「うちの子、みんなを引っ張っていくのが好き」「いつも友達に指示していて……」。子育てをしていると、子どもの性格や行動に驚かされることがありますよね。でも、それは子どもがもともともっている「個性」や「気質」の表れかもしれません。
本記事では、マイヤーズ氏とブリッグス氏が提唱するMBTI(Myers-Briggs Type Indicator)をもとにした、「こどもまなびラボ」オリジナルの子ども向け性格タイプ分類から、「ENTJタイプ(大人顔負け隊長さん)」の子どもについて詳しく紹介します。ENTJタイプのお子さんがもつ特性を伸ばしつつ、バランスよく成長できるための具体的な育て方を見ていきましょう。
なお、ここでご紹介する内容はあくまで一つの指針です。子ども一人ひとりの個性は異なりますので、「こうあるべき」という正解はありません。お子さんの様子を見ながら、参考にしていただければ幸いです。
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目次
ENTJタイプ「大人顔負け隊長さん」ってどんな子?
ENTJタイプは、「外向的(E)×直観型(N)×思考型(T)×判断型(J)」を組み合わせた性格タイプです。「こどもまなびラボ」では、リーダーシップ能力と決断力が高く、年齢を超えた責任感をもつことから、オリジナルで「大人顔負け隊長さん(タイチョウ)」と名付けています。
効率的に物事を進め、明確な目標に向かって周囲を導くことが得意で、驚くほど早くから主体性を発揮する子どもです。
ENTJタイプの子どもの基本的な特徴
・外向的な性格:積極的に自分の意見を表現し、集団の中心になることが多い
・戦略的思考:長期的な見通しを立て、目標達成のための計画を考えるのが得意
・決断力:複数の選択肢から素早く決断し、行動に移せる
・リーダーシップ:自然とグループをまとめる役割を担うことが多い
・高い達成意欲:自分で設定した目標に向かって粘り強く取り組む
ENTJタイプの子どもの日常生活での様子
ENTJタイプのお子さんは、遊びでもリーダーシップを発揮し、ルールを決めたり、役割分担をしたりすることが好きです。「お店屋さんごっこをするなら、メニューを作って、値段を決めて、お客さんを呼び込む方法を考えよう」というように、遊びにも戦略性が見られます。
また、目標を立てて達成することに喜びを感じ、自分で決めたスケジュールに沿って行動する傾向があります。たとえば、宿題や習い事の練習を計画的にこなしたり、貯金して欲しいものを買うための計画を立てたりします。
ENTJ「大人顔負け隊長さん」の子どもを育てるためのヒント
ENTJの子どもの主な気質に合わせた育て方のヒントをご紹介します。それぞれの特性を活かしながら、バランスよく成長できるようサポートしましょう。
1. 交流の機会をつくる
外向的なENTJタイプの子どもには、多様な人と交流できる機会を提供することで、コミュニケーション能力やリーダーシップがさらに磨かれます。
2. 長期プロジェクトを任せる
計画性と戦略的思考が得意なENTJタイプの子どもには、長期的な見通しを立てられるプロジェクトを任せることで、その能力がさらに伸びます。
3. 選択の機会を増やす
素早く決断できるENTJタイプの子どもには、日常生活のなかで選択肢を与え、自分で決める機会を増やすことで、責任感と自信を育めます。
4. リーダーシップを発揮できる場をつくる
自然とリーダーシップを発揮するENTJタイプの子どもには、その能力を適切に活かせる場を提供することで、他者をサポートする喜びを感じられます。
5. 目標に向かう過程を楽しませる
目標達成への意欲が高いENTJタイプの子どもには、その情熱を応援しながらも、目標に向かう過程自体を楽しむ大切さも伝えましょう。
ENTJ「大人顔負け隊長さん」タイプの子どもに向いている?! 【習い事編】
ENTJタイプの子どもの特性を活かせる習い事や活動には、以下のようなものがあります。
・スポーツチーム、ボーイ/ガールスカウトなどの団体活動:リーダーシップを発揮できる
・ディベート:論理的思考と説得力を鍛えられる
・起業家体験プログラム:戦略的思考と実行力が養われる
・チェスや将棋:戦略的思考が求められる
・模擬国連や子ども議会:交渉力や調整力を育める
・演劇:チームでの協力と自己表現が学べる
・プレゼンテーション教室:説得力のある伝え方を学べる
習い事を選ぶときは、個人の活動よりもチームでの活動、特にリーダーシップを発揮できる場があるものが向いています。ただし、常にリーダーを担うだけでなく、時にはフォロワーの立場を経験することも大切な学びになるでしょう。
ENTJ「大人顔負け隊長さん」タイプの子どもに向いている?! 【仕事編】
ENTJタイプの子どもは、将来、リーダーシップと決断力を活かせる分野で活躍が期待できます。MBTIの提唱者であるマイヤーズとブリッグスは、ENTJの特性として組織をまとめ上げる力や、長期的なビジョンを実現する能力に優れるとしています。
・経営者やCEO:組織を率いる能力が活かせる
・プロジェクトマネージャー:目標達成のための指揮調整能力が重要
・弁護士:論理的思考と説得力が必要
・コンサルタント:課題を分析し効率的な解決策を提案できる
・起業家:ビジョンをもち、それを実現するリーダーシップが求められる
・政治家や外交官:交渉力と戦略的思考が活かせる
・教育者や学校管理者:生徒をまとめる力や教育システム全体を把握する力が生かせる
・経営コンサルタント:企業の戦略立案と実行支援が求められる
これらの職業は、ENTJがもつリーダーシップと戦略的思考の性格特性と非常に相性がよく、具体的な根拠として心理学的な研究やMBTI理論で推奨されています。
もちろん、これはあくまで傾向であり、個人の興味や能力、環境によって向き不向きは変わってきます。子どもの「好き」を大切にしながら、可能性を広げていくサポートが重要です。
科学的位置付けと注意点
MBTIは心理学的理論に基づいていますが、その妥当性や信頼性については賛否両論があります。また、性格や気質を理解する理論は他にもさまざま存在します。
たとえば、ENTJタイプの子どもは、トーマスとチェスの「気質の9分類」では、新しい環境に積極的に関わる「接近・回避」や、活動レベルの高さを示す「活動性」、そして目標に向かって粘り強く取り組む「持続性」が強いという特徴的な組み合わせをもつことが多いでしょう
また、ビッグファイブ理論では、ENTJタイプの子どもは目標達成に向けて計画的に取り組む「誠実性」と、社交的で積極的な「外向性」が非常に高いと特徴づけられることが多いでしょう。
しかし、こうした性格分類は、どれも参考のひとつにすぎません。タイプにとらわれすぎず、子どもの個性を尊重しながら、必要に応じて専門家の見解も参考にしてください。性格タイプはあくまで子どもの理解を深めるためのひとつの視点であり、子育ての参考として柔軟に活用することが大切です。
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リーダーシップと決断力をもつENTJタイプの子どもたちは、将来のリーダーとして社会に大きく貢献できる可能性を秘めています。その特性を理解し、バランスのとれた成長をサポートすることで、子どもたちが自分らしく輝ける未来へと導いてあげましょう。
(参考)
The Myers-Briggs|Self-awareness starts here
The Myers-Briggs|Personality type for kids — why it matters
16Personalities|INTPの性格(指揮官)
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