では、麻布中学・高校教諭の中島克治氏や児童文学評論家の赤木かん子氏、そして『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』著者で、子どもたちの読書習慣の普及に取り組むヨンデミー代表の笹沼颯太氏など、第一線の専門家たちの知見をもとに、子どもの読書習慣づくりの具体的な方法をお伝えしていきます。
新学期を迎えるこの時期だからこそ、ぜひ実践していただきたい読書指導のエッセンスが詰まっています。
読書習慣は何歳までにつければいいの?
読書習慣をつけるなら「できるだけ早いうちから」が正解です。時間にゆとりがある小学生時代までに、本と親しむ機会をたっぷり与えてあげましょう。中学生以上になると、子どもたちの多くは受験勉強や部活動などに時間をとられて忙しくなり、読書にじっくり勤しめる余裕がなくなってしまうからです。
麻布中学・高校国語科教諭の中島克治氏は、「子どもが本当に時間を気にせず本と向き合えるのは小学生まで」「なるべく幼い頃から子どもが親しむことができるように導いてあげてほしい」と語っています。
また、子どもが読書にハマるオンライン習い事ヨンデミーを運営する笹沼颯太氏も、小学校低学年で読書に目覚め、4年生の頃にはどっぷりと読書にハマったひとり。小学生時代に読書習慣をつけたからこそ、東大に合格したと断言しています。
読書という習慣を身に着けるのが、小学生ではなくもう少し遅い時期だったらまた違う人生を歩んでいたかもしれません。すべては「あの時期に本を読んでいた」ことから。そう思うと、小学生時代の読書の意義って、計り知れないと感じます。
(引用元:AERA with Kids Plus|「教科書は配られた日にすぐ読んだ」 東大在学中に起業した24歳が、読書にハマって変わったこととは?)
心ゆくまで自由にたくさんの本と戯れることで、子どもは楽しく読書習慣を身につけられるのかもしれません。笹沼氏も「遊び」感覚で本を読んでいたと語っています。
読書習慣を身につけさせたいなら、小学校低学年までがベストタイミング。しかし、お子さんのいまの状況に合わせた適切なアプローチが必要です。まずは、お子さんの読書習慣がどの段階にあるのか、確認してみましょう。
わが子の読書習慣ステージはどこ?
まずは、いまのお子さんの読書習慣ステージについて考えてみましょう。以下の3つのステージのどこに当てはまりますか?
□ステージ1:まだ自分からは本を手に取らない
- 読み聞かせは熱心にしているが、子どもはまだひとり読みをしない
- 本を読むよう促しても、子どもはすぐに飽きてしまう
- 文字を読むこと自体に苦手意識がある
□ステージ2:好きな本は読むが、ジャンルが限られている
- 特定のシリーズばかりを読んでいる
- マンガは好きだが、文字の多い本は避けてしまう
- 読書時間は確保できているが、内容の幅が狭い
□ステージ3:本を読み始めたが、本選びに悩んでいる
- 学年相応の本を読めているが、さらなるステップアップを目指したい
- いまの読書を受験や学習に結びつけたい
- 良書と言われる本がよくわからない
お子さんの読書習慣ステージが確認できたら、次は、それぞれのステージに合わせた具体的なアプローチ方法をご紹介します。専門家たちの実践的なアドバイスを参考に、子どもに合った読書習慣づくりを始めてみましょう。
【ステージ別】子どもに読書習慣をつけるための方法
【ステージ1:まだ自分では本を手に取らない子】【ステージ2:特定のジャンルに興味をもち始めた子】【ステージ3:読書習慣が定着し、次のステップを目指す子】――それぞれのステージに合わせた効果的なアプローチ方法をご紹介します。
ステージ1:本との出会いを演出する
最も効果的な方法は、書店や図書館に定期的に連れて行くこと。子どもがたくさんの本に出会える環境づくりから始めましょう。実際に大量の本に触れてみる経験をしないことには、子どもにとっておもしろい本もつまらない本もわからないからです。
小さな子どもを本のある環境に自由に解き放ってあげると、本棚をじーっと眺めたり、指先で表紙に触れたり、めくってみたり、大きな図鑑を抱えるように取り出して「これ読んで」とせがんできたり。まるで、お店のおもちゃコーナーにでもいるような感じで本に接しているんですね。
そんなわが子の姿を見守りつつ、親も気になる本を手に取ってみる。図書館や書店でいろいろな本と遊べる親子時間を、ぜひ過ごしてみてください。前出の中島氏が言うように、子どもは自然に好奇心を刺激されて本の世界に近づいて行くはずです。
また、まだひとり読みに抵抗がある子どもなら、「試し読み」の読み聞かせをしてあげましょう。筑波大学附属小学校国語科教諭の白坂洋一氏は、「子どもが読みたくなる、面白そうだと思える工夫をすることが大切」と述べ、全文ではなく最初の一部分だけ語り聞かせるよう推奨しています。
