教育を考える 2024.9.4

毎朝イライラさようなら! 年齢別・子どもの時間管理力アップ大作戦

毎朝イライラさようなら! 年齢別・子どもの時間管理力アップ大作戦

(この記事はAmazonアフィリエイトを含みます)

「早く片付けなさい!」「急いで準備して!」 毎朝、こんな言葉を繰り返していませんか? 時間に追われる朝の慌ただしさ、そして後悔とストレス。多くの親が悩む子どものスケジュール管理。実は、これには秘訣があるんです。

今回は、子どもの時間感覚を育てる方法と、効果的な声かけのコツを年齢別にご紹介します。驚くかもしれませんが、これらのテクニックを使えば、お子さんが自主的に時間を管理できるようになるんです。そうなれば、親子ともにストレスフリーな毎日が待っていますよ。さあ、未来の子ども達の姿を想像しながら、一緒に学んでいきましょう!

子どもが時間を意識して行動できないのはなぜ?

時間の概念があまりない小さな子どもに何度も声かけしていると、「どうして何回言ってもできないの?」「うちの子、特別だらしないのかな……」など、イライラしたり落ち込んだりしますよね。

ですが、相手は子どもですから仕方のないことなのです。行動科学の専門家である石田淳氏は「性格的にだらしがないのではなく、やろうと思っていても、新しいことや興味のあることに気を取られて忘れてしまう」のが子どもの特性と述べています。しかも、最難関中学合格を目標にしている子でも、自主的に計画を立て実行できる子どもは “ごくわずか” なのだそう。習い事の前に宿題を済ませておこう! などと考えられないのが子どもなのです。(*1)

とはいえ、大人になってからもルーズな感覚のままでいると、その子自身が困ることになるのは明らかです。今後ますます「時間管理力」が求められる時代。その力が身についているのといないのとでは、大学生や社会人になってからの「生きづらさ」にもつながる可能性があります。

子どもの時間管理術02

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時間管理が苦手なまま大きくなると、将来どうなる?

ビジネス数学の第一人者である深沢真太郎氏は、多くの企業で研修をおこなってきた経験から、「数字が苦手だと言うビジネスパーソンや、数字の活用ができず生産性が上がらない組織」の共通点を「時間に対する感覚が根本的に足りていない」と分析しています。つまり、仕事を時間でとらえる感覚が不足しているのです。

具体的には、「10分間で(この資料を)まとめて」「1分程度で手短に説明して」といったリクエストに対応できず、必ず時間をオーバーしてしまうのだそう。換言すれば、耳で聞いただけの「10分間」という情報を、現実的な量としてとらえられず、自分の仕事を「時間」という量的概念でとらえる習慣がないということ。

深沢氏は、これまで2万人以上のビジネスパーソンを指導してきた経験から、「研修中に時間にルーズだった人で、数字に強く成果も出していると言える人はひとりもいない」と断言しています。(*2)

現在すでに、仕事での単純作業は減少傾向にあり、一人に対して複数のタスクが求められている状況です。だからこそ、時間を管理する能力は、未来の社会を生きる子どもたちにとって、なおいっそう必要になってくるでしょう。

すでに社会人であるお父さん、お母さんは、よくご存じだと思いますが、「約束の時間や期日を守ることができる人」は、仕事をするうえでもプライベートでも信頼されますよね。逆に、どんなに勉強ができても「時間管理ができない人」は、だらしのないイメージがつきまといますし、結果的に仕事でも人間関係でも信用されないのではないでしょうか。

では、子どもに「時間の大切さ」や「先を見通して行動することの重要性」を教えるには、どうしたらよい? 次項では、年齢に応じた具体的な方法をご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。

子どもの時間管理術03

親子でトレーニング! 年齢別・時間管理力を鍛える方法

時間感覚や時計に対する概念は、年齢によって理解度に大きな差があります。そのため、まだ時計が読めない子が多い未就学児には声かけにも工夫が必要だったり、時間感覚がつかめてきた中学年くらいからは勉強のスケジュール管理をさせたりと、年齢に応じたトレーニングが求められるでしょう。ここでは、すぐに取り入れられる簡単なトレーニング法や声かけ法、またおすすめのアイテムをご紹介します。

【未就学児(3歳~小学校入学前)向け】

時間の概念は難しいものなので、「生活や遊びの中で無理なく、その子のペースに合わせて学び進めることが大切」と話すのは、楽しく子どもが知性を鍛える「楽勉(らくべん)」を推奨する教育評論家の親野智可等氏。自然に楽しく時間に親しむことで「時計っておもしろい!」という前向きな意欲を引き出すことをすすめています。

まだ数字が読めない3歳児でも、時計に親しむことは可能です。方法としては、家のなかのあらゆる場所にアナログ時計を置いて、常に時計が目に入る環境を作るのがおすすめ。親野氏によると、「時計がつねに目につく環境で、『長い針が上に来たら終わりだよ』と声かけすることで、自然と時間や時計を理解できるようになる」そうですよ。(*3)

