あたまを使う/国語 2018.7.23

【親子でとりくむ読書感想文 書き方レッスン】第6回:やっと国語教師の出番です

松嶋 有香
【親子でとりくむ読書感想文 書き方レッスン】第6回:やっと国語教師の出番です

こんにちは。文章力養成コーチの松嶋有香です。

時期的には、夏休みに突入した頃でしょうか。塾や習い事の夏のカリキュラム、仕事のお盆休みのスケジュールなども出そろいながらも、まだ夏休みの始まりを味わっている段階かも知れませんね。この全8回の連載では、読書感想文の書き方をご紹介しています。ぜひじっくり読んでくださいね。

さて、今回は、第6回。まずは、全体の位置を確認します。
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0. 計画を立てる
1. 本を選ぶ
2. 心が動いた文やシーンがあるページに付箋を貼る
3. 質問シートを作る。答える。
4. 近い内容をまとめて文にする
5. 4を組み立てる
6. 書いてみる
7. 時間を置いて、見直す
8. 書き直す
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4まで終わっています。今日は5と6です。
先が見えてきましたね!

最高の順番とは?

「ゆかちゃんがね、痛いって、泣いちゃったの。滑り台でね。大変なの。ぶつかって、血が出ちゃったの。ううん、鼻血じゃなくておでこから。ぶつかったのはお友だちじゃないの。木なの。滑り台の下の。うん、落ちたの。」

伝えたいことがあった時に、文章の順番を変えるだけで、随分印象が変わることが分かります。また、これがきちんと計画されていないと、意図した結果に結びつかなかったり、ひどい場合には誤解を与えてしまったりすることさえあります。

この文は、子どもの遊び場で起こった大事件を大人に伝える時に、焦ってしまった子どもが言った前提で書いています。これを創作物語の中で使用する時は、このめちゃくちゃな語順が、かえって子どもの焦り感を演出するでしょう。しかし、伝達としては一刻を争う時には不向きな語順ですね。

「子どもが、怪我をした。おでこから血が出ている。滑り台から落ちて、下にある木に、顔からぶつかったらしい。」

119番通報をしてこの状況を伝えるとしたら、このような感じに話すのがスマートですよね? 泣いていることや、子どもの名前の情報は言わなくても良いくらいです。

このように、目的によって語順や文章の順番を変えることが、作文の印象を大きく左右します

結論を先に言うのが最近のトレンド

トレンドなどと言う言葉を読書感想文で使って良いとは思わないのですが、ちょっとお耳を拝借。新聞でも、雑誌でも、ブログでも、最近は結論を先に書くのが主流です。

いわゆる「むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでおったとな」というような、背景、状況説明はじれったいと感じるようです。

特にブログの世界では、その記事を読む、読まないという選択を2秒以内にしているそうで、これはとても厳しい世界です。1行目は2行目を読ませる為にある、とも言われています。読書感想文も同じで、採点者から見ると、結論が先に書いてあった方が食いつきやすいのです。たまに、「むかしむかし」系の作文でも、かなりの技術で、どんどん世界に引き込まれるものもありますが、小学生ではまれです。

なので、結論はもったいぶらずに、先に書いてしまうのがいいと感じます。また、結論を先に書く方法だと、あとに熱量が続きやすくなります。

今、メモから文章がいくつも出来上がっている状態ですよね? 第5回でキーワードについて少し触れました。

何度も発せられている言葉は、キーワードになります。特別な印をつけておきましょう。もし、そういう言葉がなくても大丈夫です。似通った言葉、フレーズがあるはずです。その言葉を忘れないように印をつけましょう。添削の際、印のついた言葉は捨てないように気をつけるためです。

(「【親子でとりくむ読書感想文 書き方レッスン】第5回:質問と答えをセットにしてみよう」より)

付箋に印を付けた人は、そのことに関する文章を先にもってきましょう

すべては結論の為に。捨てることこそ戦略

私は大人の文章講座を開いていますが、そこで教えている文章の書き方で、何度もお話ししていることがあります。

「すべては結論の為に。結論を支えることを考えた時に、ひとつも足りない文章がないように。ひとつも余計な文章がないように。」

子どもには少し難しいかもしれませんね。簡単に言うと「結論に必要な要素を忘れないこと。結論に関係ないことは書かないこと。」です。

一番伝えたいことを決めたら、それを支える文章、例えば、エピソードや具体例などは必需品ですよね? そして、これは今回は関係ないなーと感じることがあれば、思い切って捨てましょう。せっかく書いたのだからと、全部盛り込むと、何を伝えたいのかが分かりにくくなり、結局、最初に用意した結論も、あとから盛り込んだ文章も、全部無駄になってしまいます。そんなことになるくらいだったら、大事なものがちゃんと伝わるように、関係のないものを捨てる勇気が大切です

いらないものを捨てちゃったら、総量が少なくなる問題

添削とは、添えて削ること。もちろん削って添えることも添削です。いらないものを捨てた結果、文章の総量が少なくなってしまった場合は、残った文章を肉付けしましょう。つまり、総文章量をかせぐ為に、ダラダラと不要なことを書き足すよりは、いらないものを捨てて、大事なポイントを詳しく書き増していった方がいいのです。

エジソンの伝記を読んで、小学校4年生男子が書いた作文、結論が2つ出てしまいました。

1. なんでもなぜなぜと質問ばかりしていてけむたがられていたエジソン。でも今、ぼくの教室にいたら、いっぱい知りたがるのは良いことだと、先生もほめてくれるはず。

2. エジソンは何でも試したがる。物がどうやって燃えるのか知りたくて、家の小屋を燃やしてしまった。ぼくもカミソリはどうやって切れるのか知りたくて、自分の脇腹をスッパリ切ってしまった。ぼくにそれをやらせた犯人は「好奇心」だ。

彼は2の方を選びました。そうしたら、作文の量が一気に半分近く減ってしまったのです。ところが、2の事件を詳しく詳しく書くことで、ハラハラドキドキ、とてもスリリングな作文になりました。そして、最初の作文にはなかったこのような言葉を添えたのです。

エジソンは「成功するにも失敗するにも、何事もどんどん、はなばなしくやりなさい」といっていました。この言葉がドッカンとむねにひびきました。失敗したらはずかしいなんて考えていたら何もできない。そんなことをおそれずに、やりたいことを思い切りやるべきだというエジソンの言葉に、ぼくは、ジーンと感動しました。

結論をしぼって、減ってしまった分、彼は不要な文章を付け足したりしませんでした。自分の気持ちを詳しく書くことで、より、鮮明に結論が浮び上がってきたのです。

次回予告
第7回『推敲の仕方』
・自分の文章を客観的にチェックする方法