Amazonなどの無料試し読みで読んだ話の続きが気になって、本を購入してしまったことはありませんか? それと同じ原理を利用するのです。続きが気になって、自分から本を読むようになるでしょう。
Point
- 書店や図書館で子どもが自由に本を探索できる時間をたっぷりとる
- 親も一緒に本を手に取り、本との出会いを楽しむ親子時間を過ごす
- 読み聞かせは「試し読み」から始めて、続きへの興味を引き出す
ステージ2:好きな本を思う存分に乱読させる
このステージでは、子どもの興味を最大限に尊重することが大切です。児童文学評論家の赤木かん子氏は、子どもに自由に乱読させることを推奨しています。
具体的には、公共図書館に連れていって、子どもが持ってきた本は何でも「ああいいよ、いいよ」といって読んであげる……本屋さんに行って、その子が欲しいというものを「ああいいよ、いいよ」といって買い与える……という姿勢です
(引用元:STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|「つまらない本」を知ることも大事。図書館での“3千冊の乱読”から子どもが養う大事なもの)
コツは、子どもが好きな本を好きなように読ませてあげること。逆にやってはいけないことは、親が選んだ本を子どもに読ませようと頑張ってしまうこと。
たとえば子どもが図鑑ばかり欲しがっていたら、「いま、この子はこういう分野に興味があるんだな」と受け止めましょう。「たまには違うジャンルの本を読ませたい」という気持ちは脇に置いて、まずは子どもの「好き」を思う存分に満たしてあげることが、長期的な読書習慣につながります。
「たまには違うジャンルの本を読ませたい……」と思うこともあるかもしれませんが、興味のないものを強制されるのは子どもにとって苦痛なだけ。大人でもそうですよね。誰しも好きなことはたとえ止められてもやりたいものです。幼いうちから好きな本に好きなだけ没頭する幸せな時間をたっぷり過ごしていれば、自ずと本の虫になるでしょう。
Point
- 子どもが選ぶ本は否定せず、好きなだけ読ませてあげる
- 同じジャンルばかりでも心配せず、興味の対象として受け止める
- 親の意見は控えめにし、子どもの「好き」を最優先する
ステージ3:読書体験を共有し、世界を広げる
読書習慣が定着してきた子どもには、親子で同じ本を読み、感想を共有する時間をもってみましょう。「この場面、どう思った?」「このキャラクター、おもしろいよね」など、気軽な会話から始めると◎です。
自分の感想や考えを親に認めてもらえることで子どもの自己肯定感が高まると、心理カウンセラーの中島輝氏は断言。本のなかの多様な価値観について話し合うことで、視野を広げるきっかけにもなりますよ。
特に小学校中学年から高学年にかけては、友だち同士で本の感想を話し合う機会をもつことが効果的。「自分はこの部分がおもしろかった」「ここが感動した」といった感想の共有は、子どもたちの読書体験を豊かにし、新しい本との出会いのきっかけにもなるはずです。*4
教育評論家の親野智可等氏も、インターネットでほかの読者の感想を探したり、好きな有名人のおすすめ本を読んでみたりするのもよいと提案します。読みたい本を探す体験は、子どもの世界を広げ、自分自身の好みや興味を知るきっかけになるでしょう。
ただし、子どもの本の選択に際して気をつけたいのは、親からの強制を避けること。親野氏が強調するように、「そんな本を読むの?」といった否定的な声かけは避け、子どもが自由に本を選べる環境をつくることが、「本が好き」という気持ちを育てる土台となります。*5
Point
- 親子で同じ本を読み、「おもしろかった場面」など気軽に感想を共有する
- 同年代の友だちと本の感想を話し合う機会をつくる
- インターネットの感想や有名人のおすすめ本など、新しい本との出会いを広げる
厳選! 子どもを本好きにするアイデアがつまった書籍
最後に、子どもを本好きにするためのメソッドが学べる書籍を4冊ご紹介します。これらの本には、まだ本を手に取らない子どもから、より良い本を求める子どもまで、さまざまなステージに対応したアドバイスがつまっています。
【編集部おすすめ書籍1】
未知の世界を知るツールとしての本のこと・図書館の使い方・本の読み方・レポートの書き方・本の歴史とつくり方まで、役立つ情報が詳しくわかりやすく紹介されています。各章の始めにパッと内容がつかめるマンガがついているので、親子で一緒に読んでみましょう。
実践的なメソッド例:
- マンガで楽しく学ぶ読書の基本スキル
