芸術にふれる/アート/デザイン 2018.12.29

親子で美術館デビューしよう! アートを10倍楽しむ4つのコツ【おすすめ美術館&絵本】

長野真弓
親子で美術館デビューしよう! アートを10倍楽しむ4つのコツ【おすすめ美術館&絵本】

学校の宿題に塾、習い事など、日々大忙しの子どもたち。休日でも家族皆の予定を合わせるのは大変です。それでも時には家族でお出かけしたいですよね。

郊外にドライブもいいですが、たまには美術館にお出かけしてみてはいかがでしょうか。堅苦しいイメージの美術館が、最近は子ども向けサービスを充実させるところも増えました。

家族で楽しめる“コツ”とオススメの美術館をご紹介します。

美術館を楽しむための4つのコツ

美術館は、普段から行き慣れていないと、どうしても敷居が高いイメージですよね。でも海外の美術館はそんなことはありません。ロンドンでは美術館や博物館は基本的に入館無料ですし、ニューヨークでも市民や子ども向けに色々なサービスを提供していて、皆さん気軽に利用されています。

ですから日本でも気負うことはないのです! 親子でおもいきり美術館を楽しめる4つのコツをご紹介しましょう。

【1. 下調べをする】

観に行く展覧会の概要をざっくり調べていきましょう。自由すぎると、何を観ていいのか漠然としすぎて戸惑ってしまうかもしれません。そこで、イマジネーションのベースになるテーマや、作者についての情報を少しだけ入れて行くことをオススメします。注意すべきは、詳しく調べすぎないこと。知識は時に、発想の自由を奪ってしまいます。

【2. 自分なりのテーマを決めていく】

「自分のベスト5を選ぶ」「部屋に飾りたいアートは?」「それぞれの絵に自分でタイトルをつけてみる」などなど。「今回のテーマ」を家族で決めて行くと、アートを見る視点も変わって楽しめます。「えー! あの絵を部屋に飾るの!?」なんて、鑑賞後に会話も盛り上がりそうですね。

【3. 自分の視点と感性で自由にみる】

「鑑賞する」ということは、「作者が誰で、どんな背景で作品を作ったかを把握し、その意図を正しく受け止めること」ではありません。「そうすべき」と思ってしまうと堅苦しくなってしまいます。鑑賞法に決まりはありません。自分の感性で作品から受けたイメージを膨らませて想像を飛ばしたり、何かを連想したり、自分との共通点を見出したり、自由な感性で作品を受けとめてみてください。

【4. 美術館で非日常感覚を味わう】

“美術館に行く” ということは、“展覧会を観る” ということだけに止まりません。特に最近の美術館は建築そのものにこだわりを持っていて、カフェやミュージアムショップ子供のための施設も充実しています。さっき見た作品について語り合ったり、腹ごしらえをしたり、お土産を買ったり、鑑賞の前後も美術館を味わい尽くしましょう!

毎回全てのコツを実行する必要はありません。その時々でいろいろな楽しみ方を発見してみて下さいね。

アートを10倍楽しむ4つのコツ【おすすめ美術館&絵本】2
◎金沢21世紀美術館

子どもの知的好奇心を育てる3つのポイント
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美術館がより楽しくなるツール

楽しみ方はわかったけれど、子どもが美術館に興味を持っていない場合や、そもそも美術館がどんな場所かを理解していない場合はどうしたらよいのでしょう。

そこで、美術館に行く前に見ておくとより鑑賞が楽しくなる番組や絵本をご紹介します。アートへの子どもの興味をひきつけてくれること間違いないしです。

<テレビ>

■NHK「びじゅチューン」(Eテレ水曜午後7:50)

歌とアニメで“世界のびじゅつ”を紹介する番組です。おもしろいのは、作詞・作曲・アニメ制作・歌の全てを担当しているアーティスト・井上涼さんが繰り出す、豊かで突飛なイマジネーション広がるアートの世界観! 作者の意図とは別に自由な発想で各アートのオリジナルストーリーを表現しているのです。

キャッチーな歌詞と耳に残るリズミカルな音楽。「そんな時は鳥獣戯画ジム♪」「富士御神火文黒黄羅紗陣羽織♪ 怒ってる…噴火してる…♪」など、歌詞は子どもには少し難しいかもしれませんが、理解できなくても子どもたちの心をがっちり掴んでしまうほどのオリジナリティ。一度見たら親子できっとハマってしまいます。

例えばムンクの叫びラーメン(作詞・作曲/井上涼)を見て、展覧会でホンモノの作品を見たら……ちょっとクスッと笑ってしまうかも。その後作品に興味を持って、「実際はどういう作品なんだろう?」と調べる子もいるでしょう。

アートは自由に楽しんでいいんだということが分かれば、美術鑑賞の導入としても大成功です。鑑賞後に家族で“オリジナルびじゅチューン遊び”として、それぞれがどう思ったかを披露しあうのも楽しそうですね。

テレビ放映以外にもNHK公式サイトで見られる動画もありますので、ぜひ一度チェックしてみてください。

<絵本>

絵本を読んで楽しく美術館デビュー。子どもたちを美術館へ誘う、魅力的な絵本たちです!

