2018.9.9

ケガをしにくい体に! 柔軟性が子どもにとって大切な理由

編集部
ケガをしにくい体に! 柔軟性が子どもにとって大切な理由

オリンピックやW杯などのテレビ中継を見ていると、一流のスポーツ選手がウォームアップしている動きは非常にしなやかで滑らかなことに気づきます。いっとき、「180度開脚」のような体の柔軟性を高めるストレッチが流行りましたが、大人は体を柔らかくするのに努力し続ける必要があるのに対して、小さな子どもはやり方を覚えれば簡単に開脚できるようになります。

しかし、成長とともに子どもの柔軟性は低くなり、気がつけば大人と同じように「いたたた」と悲鳴を上げ、こんなはずでは……となることも。体の柔軟性はアスリートだけに求められるものではなく、広く私たちの健康づくりにも必要な要素です。体が柔らかいことでどんなメリットがあるのか、体を柔らかくするための方法について紹介します。

体が柔らかいとこんなにメリットいっぱい!

「まっすぐに立ち、上体を前へ倒しながら膝を曲げずに手を床につけることができない」
「かかとを床につけたまま、しゃがむと後方へ倒れてしまう」

これらは体が硬い人におなじみのエピソードですが、最近では子どもたちの間にも多く見られるようになっているようです。そもそも「体の柔らかさ」とは、

体力の一要素であり、筋肉と腱が伸びる能力のこと。動きのしなやかさだけでなく、傷害の予防などにも関係する。

柔軟性は筋肉と腱が伸びる能力のことで、筋力・瞬発力・持久力・調整力とともに基本的な運動能力のひとつとされています。

(引用元:厚生労働省|柔軟性

とあります。筋肉や腱がよく伸びることは、力強さ、すばやさ、粘り強さ、バランスなどと同じスポーツに欠かせない能力のひとつで、「しなやかな動き」と「ケガの予防」に関係します。例えば、プロスポーツ選手の試合を観戦しているときに、以下のようなシーンを見たことはないでしょうか。

〇野球

内野ゴロを3塁が受けたものの1塁へ悪送球してしまい、1塁野手が片足をベースに乗せたままもう片方の足を大きく開いて球を受けたので、ランナーはアウトになった。

〇サッカー

敵のロングパスを途中で遮るために走り込んで来たDFの選手が足を振り上げて、ボールを止めた。

これらの動きがスムーズにいくのは、プロスポーツ選手の技能はもちろんですが、体の柔軟性が高いことも大きく関連しています。このほか、バドミントンやテニスでは、肩甲骨を柔らかく動かせることで威力あるスマッシュやサーブを繰り出すことができます。

また、クラシックバレエ講師の山口先生によると、体が硬いということは、筋肉がこわばって関節が動きにくくなっているので、ちょっとしたことで怪我をしやすい状態なのだそう。その上、肩こりや腰痛などの痛みも生じやすかったり、血流が滞ってしまい体が冷えやすくなったり、疲れが回復しづらかったりすると言います。

体が柔らかいということは、スポーツをするにも有利でケガをしにくいだけでなく、日常生活の健康に大切な血行や代謝の向上というメリットもあるのですね

柔軟性が子どもにとって大切な理由2

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体を柔らかくするオススメの遊び5つ

実際に、子どもたちの体を柔らかくするための方法について、遊びを取り入れた運動をご紹介します。

大人のようにストレッチをすることが難しい幼児期の子どもには、遊びを取り入れた方法がおすすめです。ここでは、幼児向けの音楽教室や体育教室でおなじみのKAWAIで紹介している方法を取り上げます。

○くるくるまわり

保護者はしゃがみ、子どもは立ち、向い合って両手をつなぎます。そのまま手を離さないで、上体をそらしてくるくるまわります。
♪なべなべそこぬけ♪ の歌に合わせてまわります。
「なべなべそこぬけ」両手を横にゆらす
「そこがぬけたら」まわる準備
「かえりましょ」手を離さないようにぐるっと半回転して、背中を合わせそのまま、また歌にあわせて両手をゆらし
次の「かえりましょ」 元にもどる

○ボートこぎ

親子で向い合い、互いに開脚の長座姿勢になります。(子の足は親の膝につけます)互いに両手をつなぎ、膝を曲げないように交互に後方に倒れたり、前屈したりします。

○足でタッチ

親子で背を向け、互いに長座姿勢をとります。(背中合わせにならないように間隔をあけます)両腕を横に開きながら互いにゆっくり後ろに倒れて、足の裏でタッチします。

○ボール渡し

親子で向い合い、少し離れて互いに長座姿勢になります。子どもから、膝を曲げないようにしてボールを手でころがします。1周まわしたら、交代して保護者も行ないます。

○ナワまわし

ナワの端を結び、丸をつくります。親子で向い合い、ナワをとおして互いに両手をつなぎます。手を離さないようにナワをくぐり、1周させます。

(引用元:KAWAI|子どもの運動Q&A「親子であそぼっ」 柔軟性

体を柔らかくするストレッチ3選

小学校低学年くらいになると、大人と一緒にストレッチができるようになるでしょう。

鳥取県 健康政策課が作成した、家庭や職場でできる『日常生活ストレッチング解説冊子』には、ふくらはぎ、太ももの内側、股関節、胸、腕のストレッチが紹介されています。

【ふくらはぎを伸ばす】

  1. 向かい合って、手のひらを合わせ、足を前後に開きお互いを押し合います。
  2. つま先がまっすぐ正面を向くようにします。

  3. 一緒に数を数えながら、手のひらで軽く押し合います。
  4. 足を変えて反対側も同じように行います。

 

【太ももの内側、股関節を伸ばす】

  1. お互い向い合い長座姿勢で足を開き、手をつないだ状態で体を前後に倒します。
  2. *子どもの身長に合わせ、足をほどよいところに置き、体を前後に倒します。

  3. ギッタンバッコンと交互に倒します。

 

【胸、腕を伸ばす】

  1. お互い右手と右手を合わせ、手のひらで軽く押し合いながら、体を外側に引き、胸を伸ばします。
  2. 手をつないだまま、追いかけごっこで相手のおしりにタッチすれば終了です。
  3. 反対側も同じように行います。

 
子どもと一緒にストレッチをするときに注意する点は、「勢いをつけて、はずみで伸ばさないこと」です。子どもは体がまだ柔らかい上に、お父さんやお母さんに褒めてもらいたくて無理をしてしまいがち。呼吸をしながらゆっくりと伸ばすように声をかけながら行なうようにしましょう。

***
親子でストレッチを行なうと、子どもの運動能力アップやケガ予防だけでなく、代謝アップによるアンチエイジングなど、大人にもメリットが多そうです。今回、紹介した遊びやストレッチは時間や場所を選ばないものばかりですので、親子のスキンシップを図りながら楽しくトライしてみてはいかがでしょう。

(参考)
NHK|クローズアップ現代+「子どもの体に異変あり ~広がる“ロコモティブシンドローム”予備軍~」
厚生労働省|柔軟性
exciteニュース|大人も子どもも柔軟性を高めたい!体が柔らかいことのメリットとは?
KAWAI|子どもの運動Q&A「親子であそぼっ」 柔軟性
鳥取県|健康政策課 日常生活ストレッチング解説冊子
厚生労働省|ストレッチングの実際