音楽をたのしむ/歌 2018.6.16

リズム感や表現力を磨く「ゴスペル」。上手に歌うことよりも大切な“感じる心”

編集部
リズム感や表現力を磨く「ゴスペル」。上手に歌うことよりも大切な“感じる心”

B’z、EXILE、絢香など、数々のライブやレコーディングにも参加経験がある現役アーティスト、パリス・ロンドン先生のレッスンがとにかく楽しい! と話題の『島村楽器 ミュージックサロン池袋』「キッズゴスペルクラス」。

このクラスで子どもたちは、リズム感や音感などの音楽的な能力はもちろんのこと、「表現力」や「英語の発音」も五感を使って身につけていきます。パリス先生がとくに力を入れている「表現力」は、これから世界に羽ばたいていく子どもたちにとって、欠かせないスキルとなることでしょう。

今回は、子どもたちの素晴らしい吸収力と表現力についてパリス先生大坪正先生(ピアノ担当、作曲家・編曲家)『島村楽器ミュージックサロン池袋』鈴木瞳店長に語っていただきました。

ジャズ、ロック、R&Bなどすべての音楽のルーツはゴスペル

――本日はよろしくお願いします。まず、「ゴスペル」という音楽について教えていただけますでしょうか。

パリス先生:
ゴスペルは、精神(心)を癒すためや、満たすための音楽で、アフロアメリカンの人たちがまだ奴隷時代だったころに、プランテーションフィールドから生まれたと言われているんだ。「Gospel」とは「Good News(希望、感謝)」。辛く厳しい現実を生きていても、些細なことに感謝をし、神様を賛美することを忘れなかった、奴隷たちの前向きなスピリットだよね。

ゴスペルでは、同じフレーズが何度もくり返されるけれど、これは畑などで働くときに、同じフレーズを仲間同士で何度も歌うことで、少しでも楽しみを生み出そうとしていたため。

そしてもうひとつ。その時代、黒人は集会を開くことはもちろん、多数の人たちが同じ考えや意見を持つことが、白人によって禁じられていた。そこで奴隷たちは、歌を使ってコミュニケーションをはかっていたんだよ。

現在、音楽は進化してブルース、ジャズ、ロック、カントリー、ファンク、ソウル、R&B、HIP HOPなど、たくさんのスタイルがあるけれど、それらすべてのルーツはゴスペルなのさ!


明るいパリス先生(右)といつも優しい鈴木店長(左)。子どもたちについて話し始めたら……ふたりともこの笑顔!

「発音」も「難しいリズム」も身体で覚えてしまう

――そうだったのですね。ゴスペルというと、1990年代の映画『天使にラブ・ソングを…』を思い出します。手拍子や足拍子をしながら、全身で歌う、エネルギー溢れるハーモニーという印象です。「キッズゴスペルクラス」ではどんな曲を練習しているのですか?

大坪先生:
ゴスペルの曲では『Pass It On』、『This Little Light Of Mine』。それから、子どもたちに振付とリズムを体験させたくて、こちらで用意した『What You Come To Do』(作詞:パリス先生 作曲:大坪先生)などです。

子どもたちがスッと入れるように、日本語と英語が一緒になっているオリジナル曲もあります。『Inside Out』という、「人は外見ではなく内面が大切。あなたの心(インサイド)を外に(アウトプット)解き放とう!」という内容の曲です。みんな、リズムに乗って身体を揺らしながら歌いますよ

――ゴスペルをとおして、リズム感も養えるのでしょうか?

大坪先生:
皆さんが考えるリズムって、丸いボールが一定の速度でコロコロ転がっていくようなイメージだと思うんです。でも、ゴスペルのリズムは、ラグビーボールのような楕円状のものが、ゴロンゴロンと転がっていくようなイメージで、一定の動きの中にも緩やかな部分と急な部分がある。「脱力しているところ」と「力を入れるところ」とも言えると思いますが、この感覚が大人には難しい。でも子どもたちは圧倒的に吸収が速いです!

鈴木店長:
そうなんです。こちら側は「次は〇〇のリズムで~」と難しく考えていますけれど、子どもたちは、パリス先生の歌い方・動き方の物まねをしている感覚なのだと思います。身体でリズムを覚えているんです。これは、英語の発音についても同じことが言えますね。

パリス先生は英語の音と音のつながりをとても大切にしていますが、子どもたちは「耳コピー」ですぐに覚えてしまいます!

パリス先生:
アメリカ英語ってどちらかというとフラットな発音なんだよね。ジャズもそうだけど、ブリティッシュ英語の切ったような発音ではなくて、英語が全部つながったように聞こえるんだ。たとえば、「Amazing Grace」。これは、「zing」と「Grace」がつながっている。僕にとってはそういう歌い方が自然だし、「英語の歌」としても、その方が自然に聞こえるよね。

でも僕は、子どもたちに対してそんなふうに説明したことはないよ。英語教育をしているわけではないし、説明するよりも彼らの「耳コピー」の方が早いからね(笑)


「聞いた音」を「聞いたまま発音」。子どもたちの「耳コピー」の威力、おそるべし!

上手に歌うことよりも大切な「情熱を感じる心」

――レッスンを見学させていただきましたが、子どもたちの「耳コピー」には驚きました! 完全にネイティブの発音でしたから。最後に、パリス先生が一番大切だという「表現力」について教えていただけますか?

パリス先生:
ゴスペルの曲は、表現力をつけるのにとてもいい題材だと思う。なぜならば、ゴスペルは、情熱や感情を使って歌う曲だから。

最初に話したけど、ゴスペルのルーツはクリスチャンの精神なんだ。歌詞には「JESUS」や「GOD」という単語がよく出てくる。だから子どもたちには、その歌詞をそれぞれの「信じるもの」に置きかえてもらえたらいいな、と思っているよ。

それは「両親」でもいいし「友だち」でもいい。なにか自分が元気になれる源を関連づけてほしいんだ。そうしたら、もっともっと自分がオープンになれるから。そういう歌い方をすれば、絶対に聴いている人たちにも、気持ちが伝わるはずだよ。

感じる心は、楽譜には書いてないよね。だから僕はいつも、「自分がまず情熱を感じて、それを伝えるんだ!」と言ってるよ。そこが一番大切だから

最後にひとつメッセージを言ってもいい?
「挑戦することを恐れないで、自分を信じて、新しいことにチャレンジしよう! 行ってみないとわからないし、やってみないとわからないよ!」


大坪先生のピアノは音が生きていて、走ったり踊ったりしているようでした! パリス先生は大坪先生を「センセイ!」と呼んでいましたよ(笑)

***
子育てをしていると、つい「上手にできること」を重視してしまいますが、パリス先生の言うとおり「感じる心」が一番大切ですよね。相手がどう思っているのか、自分の思いをどう伝えたらいいのか、「感じる心」がなければ表現はできません。そして「感じる」感覚を研ぎ澄ますことができるのは、まさに幼少期の今! なのでしょうね。

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※現在「キッズゴスペルコース」は、『島村楽器ミュージックサロン池袋』のみでの開講となっています。