2021.6.10

新聞切り抜きのメリット&方法を徹底解説! 記事選びから整理まで

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新聞切り抜きのメリット&方法を徹底解説! 記事選びから整理まで

IT社会となった現代でも、新聞記事の切り抜き&整理(スクラップ)は、子どもの学力を伸ばすのに効果的です。一部の学校で導入されているのはもちろん、親子で取り組んでいる家庭もあります。

あなたも、「子どもにスクラップをさせるにはどうすればいいんだろう」「アナログな新聞の切り抜きにどんな意味があるんだろう」と気になっていませんか? そんな親御さんのため、新聞切り抜きの学習効果、小学校低学年でも簡単にできる方法、おすすめの新聞をご紹介します。

新聞切り抜きの学習効果

新聞の切り抜きによって、子どもの学力をアップさせることができます。教材としての新聞活用について発信している「NIEコーディネーター」の関口修司氏によれば、「新聞をスクラップしてコメントを書く活動を、週1回以上継続していれば、学力が上がる」そう。日本新聞協会による2019年度の調査では、「新聞スクラップとコメントの記述」を週1回以上実施する小学校での全国学力テスト正答率が、国語・算数ともに平均を上回っていたのです。

新聞の切り抜きによって、具体的にどのような能力が向上するのでしょうか?

情報を収集し、整理する力がつく

明治大学文学部教授で教育学者の齋藤孝氏によると、切り抜く新聞記事を選ぶときには、情報を吟味し選択するという「高度な作業」が自然と行なわれています。「どの記事がいいかな」と考えて探す経験を繰り返すことにより、情報を収集する力が磨かれるのです。切り取った記事がバラバラにならないよう紙名や日付をメモしたり、ノートや台紙に貼って保存したりなどの作業によって、情報を整理するスキルも身につきます。

読む力がつく

新聞記事を切り抜く過程では、たくさんの記事に触れるため、読む力も伸びます。子どもが文章を読むのに慣れていなくても、内容について親子で考えたり図鑑や辞書で調べたりすることで、知識や語彙が蓄積され、読む力がレベルアップしていきますよ。小学校教諭でNIEアドバイザーの菊池健一氏も、新聞スクラップによって「読む力」がつくと話しています。

  1. 見出しや写真で、記事の概要を把握する
  2. 記事を読む
  3. 大事だと感じた箇所に線を引き、書き手の意図を考える

このような活動により、「文章の大まかな内容を素早く読む力」が身につくのだそうです。

書く力がつく

前出の菊池氏は、新聞スクラップによって「書く力」も身につくと話しています。スクラップの際は、記事の要約や感想を書き出すためです。

  • 短く、わかりやすく要約することを意識→「目的をもって書く力」が身につく
  • 理由・根拠を添えて自分の考えを主張→「説得力のある意見を書く力」が身につく

視野が広がる

子どもの関心は、好きなことばかりに向かうため、そのままでは視野が狭くなりがち。しかし、新聞の切り抜きをすれば、子どもの視野を広げることができます。

切り抜く記事を選ぶ際は、興味があるページだけでなく、新聞全体を見渡さなくてはなりません。すると、それまで関心がなかった分野の記事も目に飛び込んできます。「こんなこともあるんだ」と、気になる情報をついでに読んでいるうち、子どもの視野がどんどん広がっていくのです。

新聞の切り抜きには幅広い学習効果があると、おわかりいただけたでしょうか?

新聞切り抜きに親子でチャレンジ2

新聞切り抜きのやり方

それでは、新聞の切り抜きを実際にやってみましょう。小学校低学年でも実践しやすい、ノートを使ったやり方を説明します。

1. 必要な道具を用意する

まずは、必要な道具をそろえます。選ぶ際のポイントをご紹介しましょう。

新聞

スクラップに必須なのは、切り抜く新聞そのものです。漢字に読み仮名がふられ、読みやすい文体で書かれた、子ども向けの新聞がおすすめ

ノート

切り抜いた記事を貼るノートです。文字を書き慣れていない低学年の子には、タテ・ヨコに線が入った方眼ノートがおすすめ。B5なら小学校で使うのと同じサイズですし、A4なら大きい記事でも貼れます。

