教育を考える 2018.3.14

【Education Now 第2回】日本の算数はインターより難しい? 学校選びで大切なこと

吉本智子
【Education Now 第2回】日本の算数はインターより難しい? 学校選びで大切なこと

現在、海外在住の私は、日本の学校現場での経験を活かし、幼稚園~高校入学前までの子どもの学習を指導しています。いずれ日本に戻る日本人の子、日本には戻らないけれど日本語を学習しているハーフの子、それぞれ目的は異なりますが、日本の学習に一生懸命取組んでいます。

連載第2回目の今回は、そんな彼らを指導していく中で、実際に私が得たこと・感じたことをお話ししようと思います。

国によって異なるさまざまな学校選び

子どもちが海外で通う学校は、日本人学校・現地の学校・インターナショナルスクール(以下インター)があります。英語圏ではない国の場合、日本人学校かインターに通わせている方が多いようです。

■日本人学校
日本人学校では、日本と同じような教育を受けることができます。1クラスの人数が少ないことが多く、きめ細やかな指導を受けることが期待できます。ですが、日本人学校はどこの国でも存在しているわけでなく、ある程度日本人が集まっている国・地域に存在しています。

■補習授業校
日本人学校がない国でも日本語の補習授業校がある国もあります。補習授業校とは、あくまで現地校やインターの補助的な役割で、土曜日や放課後を利用して、一部の教科について日本語で授業を行う教育施設です

私が住んでいる国は、日本人学校はあるものの補習授業校がないため、インターを選択した子は、日本の学習を個人で進めていかなければなりません。そういった状況が、私が子どもたちと関わるきっかけとなりました。

■学校選択の条件
学校を選ぶことの条件として、費用、立地、通学方法、親の赴任期間、学校のカリキュラム(アメリカ系、イギリス系、その他)、教師の質、ESL( ※1)があるかどうか、このあたりは家族でよく話し合って結論を出されると思います。

また、子どもの意思や性格(物怖じしない、人見知りがある、新しいことに慣れるのに時間がかかるなど)母語の形成具合も大きく関わってくると思います。母語については一般的に、急激に発達するのが2~4歳、母語で学習できる能力を養うには、9~10歳とされています

※1 English as a Second Language 英語を母国語としない外国人が英語力を補強するために履修する英語のクラス

日本の方がインターよりも難しい? 意外と盲点な算数

インターに通わせるとなると、どうしても日本の子どもと比べて日本語が遅れてしまいます。そのことから国語の重要性を認識している人は多いのですが、実は算数も重要だと思います

算数において、計算こそ世界共通ですが、文章問題は日本独特です。「どちらがどれだけ多いですか? AはBの何倍ですか?」といった日本語の読解力が必要となる問題は、インターの子は、慣れるまでに時間がかかってしまうようです。特にかけ算では、A×BもB×Aも数学的には両方等しいものの、日本の文章問題では、かけ算の順番が決められている場合もあります。(※2個入りのあめが3セットの場合、2×3が正解。3×2だと不正解になることがあります)

文章問題以前に、計算など算数自体に苦手意識を持っていると、こういった算数の問題に費やす時間が多くなってしまいます。逆に、算数が得意であれば、その分、国語の漢字や音読に時間を充てることができます。

小学校までの算数をみると、日本は九九や公式など暗記事項が多く、四則計算の速さや正確さを求めるレベルが高いです。しかし、海外では計算は電卓で行ったり、計算間違いも結構多かったりと、そこにはさほど焦点をあてていません

日本では高い計算力を求められることから、小学校までの算数は、日本の方が難しく感じるようです。算数(計算)が得意であれば、インターの授業でも計算には比較的余裕を持って取組むことができるので、インターに通うことの大きな強みになるのではないでしょうか。

第三者の観点から、学校選びで大切だと思うこと

学校選択の基準は各家庭によって様々です。以前「日本人学校とインターナショナルスクール、うちの子はどちらがいいのでしょうか?」と相談されたことがあります。私は、アドバイスは伝えても、答えは決して出さないようにしています。

1. 親が絶対にぶれない
まず大事なのは、子どもの意見で、まだ学校選択に漠然としたイメージしか持てない子どもの場合は親が決定することになります。こうした選択の決定に際して一番重要なことは、「親がぶれない」ことだと思います。

一番子どもの性格を熟知しているはずの親は、決断するまでに、子どもの意思確認は勿論のこと、様々な情報を集め、吟味したことと思います。そういった中で下した決断に対し、少なくとも子どもの前ではぶれないでほしいと思います。

一番身近で信頼しているはずの親が自信なさそうにしていると、子どもも「どうしてこの学校に通っているのだろう。」と不安な気持ちになり、自信がもてなくなるのです

2. 答えは誰にもわからない
結局のところ、学校なんて入ってしまわなければわかりません。どんなに評判がよくても、兄弟姉妹が楽しく通っていても、その時の先生や友人などの周りの環境、本人の感じ方によって雰囲気も変わってきます。

また、学校選びが正しかったかどうかは、その時にはわからず、成長を経てわかることもあるのです

3. 子どもとは自信を持って向き合う
学校選びは誰しも悩むところではありますが、子どもの一番身近にいて、よく考え出された決断がその時には一番の選択だと思っています。どの学校を選択したにせよ、どうか自信をもって通わせてほしいと思います

子どもに「どうして私はこの学校に通っているの?」と尋ねられたときに、「あなたは○○だから、この学校がいいと思ったのよ。私たち(両親)の考え・想いはこうなの」など、じっくり向き合って堂々とした態度で話してみて下さい。もし、学校に入学してみて「想像と違ったな、子どもの様子がおかしいな?」と感じるのであれば、またその時に改めて学校選びをしてもよいと思います。

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今回は、海外での学校選択としての例を挙げましたが、これは、日本の幼少期の子どもの受験や習い事などにも共通していると思います。子どもの様子をみて決定し、決定したことには真摯に向き合い、合わなければ変更する柔軟性も持ち合わるとよいのではないかと思います。

次回は、インターに通う子どもの具体的な日本語学習の進め方についてお話したいと思います。

(参考)
公益財団法人 海外子女教育振興財団|母語の大切さをご存じですか?
文部科学省|在外教育施設の概要