教育を考える 2018.4.8

藤井聡太六段、Amazon共同創立者ジェフ・ベゾスが幼児期に受けていた「モンテッソーリ教育」とは?

編集部
藤井聡太六段、Amazon共同創立者ジェフ・ベゾスが幼児期に受けていた「モンテッソーリ教育」とは?

昨今、将棋の世界を沸かせている藤井聡太六段が幼児期に受けていたことで話題となっている「モンテッソーリ教育」。イギリスではウィリアム王子もモンテッソーリ教育を受けており、現在はキャサリン妃との間に生まれた長男・ジョージ王子も、この教育法を取り入れた幼稚園に通っているといいます。

さらにはAmazon共同創立者であるジェフ・ベゾスや、Googleの共同創立者であるセルゲイ・ブリンラリー・ペイジなど名だたる企業の創業者もモンテッソーリ教育を受けたといい、世界中に優秀な人材を生み出している教育法であることがわかります。

モンテッソーリ教育とは

モンテッソーリ教育は、子どもの自発性を重視する教育法で、20世紀初頭にマリア・モンテッソーリという女性医学者によってイタリアで考案されました。モンテッソーリ教育の根本にあるのは「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という考え方。

例えば、「親が歩くことを教えなくても、時期が来ると子どもは自然と歩こうとする」「耳から入ってきたさまざまな言葉を発語して、自分の気持ちを伝えられるようになる」というように、子どもには環境に合わせて積極的に、さまざまな事柄を吸収して、成長・発達していく力が備わっているのです。

人間形成の一番大切な時期である幼児期から、その「自分で育つ力」を伸ばし、内在する自主性、独立心、知的好奇心を育むことでさまざまな能力を獲得し、優秀な人材へと成長させる。それがモンテッソーリ教育の目的です。

モンテッソーリ教育の幼稚園・保育園はどんなところ?

モンテッソーリ教育を実践する教育施設は「子どもの家」と呼ばれます。子どもの家は、その名の通り、子どもが主役。教師が一方的に教え込むのではなく、子どもが自分の心や思考に従って「触ってみたい」「やってみたい」と思ったことを満足いくまで繰り返し時間をかけて行える、自由な環境が広がっています

また、子どもの家では「縦割り」のクラス編成。多くの施設では、幼稚園では3〜5歳児が同じクラスに編成され、保育所では0〜2歳児と3〜5歳児の2段階のクラス編成に。異年齢の子どもが一緒に学ぶことで、社会性や協調性を身につけていきます

教室には、子どもが自発的に遊べるさまざまな教具が用意されています。その教具を使ったさまざまな学習活動は「お仕事」と呼ばれ、子どもは登園すると、思い思いの「お仕事」を選んでその日の活動を始めます。 ひとりで黙々と「お仕事」に熱中する子もいれば、お友達と一緒にむずかしい「お仕事」に取り組む子もいます。

必要に応じて先生がお手本を見せたり、助け舟を出すこともありますが、基本的には子どもが自主性をもって自分の「お仕事」に取り組みます。「お仕事」の時間は毎日1時間半~3時間程度設けられており、それ以外に自由時間などもあります。

モンテッソーリ教育プログラム

それでは、モンテッソーリ教育を取り入れている保育園・幼稚園では、具体的にどのような教育が行われているのでしょうか。

モンテッソーリ教育では、以下の5つの分野の教育を軸にプログラムが構成させれています。子どもは、それぞれの分野のために開発された教具を使って遊び(=お仕事をする)、体と心、思考を育んでいきます。

1.日常生活の練習
幼児は大人がすることをなんでも真似したがります。その「模倣期」と、身体が発達する「運動の敏感期」とを利用して、自分の体を意志どおりにコントロールする能力を身につけていきます。例えば、「ボタンをかける」「室内を掃く」「洗濯をする」「ものを磨く」「縫う」など、日常生活で行うさまざまな動作を、大人がお手本を見せながら練習していきます。この「日常生活の練習」は、モンテッソーリ教育の基礎である課目。「自分のことを自分でできるようになる」という、自立心や独立心のベースを築きます。

2. 感覚教育
感覚器官が発達し感覚刺激に対して敏感な幼児期に、意識して感覚器官を使ってさまざまなことを練習し、感覚を洗練させることで、外界からより繊細な情報を収集できるようになり、知性や情緒が発達します。「対にする」「段階づける」「仲間分けする」という3つの操作法が組み込まれた教具を使いながら、「ものを観察する能力」と「ものを考える方法」を身につけていきます。感覚教育は、言語・算数・文化教育という知的教育分野の基礎となっていきます。

3. 言語教育
絵と文字が書かれた絵カードや、文字を並べ替えて言葉や文章を作る文字カードを使うなどして、ことばの発達段階に合わせてきめ細やかなステップを踏んで、語彙を豊富にしたり、文法を覚えたりします。「日常生活の練習」や「感覚教育」と合わせて行うことで、知らず知らずのうちに文字を書いたり読めるようになっていきます。

4. 算数教育
色や形で数を無理なく認識できる算数教具を手で扱いながら、数の概念の基礎、十進法からかんたんな計算までを学んでいきます。具体的には、ビーズを使って数の具体量や十進法で桁が上がることを体感したり、数種類の切手を交換することで掛け算を覚えていったりします

5. 文化教育
「ことば」と「数」以外の幅広い分野を学びます。世界地図パズルや時計などの教具に触れながら、興味の種を可能な限り多くまき、子どもの知りたいという要求に応えていきます。歴史、地理、動植物に関わることなど、小学校の社会科、理科などに相当するような、分野を統合した総合学習のような分野です。

モンテッソーリ教育の幼稚園・保育園では、この5つの考え方をベースに、子どもにもともと備わっている「自分で育つ力」を引き出していきます。これにより、自立していて、責任感と他人への思いやりがある大人に。かつ生涯学びつづける姿勢を持った有能な人材へと成長していくのです。

家庭でも取り入れられるモンテッソーリ教育

モンテッソーリ教育を受けられる幼稚園・保育園は全国にあります。しかし、「近所にない」「すでにモンテッソーリ教育以外の施設に就園している」という場合は、家庭でもモンテッソーリ教育を行うことができます。

モンテッソーリの教具は、一般にも販売されているので、モンテッソーリ教育の環境を家庭に用意することで、いつでも子どもに触れさせることができます。家庭でモンテッソーリ教育を取り入れる際のコツは、あくまでモンテッソーリの教育法の基本である「自主性」を重視すること。親が手伝いながら遊ぶのではなく、子どもが自然に教具に興味を持って、自ら遊ぶ環境を作っておくことが大切です。

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子どもたちを見ていると、どの子どもにも「自分で考える力」や「自分を育てる力」は備わっているように感じます。大人はついつい、手伝ってしまったり、聞かれてもいないのにアドバイスをしてしまったりしますが、もしかしたら、本来は伸びるはずの力を押さえつけているのかも?

モンテッソーリ教育を知ることで、わが子の潜在的な能力をもっと伸ばせるのかもしれませんよ。

(参考)
日本モンテッソーリ教育綜合研究所|モンテッソーリ教育とは
日本モンテッソーリ協会(学会)|モンテッソーリ教育とは
Woman excite|モンテッソーリとはどんな教育方法なの? 家庭でも実践できる?
Shop保育CAN|モンテッソーリ教具
Wikipedia|モンテッソーリ教育
産経WEST|天才・藤井四段も学んだ「モンテッソーリ教育」とは-集中力と自分らしさ、周囲に流されず「好きなことをとことん追求する子供」に