ハサミ・カッター

記事を切り抜くため、ハサミもしくはカッターを用意します。安全性の高い、子ども向けを選ぶと安心です。カッターを使う場合、カッターマットも忘れずに。

 

のり

記事をノートに貼りつける際、のりを使います。液体のりよりは、ベタつきが少なくシワになりにくい、スティックのりがおすすめ

筆記具

以下のように、いろいろな筆記具があります。子どもの好みに合わせて用意してください。

  • えんぴつ
  • 色えんぴつ
  • マーカー
  • サインペン
  • 消しゴム

 

 

 

定規

記事をカッターで切り抜く際、定規を使うときれいにできます。15cmほどの短いものと、30cmほどの長いものを用意しておくと、記事の大きさに合わせられますよ。

マスキングテープ

記事をのりで貼りつける前に、マスキングテープで仮止めしておきます。

クリアファイル

切り抜いた記事をすぐ貼りつけないときは、クリアファイルに保管しておきましょう。大きいA4サイズがおすすめです。

2. 記事を選んで切り取る

子どもに新聞を渡し、おもしろいと思った記事や写真をひとつ選ばせます。子ども自身の興味・関心に任せることが大切です。写真を選んだら、「写真について書いてある記事も一緒に切ろうね」と促しましょう。

新聞名・発行日を記事の余白にメモしたら、間違った部分を切らないよう、フリクションなどで記事を囲みます。記事を切り抜いたあとは、ノートに貼りつけるまで、発行日順に重ねクリアファイルに収納しておきます。

3. 記事をノートに貼りつける

時間がとれたら、いよいよ記事をノートに貼りつけていきます。コメントを書くスペースを確保しつつ、マスキングテープで仮止めしましょう。どう貼れば見やすいか、親子で相談しながら進めてみてください。

配置が決定したら、スティックのりで貼っていきます。のりは全体に塗らず、記事のフチにだけつけると、シワになりにくいですよ。

4. 要約・感想を書く

メモしておいた新聞名・発行日を、記事近くの余白に書き写します。そして、要約、感想とその理由、自分で調べたことなどを書き込めば完成です。調べてわかったことは、文章だけでなく絵でも表現してみましょう。マーカーや色鉛筆も使えば、カラフルな新聞切り抜き作品の出来上がりです。以下の動画も参考になさってください。

新聞を購読していないなら……

新聞の切り抜き学習は、新聞を定期購読していることが前提です。まだ契約していないなら、子どもがスクラップしたくなる記事がたくさん載っている、「朝日小学生新聞」がおすすめ。小学校低学年向けにニュースをやさしく解説する「ほっとニュース」や、魅力的な写真とコラムなど、スクラップにピッタリなコーナーが充実しています。

税込2,100円/月で毎日届き、漢字にはふりがなつきで、全8ページ。新聞を読む習慣をつけやすく、子どもが無理なく全体に目を通せる情報量です。大人向け新聞と異なり、凶悪事件やゴシップは載らないので、安心して子どもに与えられます。とりあえず無料の試し読みを利用して、工作感覚で楽しみつつ、お子さんと新聞の切り抜きにチャレンジしてはいかがでしょうか。

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小学生のお子さんがいる方のため、新聞切り抜きの学習効果や、切り抜きのコツを解説しました。本記事を参考に、家庭学習の一環として、新聞の切り抜きを始めてはいかがでしょう?

文/上川万葉

(参考)
朝日新聞EduA|「新聞を読めば学力アップ」相関くっきり 最も効果的な学習活動とは
学びの場.com|「新聞スクラップの効用」
にいがた、びより|新聞スクラップで子どもの知的好奇心を高めよう!
朝日学生新聞社|『朝日小学生新聞スクラップ学習コンクール』・新聞スクラップのやり方
静岡新聞NIE|今、なぜ新聞なのか
静岡新聞NIE|新聞スクラップをしよう
齋藤孝(2010),『新聞で学力を伸ばす 切り取る、書く、話す』, 朝日新聞出版.
池上彰(2011),『池上彰の新聞勉強術』, 文藝春秋.