ポイントは「早く!」「急いで!」という抽象的な指示ではなく、「長い針が6になったら出かけようね」とわかりやすい言い方を心がけること。子どもが楽しく時計に慣れるためにも、できるだけポジティブな声かけをしましょう。

■こちらもオススメ!
音の出る とけいえほん いまなんじ?』(金の星社)

↑音声で時間を教えてくれる絵本。楽しいクイズもあり、遊びながら時間の学習ができますよ。

【低学年(小学校1・2年生)向け】

小学校に入学すると、時間割に沿った行動を求められたり、家でも宿題をやらなければならなかったりと、自分の頭のなかで時間を意識する生活が始まります。でもまだ時間管理という意識が薄いため、親としてはあれこれと手や口を出してしまいがち。そんな親に対して、子どもの時間管理についての書籍『時間のマネジメント』(合同出版)の著者で、ことばキャンプ教室主宰の高取しづか氏は、「子どもが時間を考えて行動するためには、『子どもの時間はその子自身のもの』と親が認識することから」と苦言を呈します。

もし子どもが遅刻したとしても、それは「親の問題」ではありません。「子どもの問題」なのです。そこで、見放すのではなく、「〇〇ちゃんが困らないように頑張ろうね」とサポートする姿勢でいることが大切になります。「お友だちとたくさん遊べるように早く準備しよう」などメリットも合わせて伝えて、子どもが自ら動き出すのをサポートすることがポイントです。(*4)

また、マグネットシートやホワイトボードを使った「見える化」を取り入れるのもおすすめ。「きがえる」「あさごはんをたべる」「はをみがく」など、クリアした項目を「やったこと」リストに移動させれば、自分の行動の結果が可視化できるのでやる気につながりますよ。

■こちらもオススメ!
クツワ METETE おうちの時間割りボード

↑子どもの成長と自立をサポートする「おうちの時間割りボード」は、子どもが自ら学び、考え、判断し、表現する力を育てます。できたことはマグネットを裏返せば、可視化できて習慣化につながりますよ。親子のコミュニケーションにも◎

【中学年(小学校3・4年生)以上向け】

時間感覚が身につき始めた中学年。学習面でもだんだん難しくなってくる時期なので、学校の宿題に時間がかかったり塾に通い始めたりと、日常生活+学習時間のバランスに頭を悩ませ始める学年でもあります。子どもが自分でスケジュール管理をするなら、予定を立てることより、振り返りの時間を重視してください。

たとえば、自分で立てた勉強スケジュールを実践したところ、思い通りに進まなかったとします。「30分を予定していたけれど1時間もかかってしまった」のであれば、以下の2つのパターンが考えられるでしょう。

【パターンA】ちゃんと勉強していたのに、思ったよりも時間がかかってしまった。
【パターンB】ダラダラ勉強していたら、結果的に1時間かかってしまった。

【パターンA】であれば、「次からは1時間を見込んでおく」「30分で終わる課題にする」などの軌道修正が必要ですし、【パターンB】ならば、「ダラダラしないようにタイマーセットして勉強する」「15分×2セットにする」などのアクションを考えたほうがよさそうです。

受験生にスケジュール管理を指導している、伸学会代表の菊池洋匡氏は、中学受験をする子でも「最初から上手にスケジュールを立てられる子なんていない」と言っています。振り返りと次のアクションを繰り返すことが大切なのです。(*5)

高学年以降になってタスク管理ができていると自信にもつながるため、早い時期から学習時間を含めたスケジュール管理トレーニングをすることをおすすめします。

■こちらもオススメ!
キッズ用スマートウォッチ

キッズ用高性能スマートウォッチ。スマホをもたせるのはまだ早いと思われる方でも、最低限の機能が付いたスマートウォッチなら安心ですね。タイマーやストップウォッチ、カレンダー機能なども搭載しているので時間管理にもぴったり!

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時間感覚は自然に身に付くものではありますが、小さいうちは親がサポートしてあげることでスムーズに理解できるので、暮らしの中で時間や時計に興味を持たせることも大切です。学年が上がるにつれて、スケジュール管理や学習計画を立てるのが難しくなってきますが、親子で一緒に楽しみながら取り組んでみてくださいね。

文/野口燈

(参考)
(*1)参考・カギカッコ内引用元:AERA Kids Plus|「時間にだらしない」のは性格ではない! 時間管理がうまい家が使っているもの
(*2)参考・カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|「時間にルーズな人」ほど数字に弱すぎる納得の訳
(*3)参考・カギカッコ内引用元:コクリコ|年少からの「子ども時間管理術」を時間教育の専門家が伝授!
(*4)参考・カギカッコ内引用元:Gakken こそだてまっぷ|子どもができる時間管理!子どもに時間を意識させる伝え方
(*5)参考・カギカッコ内引用元:YouTube|【成績が伸びる子の特徴】驚くほど勉強の質が上がるスケジュール管理法6選