『ババールの美術館』(評論社)
作・絵:ロラン・ド・ブリュノフ
訳:せな あいこ
アートを10倍楽しむ4つのコツ【おすすめ美術館&絵本】3

ぞうのババールが使わなくなった駅舎に美術館をオープン。たくさんの美術品を見に街の大人や子どもがやってきます。有名絵画の登場人物は全部ぞうになっていて可愛らしさに子どもたちも引きこまれるでしょう。テーマごとに美術品の説明も簡単にされていてアート入門書としても良いものです。美術にはルールはない、だからなにを感じても自由であると、絵本の中でババールは話していました。

『ひらめき美術館』(小学館あーとぶっく)
結城昌子著
アートを10倍楽しむ4つのコツ【おすすめ美術館&絵本】4

自由に楽しめる美術館が本に閉じ込められたような絵本です。「ひらめき美術館」の「展示室」では有名なアート作品を一堂に介して観ることができます。しかも面白くて興味をそそる解説付き。「みんなが参加する部屋」では、ピカソのつもりで絵を描いてみたり、ミロのヴィーナスの腕を想像してみるなど、自由な発想を楽しみます。「みんなの展覧会」の部屋には、皆の作品が発表されていて、同じ作品を観ても感じとることはそれぞれ違うんだということが良くわかります。アートに対して心を軽くしてくれる工夫いっぱいの、親子で楽しめる絵本です。

親子で利用しやすいおすすめ美術館

家族で美術館に行く心の準備が整ったら、次は実際に美術館へ! 週末はもちろん連休などの休日にも利用しやすい美術館をご紹介します。

●東京都美術館

東京都美術館では、上野にある美術館が参加する「ミュージアムスタートあいうえの」をはじめとして、子どもやファミリー向けサービスが充実しています。休館日も基本的には月2回で、年始も1月2日から開館。しかも小学生は無料で観られる展覧会がほとんどです。毎月第3土曜・日曜は「家族ふれあいの日」で、対象の展覧会のチケットが保護者も半額となります。

●森美術館

ドラえもんやモダンアートなど子どもの興味をそそり、想像力を働かせて楽しめそうな企画森美術館に多いのは、美術館の理念「あらゆる年齢、地域、国々の人びとに開かれた美術館であることを目指している」からなのでしょう。

●大塚国際美術館

徳島県鳴門市にある大塚国際美術館の素晴らしさは、ヴァチカンに行かずして「システィーナ礼拝堂」を鑑賞できることです。そのほかにも1000点以上に及ぶ西洋の名画が全て陶板で再現されている陶板名画美術館で、その完成度の高さは、ローマ法王庁からの聖シルベストロ騎士団長勲章授与やピカソのご子息からの賛辞などでも証明されています。神聖な気持ちで名画を家族で堪能するのもいいですね。2018年『紅白歌合戦』で人気アーティストの米津玄師さんが「Lemon」を歌った場所として注目を集めている美術館です。

●金沢21世紀美術館

金沢21世紀美術館は石川県金沢市にあり、2004年の開館以来全国から人が集まる人気の美術館です。コンセプトに「“まちの広場”としての市民参画交流型美術館」「子どもたちとともに成長する美術館」とあるように、建築も「まちに開かれた公園のような美術館」です。ガラスが多用された開放感、どこからでも人が入れるような多方向性円形デザインは数々の受賞歴に輝くSANAA(妹島和世氏+西沢立衛氏)によるもの。オブジェが点在する広い芝生の庭、デザインチェアが置かれたガラス張りの回廊のようなスペース、アートライブラリーなど無料で利用できるエリアも充実しています。週末にはキッズスタジオでワークショップなども開催。お正月は2日からオープンしています。

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昔に比べると、アートも多様化して、より親しみやすいものになってきたような気がします。それも美術館の様々な取り組みや関係者の方々の努力の成果なのでしょう。アートが引き出す子どもたちの自由な感性と可能性は、彼らの世界を広げてくれるにちがいありません。これからますます美術館が身近な場所になってきそうですね。

(参考)
東京都美術館
森美術館
金沢21世紀美術館
大塚国際美術館
びじゅチューン
EhonNaviStyle|親子で美術館に行こう!はじめてのアート鑑賞を応援する絵本
藤田令伊(2015), 『芸術がわからなくても美術館がすごく楽しくなる本』, 秀和システム.
ロラン・ド・ブリュノフ作 せな あいこ訳(2005), 『ババールの美術館』, 評論社.
結城昌子著(1996), 『ひらめき美術館 第1館』, 小学館あーとぶっく.
結城昌子著(1996), 『ひらめき美術館 第2館』, 小学館あーとぶっく.
結城昌子著(2002), 『ひらめき美術館 第3館』, 小学館あーとぶっく.