- 図書館の効果的な活用方法
- わかりやすいレポートの書き方テクニック
- 本の歴史から学ぶ読書の意義
- 親子で一緒に読み進める学習法
【編集部おすすめ書籍2】
本記事でご紹介した内容も含め、国語教師であり父親でもある著者が、自ら実践している効果的なメソッドを伝授。本に興味がない子がどのように読書習慣を身につけ、人として大きく成長していくかが具体的にわかる実例も豊富に紹介されています。
実践的なメソッド例:
- 段階的な読書習慣の形成方法
- 本に興味がない子どもへのアプローチ法
- 年齢に応じた本の選び方ガイド
- 日常的な読書環境の整え方
- 小学生向け推薦図書246冊の活用法
【編集部おすすめ書籍3】
「子どもにどんな本を読んであげればいい?」「図書館や本屋に連れて行ったあと、どうすればいいのかな?」そんな問題を解決したい親御さんにイチオシの本。本書の著者だけでなく、子どもたちや親たちが選んだおすすめ本満載の「8分野291冊のブックリスト」は、必見の価値ありです。
実践的なメソッド例:
- 図書館で10冊借りて選ばせる効果的な方法
- 書店で本を同時に2冊買う戦略的アプローチ
- 読み聞かせの実践テクニック
- 避けるべきNGワードとその代替表現
- 8分野291冊のブックリストの活用方法
【編集部おすすめ書籍4】
「本よりも動画に夢中なわが子。どうすれば読書の楽しみに目覚めさせることができるのだろう?」そんな切実な親の疑問に応えてくれます。小学生全学年対象の「レベル別100冊」のブックリストつき!
実践的なメソッド例:
- 表紙だけ見て「どんな本?」予想ゲーム
- 「さすがは読書家だね!」などの効果的な声かけ
- 読書に集中できる時間と環境づくり
- 新ジャンルへの段階的な導入方法
- アフターゾロリ問題への対処法
『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』著者の笹沼颯太氏より、特別メッセージをいただきました。↓↓↓
読み聞かせはたくさんしてきたはずなのに、いまやすっかりYouTubeに夢中……。本を読むどころか、国語や算数の文章題も、教科書自体も苦手……。そんなお悩みを多くの保護者の方から聞きます。
「子どもにとって読書は大事」ということは、誰も否定しないほどに広まっていますが、「子どもにとって読書は “必要” なのか」、必要だとしたら「なぜなのか」という問いに正面から答えられる人は多くないと感じています。
『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』では、そもそもなぜ子どもたちにとって読書が必要なのか。読書を軸とした教育・子育てとはどういうものなのか。それらを踏まえたうえで、実際に子どもが読書にハマるためのサポートはどうすればいいのかについてまとめました。お子さんと本・読書への向き合い方に悩んでいる人は、ぜひ手に取っていただければと思います。
ヨンデミー代表/笹沼颯太
笹沼氏が代表を務めるヨンデミーは、小学生向けのオンライン読書教育サービス。プロ講師が本の要約や読解のコツを指導し、思考力・表現力を育みます。利用開始から3か月で、1週間あたりの読書平均日数が5.3日に!? 受験や将来の学びにも役立ちます。さあ、お子さんの読書力を伸ばしましょう。いまなら30日間無料体験中!
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子どもに読書習慣を身につけさせるコツは、おもちゃで遊ぶような感覚で本を読む楽しさを経験させてあげること。まずは親子で気軽に本選びを楽しみ、子どもの「好き」を大切にしながら、一歩ずつ読書の世界を広げていってください。新学期からの新しい習慣づくりに、ぜひお試しください。
文/上川万葉
(参考)
*1 STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|我が子に“読書好き”になってほしいなら。ぜひ身につけさせたい「読み癖」とは
*2 AERA with Kids Plus|「教科書は配られた日にすぐ読んだ」 東大在学中に起業した24歳が、読書にハマって変わったこととは?
*3 STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|「つまらない本」を知ることも大事。図書館での“3千冊の乱読”から子どもが養う大事なもの
*4 EDUPEDIA|読書が好きになる~先生・親ができること~(白坂洋一先生 教育技術×EDUPEDIA スペシャル・インタビュー 第35回)
*5 ベネッセ教育サイト|親野先生に聞いた!子どもが本を読むようになるヒントとは