芸術にふれる/デザイン 2018.3.3

“発想力”と“プレゼン力”を重視する『こどもデザイン教室りねあ』、アイデア無限の「陶芸レッスン」

編集部
“発想力”と“プレゼン力”を重視する『こどもデザイン教室りねあ』、アイデア無限の「陶芸レッスン」

アート教室ではなく「デザイン教室」。子どもたちのデザインが「商品」として店頭に並ぶところまでをレッスンとしている教室があると聞いて、さっそくお話を聞きに行ってきました。

東京・文京区にある『こどもデザイン教室りねあ』。代表を務める當原容一郎先生は、現役のデザイナーです。こちらの教室では、自分の頭の中にあるものを引き出す「発想力」、そして商品化するために、自分のデザインを発表して伝える「プレゼン力」を重視しています。もちろん、デザインに必要な線の引き方、色の塗り方、絵具の混ぜ方などの基本もじっくりとトレーニングしてくれるそう。

泥遊びの延長!? 発想力を鍛える「陶芸レッスン」

玄関で靴を脱いだら、階段を下りて地下にある教室へ。入り口手前には業務用の大きなドリルが……。お教室というより技術室に近い雰囲気を感じながら教室の中へ入ると、入り口すぐに今度は円錐状の大きなホーンを発見。當原先生曰く「ここはもともと父の音楽ルームだったのですよ」とのこと。なるほど、棚にはたくさんのレコードや本があり、ここにいるだけで、芸術センスが磨かれそうです。

今日のレッスンは幼稚園~小学4年生までの生徒さん10名。そして課題は、「陶芸です。年に1回はレッスンをします。けっこう手間がかかるんですけど、私自身が陶芸が好きなもので」。形を作ったら、1週間ほど乾かして、うわぐすりを塗ってから焼くのだそう。本日は「発想力」を鍛えるレッスンですね!

レッスン開始の16時、「なにを作るのかな?」と今日の課題を待ちきれない生徒さんたちに、「今日は、陶芸をやります」と當原先生が伝えます。

しかし生徒さんたちは陶芸がなにかわからず首をかしげている様子。そこで、「お茶碗は粘土からできています。この粘土はお茶碗が作れる粘土です」と説明をすると、「えー!」と生徒さんからは驚きの声があがりました。そうですよね、お茶碗がなにからできているかなんて、考えたことありませんよね。

「まずはコネコネしてみよう! 粘土を柔らかくするよ。こねて柔らかくしてくださいね」と、先生が言うと、みんないっせいに袋から粘土を出します。そして、叩いたり、広げたり、丸い形を作ってみたり。これからこの粘土をどうするのか、どんな形にするのか、いろいろと考えながらこねているようです。こねながら、すでに立体を作ってしまう子もいました。

生徒さんたちの手の平は、粘土がついてしまって茶色になっています。これはさすがに家ではさせられないですね。「きゃー、その手でイスを触らないで!」などと叫んでしまいそう。そして生徒さんの方も、「先生、手を洗ってきていいですか? 僕、泥遊びしたことないんです~」とちょっと困惑している場面がありました。

この粘土、なかなか固いようでこねるのが大変そうです。「シワシワになるのは水が足りないからですよ。手に水をつけながらコネてくださいね」と當原先生が言うと、「どのぐらいの固さにすればいいですか?」と生徒さんから質問がとびます。「小麦粘土の固さくらいじゃない?」、答えたのは、なんと保護者の方でした。「そうです、正解!」、ついつい先生も保護者の方も笑顔になります。

作り方に決まりなんてない、失敗したらやり直せばいいんだ!

さあ次は、底になる部分を作ります。自分のイメージした器の底がどんな形をしているのか、想像しながらの作業です。大きな丸、小さな丸、星型、ハート型と、思い思いの形を作ります。當原先生が、各テーブルでお手本を見せていたのですが、その手元をじーっと見つめる生徒さんたちの目の真剣なこと! そのあと、先生はひとりひとりにアドバイスをしながら指導をします。「作り方に決まりはないからね」と話していたのが印象的でした。絵や造形の技術よりも、まずは発想力をアップさせることが大切だと、當原先生は考えているようです

粘土をこねているときにはおしゃべりをしていた生徒さんたち、このころには完全に集中していて、黙々と作業を続けているといった印象でした。

「次はニョロニョロを作るよ~。そしてこれを底に付けていきます」。器の側面部分を作っていく作業は、かなり難しそうです。水を少しずつつけながら、蛇のように細長くした粘土をぐるぐると重ねていきます。生徒さんたちの横顔は真剣そのもの……。自分の好きな形を好きなように作ることに全力を費やしています

そんなみんなの顔を見まわした當原先生が言いました、「これはね、粘土だからさ、失敗したら一度壊しちゃえばいいんだよ」と。確かにそうですよね!

アイデアが出なくなってしまうから、否定は絶対にしない

星型の器を作っていた生徒さんが、ネコの顔を作っています。その隣には、ブタの顔とキツネの顔も。そしてその顔を、星型の角につけ始めました。そこへやってきた先生、「うん、ちゃんとデザインしているね」とひと言。

「焼いたら取れちゃうよ」などではなく、「ちゃんとデザインしているね」と声をかけたのは、「〇〇したらダメって言いたくないんですよね、否定したらアイデアが出なくなってしまうから」という當原先生の教育方針です。

そろそろ作り終わる子が出てきました。もちろん、まだまだ自分の世界にどっぷりつかって作り続けている子もいます。作品を納得するまで最後まで作りきること、細かいところまで丁寧に仕上げていくこと、これってとても大事なことですよね。

別のテーブルでは、「ここはどうする?」「ここにつけるつもりなの」など、親子のコミュニケーションがありました。そういえば、親子で相談しながら一緒に何かをじっくり作ることって意外と少ないかもしれません。いい時間です。

作り終わった子から、手を洗って、おやつの時間です。なんと保護者にもおやつ、取材陣にもおやつ。そして、おやつを食べている子の横で、まだまだ作り続けている子も。レッスン終了時間はすでに20分もすぎています。

 

最後まで作り続けていた、Y君に今日の作品について聞いてみました。
「これは自分用の小物入れです。鉛筆とか消しゴム、あとはお菓子を入れる予定です」
デザインすることは好きですか? の質問に、「はい、好きです!」とはにかんだ笑顔で答えてくれました。お母さんによると、弟の誕生日に段ボールで立体ウルトラマンベルトを作ってあげるほどの工作好きなのだそう。Y君がデザイナーになるのはそう遠くない未来かもしれませんね。

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