あたまを使う/教育を考える/国語/本・絵本 2018.8.12

読み聞かせはいつまで? 子どもにとってベストな卒業時期&ひとり読みへ上手に導くコツ

読み聞かせはいつまで? 子どもにとってベストな卒業時期&ひとり読みへ上手に導くコツ

「ねえ、この絵本読んで!」夜眠る前など、お子さまからこんなふうにせがまれたりしませんか? 親にとっては大変ですが、1日の終わりの読み聞かせは、親子のコミュニケーションには欠かせない時間です。

しかし、読み聞かせを卒業するときはいつかやってきます。自然にひとりで本を読みはじめるのであればいいのですが、いつになっても親に本を読んでもらいたがると、「うちの子は大丈夫かしら?」と心配するご両親もいるかもしれません。

では、子どもが読み聞かせを卒業するのは、どんなタイミングがベストなのでしょうか

読み聞かせは子どもにも親にもメリットがある!

そもそも、読み聞かせは子どもにとってどんなメリットがあるのでしょう。

平成21年度に行われた「子ども読書活動推進に関する評価・分析事業報告書」によると、小学校入学以前に家庭で読み聞かせをしてもらった子どもは、読んでもらわなかった子どもより、「読書に対する興味」は約30ポイント、「学校の授業の楽しさ」が約20ポイント高かった(小学校2年時)という調査結果があるそう。つまり、幼少期の読み聞かせは、子どもの学習意欲や読書に対する興味に影響があるようです。

また、情緒面でのメリットも。子どもは親に読み聞かせをしてもらうことで絵本の登場人物になりきり、想像の世界を冒険します。その中で、喜びや楽しさ、悲しみや悔しさなどを体感することで、喜怒哀楽の感情が豊かになったり、人の痛みや喜びを分かち合える共感性が生まれると言います。

実は「絵本の読み聞かせ」は子どもにとって良いだけでなく、読み手である大人の心にも大きな変化をもたらすことは、あまり知られていません。読み手である大人の「考え方」に変化が起こり、変えたくても変えられなかった「行動」や「感情の習慣」に変化が起こるのです。

(引用元:JAPAN絵本読み聞かせ協会|代表理事からのご挨拶

そしてこのように、読み聞かせは子どもだけでなく、親にとってもさまざまなメリットがあると言えそうです。

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「文字が読める」ことと「本を読む」は違う体験!

小さな頃は、文字が読めない我が子に絵本の読み聞かせを当たり前のようにしていたお母さんお父さんも、子どもがある程度文字を読めるようになってくると、絵本の読み聞かせはそろそろ卒業かな? と思うかもしれません。でも、文字が読めるのと本が読めるとは、別のようです。

お子さまが文字を読めるようになったら、読み聞かせを終わらせて自分で読ませた方がいいかもしれない、と考える保護者のかたもいるかもしれません。とはいえ、たとえ自分で字が読めても、耳で聞くのはまた違った体験です。お子さまが「読んで」と言ってくるうちはぜひ読んであげましょう。

(引用元:ベネッセ 教育情報サイト|絵本の読み聞かせをしよう! メリットやコツをご紹介

自分で字を読むことと、耳で聞くのとでは違った体験で、それぞれが子どもにとっては大切なのです。また、子どもが文字を読めるようになったからといって、絵本のおはなしを楽しめているとは限りません。ひとりで本が読めるようになっても、おはなしを聞く喜びは別のもの。小学生には、小学生の読み聞かせの楽しさがあるようです。

読み聞かせはいつまで? 子どもにとってベストな卒業時期&ひとり読みへ上手に導くコツ2

ひとり読みを始める時期は子どもまかせでOK!

小学校に入学すると、学校の図書館で本を借りて読む習慣が身につき、多くのお子さんがひとりで本を読み始める時期です。

平成16年度に文部科学省が行なった調査によると、子どもに本の読み聞かせをしていた時期は、「6歳になるまで」が25.3%、「小学校低学年まで」が22%と、合わせて約半数をこの時期が占めていたものの、「5歳になるまで」や「小学校中学年まで」「小学校高学年まで」という回答もあり、読み聞かせの時期の幅は個人差が大きいことがわかりました。

読み聞かせを卒業して、ひとりで読み始める時期は子どもそれぞれ。まずは、自分で読み始めるまで、ご両親はじっくり待ってみていいでしょう。家では「本を読んで!」とせがんでくるお子さんも、幼稚園や保育園、小学校にいる間は自分で本を読んでいるものです。家に帰って、ご両親の読み聞かせを自然と求め、その時間を楽しんでいるのかもしれません。

子どもにとってベストな読み聞かせの卒業時期は、その子が自然にひとり読みを楽しみ出す時期と言えそうですね。

ひとり読みの楽しさを知ってもらうために親がすること

読み聞かせを卒業する時期は子ども次第ではありますが、小学校低学年〜中学年ぐらいになれば、少しずつでも “ひとり読み” の楽しさも味わってもらいたいものです。では、どのようにして子どもの “ひとり読み” を導くのがいいのでしょうか。

まずは、ひとりで読んでも楽しいと思える本に出会うことです。絵本に近いイラスト入りの本だったり、ワクワクする仕掛けがあったり。子どもが好むテーマやストーリーの1冊を、親が一緒に選んであげるとスムーズです。また、大きな文字と短い文で構成されたものだと、飽きずに一気に読めていいでしょう。本をいきなりひとりで読むのではなく、まずはご両親と一緒に読みながら、徐々にひとり読みに慣れていくのがおすすめです。

「本をひとりで読めた!」という喜びや達成感を味わいながら、子どもは少しずつひとり読みに慣れ、自然と読み聞かせから卒業していきます。

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ひとり読みを始めてからも、子どもはお母さんやお父さんに本を読んでもらうのはうれしいもの。読み聞かせは本を通じて親子で同じテーマを共有でき、それが親子の会話やコミュニケーションにつながります。子どもがひとりで本を読みはじめてからも、「本を読んで」と甘えてきたら、ちょっと手を止めて本を読んであげられる気持ちを親はいつでも持っていたいものですね。

文/内田あり

(参考)
文部科学省|親と子の読書活動等に関する調査−第3章 2子どもの読書活動への支援の状況 (3)読み聞かせの状況
JAPAN絵本読み聞かせ協会
EhonNaviStyle|【news】はじめてのひとり読みにぴったりの、「ランドセル名作 3びきのおばけ」
ベネッセ 教育情報サイト|小学生が喜ぶ!「読み聞かせ」のコツと本の選び方