2019.5.4

幼少期から身につけておきたい! いま世界的に重要視されている「協働力」。

幼少期から身につけておきたい! いま世界的に重要視されている「協働力」。

「協働力」という言葉をご存知ですか。普段の生活の中ではあまり聞かない言葉かもしれません。しかし、これからの時代に子どもたちに求められる大切な能力のひとつ。アメリカでも、リーダーシップの必須要素として重要視されているそう。詳しく解説していきましょう。

たくさんの人と協力して道を切り拓く力

「協働」とは、同じ目的のために、対等の立場で協力してともに働くことを意味します。グローバル化が進み、少子高齢化、生産年齢人口の急減、また労働の多くが人工知能やコンピュータに代替されていくこれからの時代、この「協働」が求められているのです。

私たち親の世代では、知識から正解を早く導き出すことや、他者よりも上に立ち、勝者となることが良しとされてきました。しかし、これからの時代は、解決すべき課題を発見する力や、学び続ける強い意志、協働により課題解決の道すじを切り拓く力こそが重要となってくるのです。

“尾木ママ”の愛称でおなじみ、教育評論家の尾木直樹先生も次のように言っています。

(先進34か国が加盟する「経済協力開発機構OECD」は)2030年に求められる力として、たくさんの人と協力して答えを見つけていく力、情報を整理するか、複数の要素を結びつけ、新たな価値を生み出す力などをあげているんです。(中略)そして、それらの力を身につけさせるためにはコミュニケーション力や協働性、創造性、批判的思考能力、好奇心等をはぐくむ教育が必要だと説いています。今後ますます国と国の垣根が低くなり、価値観の異なる人どうしが一緒に暮らすようになります。難しい言葉でいうと、多文化共生社会に突入するの。その社会の中で必要な力なのです。

(引用元:さぽナビ|尾木ママが語る! グローバル化時代に求められる子育ての視点(1)

また、文部科学省のホームページにも、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」「他者と協働して課題解決を行う人材」が求められると書かれています。今後、学校ではこういった能力を伸ばすためのディスカッションやプレゼンテーションの場が増えていくでしょう。

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トップダウン型のリーダーではもう勝ち残れない!

ところで皆さんは、リーダーと聞いてイメージするのはどんな人物でしょうか。

人を引っ張っていく、いわゆる「ボス」タイプのトップダウン型のリーダーを想像するのではないでしょうか。日本ではこういったリーダー像が一般的ですよね。

しかし、アメリカではすでにそういったリーダーシップ育成は行われていないようです。個人の利益ではなく、自分が属するコミュニティ、社会がどうすればより良くなるかを考え、多くの人や異なる強みを持つ他者と協働できる人間こそがこれからの時代に求められるリーダー像であるとされているのです。

“社会起業家”というコンセプトが一般的になりつつあるアメリカでは、ただお金を儲けるだけの企業にはリーダーシップがない、発展性はない、と見なされることも多いそう。近い将来、日本もきっと同じようになっていくのではないでしょうか。

いま世界的に重要視されている「協働力」2

協働力アップのための3つの方法

では、協働力を高めるためにはどうすればよいのでしょうか。

ライフコーチ、アートコンサルティングであり、自身の娘が「全米最優秀女子高生」に選ばれたボーク重子さんは、著書の中で「協働力」がアメリカでも重要視されていることを挙げ、その能力を高めていくための方法を紹介しています。ぜひ参考にしてみましょう。

【1】家族のルールを決めてそれを全員で守る

協働力を鍛えるためには、「コミュニティに属し、同じ目標に向かって進んでいる」という自覚が必要。そこで誰でもすぐに実践できるのが「家族」というコミュニティ。家族が協力してより良い未来を作り上げていくことが、協働力を伸ばすことにつながるのです。

ボーク重子さんの家庭では、以下のルールを決めているそう。

  • 家族の中の自分の役割に責任を持つ
  • 夕飯は可能な限り一緒に食べ、その日の出来事をオープンエンドで話す
  • 自分でできることは自分でやる
  • 年1回家族一緒にボランティアをする

【2】共感力を高める

「協働力を育むためには何よりも『共感力』が必要」とボーク重子さんは言います。共感力とは、相手がいまどんな立場に置かれているのか、どのような背景が今のその人を形作っているのかなど、自分自身が持っている先入観をなくし、オープンマインドに考えられる力を指します。

そして、この共感力を高めるためには、以下のような「多くの疑似体験」が効果的なのだとか。

  • 地域のボランティアやインターンに参加する
  • ノンフィクションの本やドキュメンタリー番組を見る
  • 演劇鑑賞をする
  • 絵本の読み聞かせをする

これらは子どもの共感力アップにつながると言われていますので、ぜひ実践してみてくださいね。

【3】家族以外との自然体験

独立行政法人国立青少年教育振興機構で理事長を務める鈴木みゆきさんは、「家族以外の人との自然体験」を勧めています。

一般の親子が参加できる『ファミリーキャンプ』というものも数多く実施しています。これは、青少年自然の家など全国に散らばるわたしたちの施設でお互いに知らない親子同士がキャンプをするというもの。
自然体験をとおして親子の絆を深めることが大きな目的なのですが、子どもを寝かせた後に親だけでくつろぐうち、親同士が仲良くなっちゃう。すると、親たちのコミュニケーションが子どもにも伝染するんですよね。そうして、子どもは家族以外の人間とのコミュニケーション力や協働力を身につけるというわけです。

(引用元:Study Hackerこどもまなびラボ|「大人の愛」と「協働力」が子どもを大人に導いていく――親以外の人との交流によって広がる子どもの視界

海や山など、気持ちの良い自然に囲まれた場所なら、親も子も開放的な気分になり、他人ともコミュニケーションがしやすくなるのかもしれませんね。こういった機会があれば、ぜひ積極的に参加したいものです。

いま世界的に重要視されている「協働力」3

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これからの社会で、子どもたちが求められるであろう「協働力」。ただ、冷静に考えれば、「相手の立場にたって物事を考える」「人と協力し合って行動する」という昔から重んじられてきたことでもあります。家庭でも意識的に取り入れていけば、きっと身につくのではないでしょうか。

文/鈴木里映

(参考)
ボーク重子(2018),『世界最高の子育て』,ダイヤモンド社.
Z-KAI|求められる「学力」が変わるって本当? 主体性・多様性・協働性を問う出題とは
文部科学省|現状と課題
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