2018.7.17

夏休みの生活リズムの整え方【小学生 夏休みの宿題バッチリ大作戦! 第2回】

編集部
夏休みの生活リズムの整え方【小学生 夏休みの宿題バッチリ大作戦! 第2回】

1ヶ月以上もの間、自由な時間が続く夏休み。自由だからと放っておくと夜更かしや朝寝坊をしてしまい、子どもの生活リズムは崩れがちになります。大人でも、数日間休みが続くと生活が乱れてしまうものですよね。

夏休みには、毎日学校に行かない代わりにたくさんの宿題があります。夏休みの宿題を早めに終わらせるには、毎日の生活習慣のなかに勉強を組み込むことが大切、ということは第1回でお伝えした通り。勉強することが生活の一部になれば、宿題の先延ばしを防ぐことができるからです。

そこで第2回となる今回は、勉強を含めた夏休みの生活リズムの整え方についてお伝えしていきます。

夏休みの生活リズムの整え方

「生活リズムを整える」と聞いて多くの人がはじめに思い浮かべるのは、「早寝早起き」ではないでしょうか。教育評論家の親野智可等氏は、生活リズムを整えるポイントは「寝る」「起きる」だけでなく「食事」「排せつ」にあると言います。決まった時間に就寝し、毎日同じ時間に起きて朝日を浴び、体内時計をリセット。そして、3度の食事を同じ時間にとりましょう。そうすると排せつのリズムもだいたい同じになり、生理的な生活リズムが整うのです。

夏休みの生活習慣を考えるときは、まず生理的な生活リズムを整えることを念頭においてください。そのうえで、勉強や遊び、習い事などその他の活動を組み込んでいくのです。そうすると、勉強を含め規則正しい生活を送りやすくなります。

では、夏休み中は何時に寝て何時に起きればよいのでしょう。夏休み中の生活の悩みといえば、親子ともついゆっくりしたくなって長く寝過ぎてしまい、早寝早起きのサイクルが崩れることですね。米・National Sleep foundationの発表によると、学童(6~13歳)の子どもの推奨睡眠時間は9~11時間で、許容される睡眠時間は7~12時間。いつもよりゆっくりさせてあげるとしても、睡眠時間は12時間を超えないほうが良いでしょう。普段の毎日とあまりにかけ離れた生活にならないよう、夏休み中の就寝時刻と起床時刻を約束し、親子で一緒にそのリズムを守れるようにするといいですね。

もちろん夏休みですから、夏祭りに行く、遠出する、といったように不規則な生活をする日があっても仕方ありません。基本的な生活リズムをちゃんと整えていれば、時に羽目をはずすことがあっても大目に見ましょう。

「木のおもちゃ」が知育におすすめな理由。五感を刺激し、集中力を育んでくれる!
PR

夏休み中は、何分勉強するべき?

夏休み中の小学生は1日何分勉強するべきなのでしょうか? 学校に行かない分、家で長時間勉強させなくては、と思う親御さんもいるかもしれませんね。この問題を考えるために、まずは実態を見てみましょう。

小学生の夏休みの家庭学習に関する実態を調査したアンケートがあります(2016年7~8月、株式会社イー・ラーニング研究所が実施)。それによると、小学生の夏休み中の平均学習時間は、1時間未満が最多で43%。次いで、1時間以上2時間未満が38%でした。勉強時間が2時間未満の子どもの場合、勉強の目的の大半は宿題のため。多くの場合、夏休み中宿題に取り組む時間はどんなに長くても1日2時間以内であるようです。(他には受験勉強などを目的に1日2時間以上勉強する子どももいるのだそう)

次に、理想的な学習時間について考えてみます。一般的には、小学生が家庭学習をすべき時間の目安は「学年×10分」と言われています。1年生なら10分、2年生なら20分です。意外と短いと思いませんか? これは家庭学習の習慣づけを目的とした時間設定。これ以上長いと、大変で勉強が続かないおそれがあるのです。

実際、学校がある日の宿題はこれぐらいの時間で終わるように出されることが多いようです。親野氏によれば、夏休みの宿題に関しても同じであり、机に向かって勉強する時間はだいたいこれぐらいでいいのだそうです。もちろん、子どもがもっと勉強したいと言ったときには、ぜひそうさせてあげましょう。「夏休みで学校に行かない分、たくさん勉強させなくては!」と親御さんの側が意気込みすぎる必要はないということです。

ただ、読書感想文や絵画、自由研究といった夏休み特有の宿題に取り組む時間を考えると、「学年×10分」だけではとても終わりそうにありませんよね。確かに、これらの宿題に取り組む時間は、プラスアルファで考える必要があります。これについては、夏休みの宿題全体の計画を立てる際に、いつどのタイミングで取り組むのかを決めましょう。詳しくは、コラムの第3回でお伝えします。

夏休みの生活リズムの整え方2

夏休み中の勉強すべき時間帯は?

