教育を考える 2019.5.11

「SQ」って知ってる? 今を生きる子どもたちに「社会的指数」が重要なワケ

「SQ」って知ってる? 今を生きる子どもたちに「社会的指数」が重要なワケ

子どもの知能を示す「IQ」とは別に、昨今では「SQ」という指数に注目が集まっていることをご存知でしょうか?

SQが高い子どもは、一人ひとりの個性や多様性が重視されるこれからの社会で活躍できるといわれています。今回は、SQの意味や役割、それを高めるポイントについてご紹介しましょう。

そもそも「SQ」って? 今、子ども達に求められる能力とは

「SQ」とよく似た言葉に、IQEQがあります。しかし、この2つはSQとは少し異なったものです。IQは、Intelligence Quotient(知能指数)の略で、俗にいう「頭の良さ」を指すものとしてよく知られていますよね。そして、EQはEmotional Intelligence Quotientの略で、「感情指数」「心の知能指数」とも呼ばれています。自分自身の感情を把握してコントロールすることで、その場に合った言動をとれるかどうか、また相手の感情を理解しながら適切な配慮をし、他者との関係を良好にできるかどうかを指しています。

SQ(Social Intelligence Quotient)とは、著書『EQ こころの知能指数』を通してEQの認知度の向上に貢献したアメリカの心理学者ダニエル・ゴールマンが発表した概念であり、コミュニケーション能力や社会性の高さを指すものです。「社会的指数」「生き方の知能指数」などとも呼ばれています。

SQが高い人は、自分の考えを相手が理解できるようにまとめて、わかりやすく伝えることができ、人に何かをお願いしたり、されたりといった協力することの大切さをしっかりと理解できる傾向にあります。さらには、自分なりの目標を作って取り組んだり成功しても謙虚な気持ちを忘れずにまた新たな挑戦ができたりするという特徴も。

ダニエル・ゴールマンは、EQの考え方に脳科学研究をプラスすることで、SQを生み出しました。著書『SQ 生きかたの知能指数』では以下のように述べています。

人生でかかわりあう人々から受ける作用によって、気分だけでなく身体そのものが影響され、形成されることを自覚して、賢明に行動しなければならない。また、逆に自分自身が他人の情動や健康にどのような影響を与えるかも、よく考えてみなければならない

(引用元:ダニエル・ゴールマン(2007),『SQ 生きかたの知能指数』,日本経済新聞出版社.)

人が生きていくためには、家族や友だち、学校の先生や職場の人々など、誰かとコミュニケーションをとることが不可欠です。周りの人々とうまくかかわれるかどうかは、自分がその環境で快適に過ごせるかどうかや、社会に出てからの生き方に大きく影響します。そのため、小さな頃からSQを高めていくことは、子どもが人とのつながりからさまざまなことを学んだり、子ども自身が生きやすくなったりするためにも非常に重要なのです。

今を生きる子どもたちに「社会的指数」が重要なワケ2

子どもの知的好奇心を育てる3つのポイント
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「SQの低さ」が招きかねない恐ろしい将来とは

昨今では、不登校引きこもり犯罪行為など、さまざまな問題が子どもたちを取り囲んでいます。こうした問題を回避するためにも、SQを育てることが重要です。

SQが低いと、共感力が低く相手の気持ちが理解できなかったり友だちや家族と信頼関係を結びづらくなったりするなどの弊害があります。さらに、キレやすく攻撃的な性格になって人をいじめたり、周囲から孤立したりしてしまうことも……。こうなってしまうと、子どもは生きにくさを感じるようになり、自己肯定感が低くなったり、強い孤独感を覚えたりするようになります。そこから不登校や引きこもりになってしまったり、危険行為や犯罪行為に走ったりする危険性があるのです。

子どもがすこやかで楽しく、安心・安全な毎日を送るためにも、SQを育てることは欠かせないといえるでしょう。

今を生きる子どもたちに「社会的指数」が重要なワケ3

SQを育むために重要な3つのポイント

SQは「愛情が感じられるやりとり」をすることで育っていくといわれています。具体的には、子どもと接する際に以下のポイントをおさえることが有効です。

愛情をめいっぱい表現する

子どもと接する際には、愛情表現を忘れないようにしましょう。

愛情表現にはさまざまな種類があります。例えば、アイコンタクトを欠かさない、タッチハグ手をつなぐなどのスキンシップを習慣にする、子どもの話にしっかりと耳を傾けてリアクションする、などです。

いずれも当たり前のように思えますが、忙しさに追われるとついつい忘れがちになってしまうことでもあります。これらを意識して行うことで、より子どもに愛情が伝わりやすくなりますよ。また、親が子どもに対して表情豊かに接することで、子どもの免疫力が高まるという説もあるのだそう。

「親は子どもの絶対的味方」であることを伝える

どんなときでも、「ママ(パパ)はあなたの味方だよ」「あなたのことが大好きだよ」と伝えてあげましょう。言葉で伝えるのももちろん良いですし、字が読める場合はお手紙にして子どもに渡すのも良いでしょう。子どもにとって「どんな自分でも味方でいてくれる存在」がいることは、精神的な安定はもちろん、他者に優しく接することにもつながります。

ただし、お手伝いをした際や、テストで良い点をとった際など、「いい子だったとき」にしか褒めないというのはNGです。この場合、子どもは「『いい子でいる自分』しか受け入れてもらえない」と思うようになり、本音を隠すようになったり、ストレスをうまく発散できなくなったりする可能性があります。

テレビやインターネットはほどほどに

テレビやインターネットには、さまざまなコンテンツがあり、「子どもの教育に良い」と謳っているものもたくさんあります。もちろん、これらを観て楽しむのもよいのですが、何時間も見せっぱなしにするのは避けましょう。感情の変化や他者への思いやりなどは、テレビからではなく人間同士のかかわりから学んでこそ、実践できるようになるからです。

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SQの高さは、学校の成績や運動能力だけでは測れない、人間としての魅力でもあり、トラブルや悩みにぶち当たったときの助けにもなります。普段の接し方を意識して、子どものSQを高めましょう。

文/田口るい

(参考)
ダニエル・ゴールマン(2007),『SQ 生きかたの知能指数』,日本経済新聞出版社.
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日本の人事部|SQ