2018.2.28

アクティブ・ラーニングに向けて今からできること

編集部
アクティブ・ラーニングに向けて今からできること

2020年から新たに導入される学習指導要領では、従来の「先生が話して生徒はノートをとる授業」ではなく、「子どもが主体的に考え、友だちとの対話を通じて深く学ぶことのできる授業」=アクティブ・ラーニングを目指しています。

それにより、国語の授業では「新聞記事などを読んで情報を正確に理解し、報告や議論をする力の育成」を重点的に強化していくようです。語彙力や論理的思考力といった基礎ができたうえで、さらに表現力が重視されるため、ますます総合的な国語力が試される時代へと進んでいくでしょう。

変わりゆく指導方法・学習方法

次期学習指導要領で求められる「育成すべき資質・能力」は、以下の3点にまとめられています。

  • 何を知っているか、何ができるか(個別の知識・技能)
  • 知っていること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)
  • どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びに向かう力、人間性等)

 
これらは「3つの柱」と呼ばれており、「知っていることを使って、どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」という、私たち親が子どもの将来のために願っている要素が盛り込まれています。教育現場と親の向いている方向が一致していることで、家庭学習への取り組み方にも明確な方向性が見えてくるはずです。

一方で、いざ「アクティブ・ラーニング」が本格的に開始したとき、はたして自分の子どもの適性に合っているのか? これまでと違う学び方についていけるのか? などと不安を感じるかもしれません。

では具体的に、どのような授業のやり方へと変わっていくのでしょうか。

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言語能力を高めることが最優先

『アクティブ・ラーニングの視点と資質・能力に関する参考資料』によると、各教科における学習活動の基盤となるのは言語の能力であるとしています。また中央教育審議会答申では、思考力・判断力・表現力を育むために必要な学習活動として以下の6点を示すと同時に、これらの学習活動に必要となるのは、広い意味での言語であるとしています。

  • 体験から感じ取ったことを表現する
  • 事実を正確に理解し伝達する
  • 概念・法則・意図などを解釈し、説明したり活用したりする
  • 情報を分析・評価し、論述する
  • 課題について、構想を立て実践し、評価・改善する
  • 違いの考えを伝え合い、自らの考えや集団の考えを発展させる

 
以上はすべて、「言語能力」が備わっていてこそ伸ばすことができます。

主語・述語を正しく使うことができる、接続詞や助詞の正しい使い方が身についている、ひとつの事柄に対して何通りもの表現ができる、など一朝一夕では決して身につかないものが言語能力であり国語力です。

だからといって、この時点で不安になる必要はありません。なぜなら、日常の何気ない親子の会話でも、充分に言語能力を鍛えることができるからです。次はその具体例をみていきましょう。

アクティブ・ラーニングに向けて今からできること2

アクティブ・ラーニングは怖くない

自分の子どもに対して、「ボキャブラリーが乏しい」「間違って覚えた言葉を使ってしまう」「他人に自分の気持ちを伝えるのが苦手」という不安材料を抱えている親御さんは多いはずです。これから始まるアクティブ・ラーニングでは、その不安材料は確実にマイナス評価へとつながるため、より一層不安な気持ちを掻き立てられるかもしれません。

しかし、毎日親子で交わす何気ない会話こそが、子どもの言語能力を確実に伸ばしていくという事実をご存知でしょうか? たとえば、以下のようなことを実践してみましょう。

  • 子どもの「なぜ?」に丁寧に答えてあげる。わからなければ一緒に調べて理解を深める
  • 子どもが会話のなかで間違った言葉の使い方をしていたら、その都度注意する。単語や文法に限らず、「てにをは」の使い方に対しても注意する
  • 読んだ本の感想を聞く。「面白かった」「つまらなかった」だけではなく、どうしてそう感じたのか? どの場面のどの言葉に心を動かされたのか? というように詳細を語ることができるよう誘導する

 
など、日々の暮らしのなかで親ができることは無限にあります。子どもが発する言葉に敏感になり、丁寧に向き合うことを意識してみましょう。すぐに結果が出なくても焦る必要はありません。コツコツと続けていれば、いつのまにか子どもの言語能力は高まり、理解力や表現力の向上にもつながっていくはずです。

***
積極的に議論することや、自分の意見を論理的かつ具体的に発表できることは、これからの時代に確実に求められる能力です。そして、発言のチャンスが与えられたとき、いかに自分の意見に自信を持つことができるか、ということが重要な鍵となるでしょう。その自信につながるものこそが、基礎的な国語力、いわゆる豊富な語彙力や鍛え抜かれた論理的思考力、そして豊かな表現力であることは間違いありません。

(参考)
「子どもの脳を伸ばす最高の勉強法」,洋泉社,2017年5月,p78
学びの場.com|意外と知らない“アクティブ・ラーニングのねらい”(vol.1)
教育過程部会 総則・評価特別部会|アクティブ・ラーニングの視点と資質・能力に関する参考資料
文部科学省|次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ
出口汪(2015),『子どもの頭がグンと良くなる! 国語の力』,水王社.