教育を考える 2019.3.23

過干渉の原因は親自身の「コンプレックス」!? 親子セットで自己肯定感を高めたほうがいい理由

編集部
過干渉の原因は親自身の「コンプレックス」!? 親子セットで自己肯定感を高めたほうがいい理由

「学力が高い子どもは自己肯定感も高い」という、学力と自己肯定感の関係性については、子どもの教育に高い関心を持つ読者の皆さんはよくご存じかもしれません。そしてきっと、子どもの自己肯定感を高めるための言葉がけなども、すでに実践済みかと思います。

しかし、「自己肯定感は親子セットで育むもの」ということまで知っている方は、あまり多くないのではないのでしょうか。子どもの学びや気づきをサポートする私たち親も同じように、自己肯定感を高めて接することが大切なのだそうです。

自己肯定感は大人になってからも高めることができます。今日からできる自己肯定感アップの方法についてご紹介しましょう。

「自己肯定感」が高い子どもは学力も伸びる

まず、「自己肯定感」について見てみましょう。

「自分ならできる」「ここに存在していていいんだ」「自分は愛されている」と思う気持ちが自己肯定感です。「自己効力感」「自己承認」「自己評価」「自尊心」なども同じような意味といえます。

心理学や教育学の文献では「自己肯定感」を次のように定義しています。

「自分の可能性を信じ, 自分はできるんだという自信をもち,肯定的に自己を認識すること」
「ありのままの自分を受け止め、自己の否定的な側面もふくめて、自分が自分であっても大丈夫という感覚である」

(引用元:田島賢侍, 奥住秀之(2013),「子どもの自尊感情・自己肯定感等についての定義及び尺 度に関する文献検討 : 肢体不自由児を対象とした予備的 調査も含めて」, 東京学芸大学紀要. 総合教育科学系 64(2): 19-30.)

また、自己肯定感と学力には関係があるともいわれています。毎年、小学6年生と中学3年生を対象に行なわれている全国学力・学習状況調査では、算数・国語(および3年に一度の理科)の学力調査のほか、学習や生活環境についてのアンケートも行なわれており、この調査結果から、自己肯定感と学力には関係があると指摘されています。

「自分には、よいところがあると思いますか」との質問に、肯定的に回答した児童生徒の割合は平成25年度以降、増加傾向が見られ、平成30年度は約8割となった。また、この質問に肯定的に回答した児童生徒の方が、平均正答率が高い傾向が見られた(ただし、中学校国語においては「どちらかといえば、当てはまる」と回答した生徒の平均正答率が最も高かった)。

(引用元:国立教育政策研究所|平成30年度全国学力・学習状況調査の結果 5.児童生徒の自己肯定感等に関する状況

平均正答率が高い子ほど自己肯定感も高いということに、因果関係がはっきり見出されているわけではありません。とはいえ、学力が高いと「自分は頑張れる」という自信につながり、その自信がまた学力アップの原動力になるのですから、やはり何らかの相関関係があるといっていいでしょう。

親の「自己肯定感」を高めるべき理由

子どもが毎日の生活で接する社会はあまり広くありません。お子さんに今日1日の出来事を聞いてみると、話の中に登場する人は、家族以外では園や学校、習い事で会う先生とお友だちがほとんどではないでしょうか。

このように、限られた範囲の人からの言葉や接し方にふれて自己肯定感を育んでいくことを考えると、子どもと最も近いところにいる両親の言葉や接し方は、子どもの自己肯定感を大きく左右するといってよさそうです。

もし毎日一緒にいるお母さん、お父さんの自己肯定感が低かったとしたら、子どもにどのような影響を及ぼすのでしょう。

(1)自己防衛のため、子どもに介入や干渉をしがち
子どもに対して「そんなやり方ではダメだよ」「ママの言うとおりにやってごらん」と口出ししてしまうのは、心配する気持ちだけではない場合も。うまくできるようにと子どものためを思ってアドバイスしているつもりでも、実は子どもがうまくできず失敗に終わると自分の価値が下がってしまうという恐怖感から口出しすることもあります。これは自己肯定感の低さによる自己防衛だと考えられます。

(2)子どもとの信頼関係が築きにくい
自己肯定感が低いと、親が自分自身を守りたいという気持ちが上回り、その心理が言動にも表れてしまいます。子どもは、親が自分のことを思ってくれているのではないと敏感に察知し、信頼関係が築きにくくなります。子どもは「お父さんやお母さんは自分を大事にしてくれる」「自分は認められている」と感じる経験が乏しくなり、自己肯定感を高めることは難しい状態になります。

今日から親子で自己肯定感アップ! 日常生活で意識したいこと

上述した理由からも、子どもの自己肯定感を高めるには、まず毎日近くにいる親の自己肯定感を高めることが第一といえるでしょう。

自己肯定感は大人になってからでも高めることができます。今日から始められる自己肯定感アップの方法をいくつかご紹介します。

■パートナーの良いところを褒める
夫婦の良好な関係は子どもの心の安定につながり、自己肯定感を育みます。パートナーの良いところを積極的に口に出して褒めるようにしましょう。また、褒められたら「ありがとう」と感謝することが習慣になると、夫婦間だけでなく子どもに対しても同じように接することができます。良いところを褒められ、感謝の気持ちを受け取ることは年齢に関係なく自己肯定感のアップにつながります。
■「できたこと」を親子で共有する
毎日、どんなに小さなことでもいいので「今日、これができた」ことを親子で共有し、認め合います。お風呂タイムに話し合ってもいいですし、交換日記スタイルで書いていくのもおすすめです。この方法は、できたことを少しずつ積み上げ、自信をつけて自己肯定感をアップさせるだけでなく、自分の考えをまとめて相手に伝わるように表現するプレゼンテーションのトレーニングにもなります。
■趣味や楽しみをもち、人づきあいを広げる
子育て以外にも視野を広げるために、やってみようと考えていた趣味を始めたり息抜きのショッピングや食べ歩きで楽しんだりしてみましょう。生活が充実することで自己肯定感もアップします。また、子どもの心配事はひとりで抱え込まず、友だちや子育て支援センターのスタッフなど周囲の人を頼ってみると、ひとりで悩んでいたときよりも楽観できるようになり「やれるところからやってみよう」と自分に自信がつくようにもなります。

どの方法も簡単に始められるものばかりです。一度に始めると続けられないと思えば、この中から始めやすいものを選んで試すのもおすすめです。

うまくいかないことを恐れず、まずは、私たち親が前向きに取り組んでみましょう。その姿を見せることも、子どもの自己肯定感を高めるための良い刺激になります

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子どものことを心配しているつもりでも、その言動の裏側に親自身の自己防衛やコンプレックスが隠れていることは少なくありません。子どもの成績をほかの子と比べる、兄弟姉妹で自転車や逆上がりのできた時期を比べるという例はもちろんですが、ハサミの使い方や絵の具の色使いなど、ちょっとアドバイスしたいと思ったときに、「これは誰のための言葉なのか?」と考えてみるといいかもしれませんね。

(参考)
田島賢侍, 奥住秀之(2013),「子どもの自尊感情・自己肯定感等についての定義及び尺 度に関する文献検討 : 肢体不自由児を対象とした予備的 調査も含めて」, 東京学芸大学紀要. 総合教育科学系 64(2): 19-30.
国立教育政策研究所|平成30年度全国学力・学習状況調査の結果 5.児童生徒の自己肯定感等に関する状況
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AERAdot.|親の「自己肯定感」が低いと子どもも低くなる? 簡単にアップする方法とは
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