教育を考える 2019.10.26

子どもが着る服、自分で選ぶと「自己肯定感が上がって頭も良くなる」!?

編集部
子どもが着る服、自分で選ぶと「自己肯定感が上がって頭も良くなる」!?

普段、お子さんが着る服は誰が選んでいますか? お子さん自身でしょうか? それとも、親御さんでしょうか? 親御さんのアドバイスをもとにお子さんが選んだり、お子さんの希望を聞いて親御さんが選んだりするご家庭もあるかもしれませんね。

じつは、近年この何気ない「服選び」という行為に、「教育効果」があることが注目されています。「服選び」に潜む効果について、詳しくご紹介しましょう。

「服選び」が「これから必要な力」を育む

主体性や自己肯定感が育つ

脳科学者の茂木健一郎氏は、「日本の子どもは “自分で決める力” が絶対的に欠けている」と警鐘を鳴らしています。選択する能力が磨かれないと、些細なことでも誰かの指示を仰ぐ「指示待ち人間」になったり、自分のやりたいことすらもわからなくなったりしてしまう可能性があるのです。

玉川大学大学院教育学研究科教授の大豆生田啓友教授によれば、組み合わせや気温を考えて、その日自分の着る服を選ぶといった「自分で考えて、自分で物事を決める」経験を重ねることによって、自己決定力が育つとのこと。同時に、子どもの自信や自己肯定感も育つと言います。

2011年に独立行政法人労働政策研究・研修機構が行なった調査では、企業が今後確保・育成することを最も重視する人材として「指示されたことだけでなく、自ら考え行動することのできる人材」が1位となりました。2018年に日本経済団体連合会が行なった調査では、企業が学生に求める資質、能力、知識として、「主体性」が1位です。いずれも、「自ら考えて行動する」ことに共通しています。

学校でも「自ら考えて行動する」力を必要とする「アクティブ・ラーニング」の授業が展開され始めています。「アクティブ・ラーニング」とは、生徒たちが受け身ではなく、能動的に学ぶ学習方法のこと。2018年にリクルート進学総研が行なった調査によれば、9割以上の高校がこうした学習方法を導入しています。

つまり、「自分が着る服を選ぶ」ことは、将来の進学先や就職先でも役立つ能力を伸ばしてくれるのです。

子どもの服02

勉強が得意になる

服選びと勉強。一見なんの関係もないように思えますが、じつはそうではありません。

株式会社エルカミノを設立し、出版、教育事業を行なっている村上綾一氏は、明日の洋服を自分で考えることで、「自分で考える」習慣が身につき、勉強が得意になると述べています。

特に10歳頃までの子どもは、勉強ができるようになるために勉強するというより、10歳までに日常生活でやったこと、それまでに身につけたかしこさが勉強に表れる―私はそう考えています。

(引用元:PHPファミリー|算数ができる子は自分で自分の服を選ぶ)

服を選ぶ際には、天気予報を見て自分の住む地域の天候や気温を把握し、長袖がいいのか、半袖がいいのか、重ね着をするのか、長靴を履くのか……などといった、あらゆることを自分で考えなければなりませんよね。服を選ぶ習慣によって、自分で考える力かしこさが身につき、結果的に「勉強ができる子ども」になるのだそう。

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UNIQLOも注目する「服選び」の効果

実際に、大企業でも服選びによる教育効果に期待する動きが見られます。大手アパレルメーカーの株式会社ファーストリテイリングは、全国のユニクロ店舗で、子どもが自分の意思で服を選ぶ体験型のサービス「はじめてのコーディネート体験MY FIRST OUTFIT(マイファースト アウトフィット)」を展開しています。

本サービスでは、ユニクロの店舗スタッフがお子様を見守りながらコーディネートをサポートし、親から離れてひとりで服選びを体験いただきます。最終的にお子様が自分で選んだ服を着てその姿をお披露目します。ひとりで服を選ぶという過程を通じて自己の成長を促す、ユニクロの考える「服育」サービスです。

(引用元:ユニクロ|プレスリリース

同社によれば、このサービスは、子どもの自ら考えて行動する、自立性を育むきっかけを提供することを目的としたものだそう。このように、服選びによる教育効果への期待度は、着実に高まり始めているのです。

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子どもに最適な “選ばせ方”

子どもに服を選ばせる際に、注意したいポイントをご紹介します。

はじめは一緒に考えながら
小さな子にとって、天気予報を見て、気温や天候、TPOから今日の服を決める……という作業は、いきなり任せるのは難しいものです。まずは、一緒に天気予報を見て、「○○ちゃんのおうちはどこかな?」「今日より気温が低いから長袖がいいかな?」「明日は外遊びをするから、スカートだと動きづらいかな?」と問いかけながら、服を決めるまでのプロセスを見せましょう。

 

子どもの意見を否定しない

子どもが「これを着たい」と主張したときには、たとえそれが真冬の半袖であろうと、頭ごなしに否定するのはNGです。まずは、なぜそれを着たいのか子どもの意見を聞きましょう。そして、「なるほど!」と子どもの意見に興味を示し、受け入れてから、「ママはこう思うな」と伝えます。ポジティブ育児研究所代表の佐藤めぐみ氏いわく、こうすることで、子どもは「パパ・ママと違う意見を言ってもいいんだ」「みんなと同じ意見じゃなくていいんだ」と安心し、考えることが楽しくなってくるのだとか。

 

まだ選べない子には、選択肢を作ってあげる
まだ上手に選べない子には、初めは親が選択肢を作ってあげると良いでしょう。色や柄だけ選ばせてもOKです。
モンテッソーリ教育施設「吉祥寺こどもの家」園長の百枝義雄氏によると、2択程度の小さな選択肢から始めて、だんだん選択肢を増やしていくのがオススメだそう。同氏いわく、小さい頃から小さな選択を積み重ねることで、自然と判断力がつき、自分で決められる大人になれるのだとか。

 

こうした経験の積み重ねで、子どもは「自ら考えて行動する」ことの喜びを知り、成長していきます。

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お子さんに自分の着る服を選ばせると、もうひとつ良いことがあります。それは、親御さん自身がお子さんの好みを知れるということです。お子さんの意外な一面を見たり、新たな成長を実感したりできるかもしれませんよ。

(参考)
ユニクロ|プレスリリース
ママテナ|【子どもの服選び】親の口出しが子の自己決定力をつぶす!?
東洋経済ONLINE|家でもできる「モンテッソーリ教育」のコツ
独立行政法人労働政策研究・研修機構|「入職初期のキャリア形成と世代間コミュニケーションに関する調査」
リセマム|企業が求める学生の資質、1位は「主体性」経団連調査
リクルート進学総研|高校教育改革に関する調査
ウーマンエキサイト|子どもが「自分で選ぶ・決める」ってじつはすごい! ユニクロの体験型サービス「MY FIRST OUTFIT」レポート
All About|子供を「指示待ち人間」にしない育て方!言うこと聞く子ほど要注意
『これからの未来を生き抜く できる子の育て方』(2018年),洋泉社MOOK.
PHPファミリー|算数ができる子は自分で自分の服を選ぶ
All About|判断力、決断力がある子って何が違う?