公園で、子どもの友だちのパパとうちのパパが、それぞれ別の方向を見て静かに立っている。ママ同士なら「今日は空いてますね」のひとことから会話が始まるのに、パパたちのあいだには、なんとも言えない沈黙が流れている。
「なんで話さないんだろう」と不思議に思ったことはありませんか。じつはそこには、冷たさでも人見知りでもない、ママ友とパパ友の「つながり方の違い」が隠れているようです。この記事では、その違いの正体をひもといてみます。
目次
ママには自然にできる「あの立ち話」が、なぜパパには難しいのか
送迎、公園、行事。ママたちのつながりは、顔を合わせる回数の多さと、「暑いですね」「もう年長さんですか」といった小さな立ち話の積み重ねから、いつのまにか育っていきます。思い返せば、いまのママ友も、最初は名前も知らない「〇〇ちゃんのママ」だったはず。
一方、多くのパパたちには、この積み重ねの土台がそろいにくい事情があります。まず、単純に接点の回数が少ないこと。週末だけの公園では、同じ相手と何度も顔を合わせるまでに時間がかかります。
そしてもうひとつ。相手のパパが、家庭でどれくらい育児に関わっているのかが、外からは見えないこと。持ち物の名前書きに追われているパパなのか、送迎だけを担当しているパパなのか。共通の話題がどこにあるか分からないまま話しかけるのは、思いのほか勇気がいるものです。
つまり、話しかけないのではなく、話しかけるための手がかりが少ない。そう考えると、公園の沈黙が少し違って見えてきませんか。
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研究から見える、女性と男性の「つながり方」の違い
ママ友とパパ友の違いには、環境だけでなく、友人関係のスタイルそのものの傾向差も関わっているようです。
世界9地域、約11万件のSNSプロフィール写真を分析した研究では、女性は1対1の親密な関係を、男性はより大人数のグループでのつながりを好む傾向が示されました。(オックスフォード大学、タマス・デイヴィッド=バレット博士ら)*1
つまり、女性の友情は「ふたりでじっくり話す」かたちに、男性の友情は「集団で何かを一緒にする」かたちに向かいやすい、ということ。ママ友文化の中心にある「ふたりでランチ」「立ち話で本音を交換」は、じつは女性型のつながり方に合った形式なのです。
自分のことを話す量にも、傾向差が報告されています。205の研究を統合した分析では、女性のほうが男性よりも自己開示、つまり自分の気持ちや悩みを打ち明ける傾向がやや強いことが示されました。(ウィスコンシン大学ミルウォーキー校、キャスリン・ディンディア教授ら)*2
さらに、子ども時代の仲間関係を調べた研究の分析でも、女の子は少人数で語り合う関係を、男の子は大人数で活動を共にする関係を築きやすい傾向が報告されています。(ミズーリ大学、アマンダ・ローズ教授ら)*3
つながり方の型は、大人になって突然生まれるものではなく、ずいぶん前から育まれてきたもののようです。ここまでの違いを整理すると、こんなイメージです。
| ママ友 | パパ友 | |
|---|---|---|
| つながりの単位 | 1対1や少人数でじっくり | グループでゆるく |
| 関係の育ち方 | 立ち話・ランチなど会話の積み重ね | 活動やイベントを共にする経験 |
| 会話のスタイル | 悩みや気持ちを打ち明け合う | 趣味や共通の話題を楽しむ |
| 接点の量 | 送迎・行事で毎日のように | 週末中心で限られがち |
※いずれも平均的な傾向で、個人差があります
もちろん、これらはあくまで平均的な傾向の話。おしゃべり好きなパパも、ひとりの時間を大切にしたいママもいます。ただ、「パパも私と同じやり方で友だちをつくるはず」という前提を一度手放すと、見え方が変わってくるのではないでしょうか。
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「パパが送迎して偉いね」が、見えない壁になっていることも
もうひとつ、パパ同士の会話を難しくしているものがあります。それは、父親の育児がまだ「特別なこと」として扱われがちな空気です。
「パパが送迎なんて偉いね」。悪気のないほめ言葉ですが、言われた側からすると、自分が「めずらしい存在」だと確認させられる瞬間でもあります。特別扱いされているうちは、隣のパパに「お互い大変ですよね」と気軽に言いにくい。同じ立場の仲間ではなく、それぞれが「例外」として点在している感覚に近いのだと思います。
ママたちが当たり前に共有している「大変だよね」のひとことは、「育児をしていて当たり前」という共通の土台があってこそ成立するもの。パパたちの沈黙の背景には、その土台がまだ育ちきっていない、社会の側の事情もあるようです。
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違いが分かると、公園の沈黙が違って見えてくる
ここまで見てきた違いを踏まえると、パパ友は「ママ友のパパ版」ではない、ということが見えてきます。ふたりでじっくり話す関係が育ちにくくても、キャンプやスポーツのような「集団で何かをする場」でなら、パパたちのつながりは案外すんなり生まれたりします。無言で並んで子どもを見守る時間も、男性型のつながり方から見れば、立派な「一緒に過ごす」時間なのだと捉えることもできます。
だから、公園でうちのパパが誰とも話していなくても、焦る必要はなさそうです。ママと同じ道筋をたどっていないだけで、パパにはパパのペースと型がある。その違いを知っているだけで、隣で立つパパの横顔に向ける眼差しは、少し柔らかくなるのではないでしょうか。
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ママ友とパパ友は、育つ土壌も、育ち方も違うもの。「うちのパパ、友だちづくりが下手なのかな」と心配になったら、下手なのではなく型が違うのだと思い出してみてください。ふたつの違いを知っていることは、パパを理解するための、小さくて確かな手がかりになってくれるはずです。
FAQ(よくある質問)
Q. ママ友とパパ友のいちばん大きな違いは何ですか?
A. 接点の量と、つながり方の型です。ママ友は日々の送迎や立ち話の積み重ねから育ちやすいのに対し、パパ友は接点が少なく、また男性は1対1で語り合うより集団で活動を共にする関係を好む傾向が研究で示されています。
Q. うちのパパが公園で他のパパと話しません。心配したほうがいいですか?
A. 話さないこと自体は心配のサインではなさそうです。手がかりが少なくて話しかけにくいだけの場合や、無言で並ぶことが本人にとって自然な距離感の場合もあります。本人が困っている様子がなければ、見守りで充分です。
Q. パパ友ができやすい場はありますか?
A. 「集団で何かをする場」が向いているようです。運動会の設営手伝い、子どもの習い事のイベント、地域のキャンプや草野球など、会話が目的ではなく活動が目的の場だと、男性同士のつながりは自然に生まれやすいと考えられます。
(参考)
*1 David-Barrett, T., Rotkirch, A., Carney, J., Behncke Izquierdo, I., Krems, J. A., Townley, D., McDaniell, E., Byrne-Smith, A., & Dunbar, R. I. M. (2015)|Women Favour Dyadic Relationships, but Men Prefer Clubs: Cross-Cultural Evidence from Social Networking. PLOS ONE, 10(3), e0118329.
*2 Dindia, K., & Allen, M. (1992)|Sex differences in self-disclosure: A meta-analysis. Psychological Bulletin, 112(1), 106-124.
*3 Rose, A. J., & Rudolph, K. D. (2006)|A review of sex differences in peer relationship processes: Potential trade-offs for the emotional and behavioral development of girls and boys. Psychological Bulletin, 132(1), 98-131.