次は、勉強する時間帯について考えます。

たとえ「1日20分勉強する」と決めていたとしても、気分が乗らなかったり遊びに夢中になったりすると、結局勉強しないで終わってしまう日が出てきてしまうかもしれません。ですから、勉強する時間は毎日固定しておきましょう。そのほうが勉強を習慣化しやすくなり、子どもが自分から机に向かうようになります。特に小学校低学年のうちは、自分一人では日々の勉強を継続することは難しいでしょうから、親が一緒になってルールを決めるようにしてください。

さて、勉強するべき時間帯ですが、1日時間が自由に使えるご家庭でしたら朝~午前中をお勧めします。理由は、朝~午前中がもっとも勉強がはかどりやすい時間帯だからです。脳科学者の茂木健一郎氏によると、朝の起床後の約3時間は、脳が最も効率よく働く時間帯なのだそう。前日の記憶が睡眠中に整理され、朝の脳はクリアな状態になるので、勉強もはかどりやすいのです。また、普段学校に行く日は、午前中はかならず学校で勉強していますよね。普段のサイクルとかけ離れることがないので、お子さんにとって負担が少なく済むでしょう。

共働き家庭で日中は学童保育所に通う小学生であれば、学童で夏休みの宿題を済ませられるならそれでよいでしょう。ただし、その場合も、やったかどうかのチェックをしたり、頑張ったことをほめたりする声掛けは家庭で行ってください。もし学童ではなく家庭で宿題をする場合、帰宅時間はだいたい決まっているはずですから、学校のある平日と同じように、夕食前や夕食後などに時間を固定して、宿題に取り組みましょう。上で見たように「学年×10分」でいいのであれば、親御さんもなんとか時間を捻出できる気がしてきますよね。

1日のタイムテーブルを作り貼っておく

生理的な生活リズムを整え、勉強すべき時間数と時間帯を決めたら、1日のタイムテーブルを作成しましょう。夏休みには時間割がありませんから、その代わりです。

紙を縦長に使って上から順に0時~24時まで刻むか、円グラフのようにして24時間を刻み、生活スケジュールを書きこむといいですね。それを見える場所に貼っておけば、お子さんだけでなく家族全員にとっての意識づけになります。

さきほど、勉強は朝~午前中にするとよいとお伝えしましたが、勉強に取り組む前、朝の涼しいうちに軽く運動をするのもおすすめです。その理由について、運動と脳の関係について研究するジョン・J・レイティ博士(ハーバード大学医学部)は次のように述べています。

運動を終えるとまもなく脳の血流が増しますが、このときこそが、思考力や集中力が飛躍的に高まるチャンス。勉強を始める前、できれば朝にやることをお勧めします

(引用元:PRESIDENT Online|脳細胞が増える運動「3つの条件」

例えば、かつて夏休みの風物詩だったラジオ体操。地域の人たちが朝集まって体操する光景は今ではあまり見かけなくなりましたが、家で家族でやってはいかがでしょう。「朝ごはんを食べたら、ラジオ体操をして、勉強をする」と決めれば、規則正しい生活習慣を作ることができます。また、ラジオ体操には基本的な動きがほとんど含まれているので、運動能力の向上にも役立ちますよ。

***
勉強を含めた生活リズムを整え維持しておくことは、宿題を計画的に進められるということのほか、夏休み明けに学校のリズムに戻れず苦労する、といった状況にならずに済むというメリットもあります。ぜひ親子で一緒に、夏の生活習慣づくりに取りくんでみてください。

■ 小学生 夏休みの宿題バッチリ大作戦! コラム一覧
第1回:夏休みの宿題を早めに終わらせる方法とは?
第2回:夏休みの生活リズムの整え方
第3回:夏休みの宿題がサクサク進む計画表の作り方
第4回:子どものやる気、どう維持する?
第5回:宿題をする子どもに、親はどんな言葉をかけるべき?
第6回:宿題が終わらない! 遅れた宿題の挽回法とは
第7回:崩れた生活リズムのリセット法

(参考)
ベネッセ教育情報サイト|夏休みに崩れた生活リズムを取り戻す5つの心がけ
こどもまなび☆ラボ|学力低下を招く「睡眠不足」を改善しよう! 子どもがスッキリ起きられるポイント7つ
NIKKEI STYLE|添い寝の功罪 日本の子どもの睡眠は超短時間
PR TIMES|子どもがいる親世代に聞いた「夏休みの過ごし方アンケート」夏休みの宿題を終えるのはやっぱり「夏休みの最終日」毎日2h以上勉強している人の理由は「将来のため」!?
ベネッセ教育情報サイト|夏休みの勉強、1日にどれくらいの時間、机に向かえばいい?
ベネッセ教育情報サイト|小学生の宿題、親の関わり方【後編】宿題に関するお悩みに答えます!
日本経済新聞|宿題、習慣づけるには 学年×10分が目安、夕食前に褒めて終える/目的伝えて小学3年生までに 
PRESIDENT Online|自ら机に向かう子の親が欠かさない習慣
StudyHacker|勉強する時間帯のゴールデンルール。効率よく勉強できる時間帯をまとめて紹介!
こどもまなび☆ラボ|生活の中に積極的に運動を取り入れよう! 幼児期における運動の大切さとは
PRESIDENT Online|脳細胞が増える運動「3つの条件」