2019.7.24

転んだだけで骨折する子どもが急増中!? 骨が脆くなっているのは○○が原因だった

転んだだけで骨折する子どもが急増中!? 骨が脆くなっているのは○○が原因だった

皆さんのお子さんは、骨折したことはありますか? 近年、ちょっとしたことで骨折してしまう子どもが増えています。骨が弱い子どもは、将来的に骨粗しょう症になりやすくなるリスクもあるんです。そうならないために、子どものうちから意識的に骨を丈夫にしていくことが重要です。

今回は、子どもの骨が弱くなっている原因や、骨を丈夫にするための生活習慣について紹介しましょう。

骨折する子どもが増えている!?

独立行政法人日本スポーツ振興センターが保育園児・幼稚園児、小学生、中学生、高校生を対象にした調査によると、2016年度の子どもの骨折は、25年前に比べて約1.4倍にも増えています。

また、従来ではお年寄りに多いとされていた、加齢によって筋肉や骨、関節が弱くなり運動機能が低下する「ロコモティブシンドローム(運動器症候群、通称:ロコモ)」が、子どもの間でも増えているのだとか。埼玉県医師会が、平成22~25年に、県内の幼稚園児~中学生1,343人に運動器の検診を行なった結果、なんと約40%の子どもにロコモの疑いがあったそうです。

こうした現状について、NTT東日本関東病院手術部長の大江隆史先生は、次のように述べています。

昔だったら、子どもではあり得なかったような、関節の硬さ、体の硬さ、バランスの悪い子どもが現れていてそれが目立つようになってきている、というのが最近の子どものロコモティブシンドロームと言われる状態。例えば、すぐ転んで体の柔軟性がないばかりに骨折をしてしまう子どもや、体が硬くて普通にしゃがみ込めないという報告が出てきている。運動の機会が極端に減っている子どもがいて、運動する子供と全くしない子供、状況が二極化している。

(引用元:TBSラジオ|転んだら即骨折!?ケガしやすい「ロコモ」な子供が増えている!

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子どもの骨が弱くなっている原因

子どもの骨が弱くなっている原因には、どんなものがあるのでしょうか? 運動・食事・睡眠の3つの背景から解説します。

運動

運動して骨に負荷をかけると、それが刺激となって、骨の成長はもちろん、筋肉・運動能力の発達体力の向上心肺機能の強化も促進します。

しかし、最近の子どもは、放課後は塾や習い事に行かなくてはならなかったり、ゲームやインターネットなどの家にこもる遊びを好む傾向があったりすることから、運動不足になりがちです。そのため、骨がしっかりと育たず、些細なことで骨折しやすくなります。

食事

原宿リハビリテーション病院 名誉院長の林泰史先生は、子どもの骨が弱くなっている原因として、野菜類や小魚類といったカルシウムをとらなくなっている点を挙げています。

昔と比べて食生活は豊かになったものの、コンビニやファストフード店で食事を済ませることが増え、栄養バランスが崩れがちになっているのだそう。特に子どもには、栄養バランスのとれた健康的な食事を意識的に用意してあげることが大切です。

睡眠

人は睡眠中、体の中でさまざまなホルモンを分泌しますが、その中で骨の成長に大きくかかわっているのが成長ホルモンです。成長ホルモンは、骨を強く成長させる役割があるため、子どもの頃からしっかりと睡眠時間を確保し、その分泌を促すことが大切。しかし、現代の子どもは幼少期から睡眠不足になりがちです。

世界17の国と地域で、0〜3歳児の睡眠時間を調査したところ、日本の子どもの睡眠時間は最も短かったのだそう。これは、OECDが31ヶ国の15〜64歳の働く世代に向けて実施した調査でも同様。日本人の睡眠時間は31ヶ国の中で最短でした。日本人は、子どもも大人も睡眠時間が短いのです。

明治薬科大学准教授駒田陽子氏は、その原因として、日本人が睡眠を重要視しない傾向にあることを挙げています。駒田氏いわく、日本人には寝る間を惜しんで働くことを美徳とする考えがベースにあるため、子どもに睡眠が大切だという意識も低くなってしまっているのだとか。また、欧米では子どもと親が別々の部屋で寝るのが一般的であるのに対し、日本は子どもと親の寝室が同室であることが多いため、親の就寝時間に子どもが左右されやすいという点も原因のひとつなのだそう。

親が遅くまで起きていると、子どもも夜更かししたくなってしまうものです。子どもが早く寝られるよう、親も早く寝るように心がけるなど、子どもの睡眠時間をより意識して確保する必要があるでしょう。

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子どもの骨を強くするためのポイント

子どもの骨を強くするためには、以下のポイントに注意しましょう。

カルシウム、ビタミンD、ビタミンKをとる

先にも登場した原宿リハビリテーション 名誉院長の林泰史先生は、骨を強くするためにはカルシウムはもちろん、カルシウムを骨に吸着させやすくする、ビタミンDビタミンKをしっかりと摂取することが大切だと述べています。各栄養が多く含まれている食材は、以下の通りです。普段の食生活に積極的に取り入れましょう。

  • カルシウム……牛乳・乳製品、小魚、干しエビ、小松菜、チンゲン菜、大豆製品など
  • ビタミンD……鮭、うなぎ、サンマ、メカジキ、イサキ、カレイ、シイタケ、キクラゲ、卵など
  • ビタミンK……納豆、ホウレン草、小松菜、ニラ、ブロッコリー、サニーレタス、キャベツなど

適度に紫外線を浴びる

ビタミンDは、紫外線を浴びると体内でも作られるようになります。公益財団法人・骨粗鬆症財団は、夏なら木陰で30分冬なら1時間程度の日光浴で、ビタミンDが十分に作られると述べています。熱中症や日焼け対策を忘れずに紫外線を浴びる習慣を作り、骨を強くしましょう。

運動習慣を作る

公益財団法人・骨粗鬆症財団いわく、骨を強くする運動について、重量挙げといった骨にかかる力が大きく、繰り返しが多い運動は効果が高いのだそう。しかし、お子さんの体力的にも、あまり現実的ではないですよね。その場合には、ウォーキングや水泳といった骨にあまり負荷がかからない運動でも、継続して行なえば効果が出るのだとか。

子どもの体力や興味に合わせた運動を習慣にし、骨を強くしていきましょう。

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子どもの骨は、普段の生活習慣を工夫するだけでも強くすることができます。骨に良い食事や運動を取り入れて、親子で強い骨を作っていきましょう。

文/田口 るい

(参考)
MIRAIMAGINE|子どものうちに丈夫な骨を
コツコツ骨ラボ|食生活の変化と子供の骨づくり
All About|子どもの骨折の原因・症状・対処法
MONEY PLUS|子供の骨折増加。骨が弱くなっている?その原因は
TBSラジオ|転んだら即骨折!?ケガしやすい「ロコモ」な子供が増えている!
THINK LIFE 暮らしを豊かにする、住まい実例|快眠は人生を充実させる
公益財団法人 骨粗鬆症財団|日光浴はどのくらい必要?
産経ニュース|「老化」する小中学生 つまづいて骨折 和式トイレでかがめない
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