教育を考える 2018.4.24

徹底したバイリンガル教育を取り入れている、シンガポールのハイレベルな教育事情

編集部
徹底したバイリンガル教育を取り入れている、シンガポールのハイレベルな教育事情

2020年度の大学入試改革や今年度から始まった小学校の英語教育改革からもわかるように、日本では早期英語教育の必要性について様々な意見を耳にすることが増えてきたことと思います。

とは言え、モノリンガル教育を受けてきた私たち日本人にとっては、まだまだ手探り状態の教育改革に対する疑問点や不安感は拭えないのではないでしょうか。

そこで、同じアジア諸国で徹底したバイリンガル教育を行っている、教育水準が非常に高いシンガポールの教育事情を調べてみました。

シンガポール国立大学(NUS)はアジア大学ランキング一位

イギリスのタイムズ・ハイアー・エデュケーション発表の「THEアジア大学ランキング」の3年連続1位はシンガポール国立大学です。東大は去年からひとつランクを落として8位でした。

タイムズ・ハイアー・エデュケーションでは、以下のの5分野の中に13の指標の評価基準を設定し判定しています。

1. 教育力
2. 学生と教員の国際性
3. 産業界からの収入
4. 研究力
5. 論文被引用数

参考までに日本の大学は、東大に続き京大(11位)阪大(28位)東北大(30位)などがランクインしました。

シンガポールのエリート教育はいつから開始する?

正式な教育は小学校から開始されますが、英語教育は幼稚園に上がる4歳ごろから始まります。

しかし、シンガポールも日本同様共働き世帯がほとんどなので大半のシンガポーリアン家庭では子供は1歳半から保育園に入園させます。保育園では子供たちは英語、中国語、マレー語、タミール語など多民族国家ならではの様々な言語を耳にしながらお遊戯・お歌・集団生活などを学ぶだけでなく、読み書きや算数の計算などのお勉強を開始します

つまり、シンガポールでは保育園や幼稚園というのは遊びの場ではなく、教育の場なのです。子供が言葉を覚え始めたこの時期が、エリート教育のスタートとなります。

シンガポールの就学システムや義務教育の期間及び特徴

次に、シンガポールの就学システムや義務教育の期間及び特徴についてご紹介します。

シンガポールでは徹底したバイリンガル教育のシステムがあります。初等教育の開始の際、全ての学校で①英語②母語を選択し学ぶことを義務化しています。

1.Primary School Leaving Examination (PSLM)の受験
小学校卒業前の初等教育修了試験(Primary School Leaving Examination)を受け、その結果によりセカンダリー(中学)が決まります。PSLMは英・母語・数学・理科の4科目で実施。

2.セカンダリー(中学)
セカンダリーは、通常4~5年通うことになります。 PSLMの結果、特に優秀な子供たちは「Expressコース(4年)」へ進み、高校から大学へと進みます

次のレベルは「normalコース(5年)」です。ここで頑張れば大学進学の道も開けます。しかし、その次のレベルである「芸術技術コース(4~6年)」になるとシンガポールでの大学進学の道はほぼ閉ざされた状態となります

3.ポストセカンダリー(高校)
セカンダリーの次はポストセカンダリー(日本でいう高校)に進むことになりますが、ここでも卒業までの期間は 1年~6年と生徒の能力によって大きく異なります

たった12歳で人生が決まってしまうと言っても過言ではない、シンガポールの複雑かつ厳しい教育システム。子供に最短でよい教育を受けさせるには、PSLMの結果が非常に重要となるため、シンガポーリアンの親たちは幼いころから家庭でも徹底したサポートをしています。

そして親だけではなく、シンガポールは国をあげて教育に力をいれているのです

「STEM教育」、シンガポールはアジアのトップ

その国をあげての教育のひとつが、「STEM教育」です。STEMとは、「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Mathematics(数学)」、この4つの頭文字をつなげたもので、理数系に学習の重点を置く教育のこと。

このアメリカ発のSTEM教育でアジア最先端をいっているのがシンガポールなのです。シンガポールでは小学校高学年になると算数や理科などは専任の教師が指導し、学ぶだけではなく作ったり実験したりする体験学習を行うことにより、子供の興味をあおる授業を取り入れています。

日本でも2020年からはプログラミング教育が義務化されるようですが、シンガポールに比べるとまだまだ遅れをとっている状態です。とはいえ、民間のスクールもかなり増えてきていますので、プログラミング教室に通わせてみたり、夏休みなどの長期休みを利用して科学実験キャンプに参加してみたりするのはいかがでしょう。

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たった12歳で将来が決められてしまうシンガポールの教育事情。この教育をどうとるかは、保護者次第というところでしょうか。また最近は、日本の詰め込み型教育の賛否もよく取り上げられるテーマのひとつです。世界の教育事情がどう変わったとしても、子どもの性格を見きわめて、学習の方向性を探っていくことが保護者の務めなのかもしれませんね。

(参考)
THE世界大学ランキング 日本版|THEアジア大学ランキング-東大は1つ下げ8位、京大は3つ上げ11位
OECD|シンガポールが1位 - OECD PISA学力調査
日経DUAL|息子の小学校入学時シンガポール行きを決断した理由
SHINGA FARM|日本の20年先を行く! シンガポールのSTEM教育とは?
東京学芸大学 国際教育センター|シンガポール日本人学校における学習指導と実践