教育を考える 2018.4.19

坂上忍さんの子役育成から学ぶ 子どもの「才」の伸ばし方【第8回】~言葉遣いが悪いのは親!?~

坂上忍
坂上忍さんの子役育成から学ぶ 子どもの「才」の伸ばし方【第8回】~言葉遣いが悪いのは親!?~

役者、舞台や映画の脚本・演出、そして番組MCとマルチな活動をしている坂上さんですが、もうひとつの顔が存在します。それは、2009年に立ち上げた『アヴァンセ』という子役育成のためのプロダクションを運営していること。役者業は既に48年目目を迎えた坂上さん。

その長いキャリアを持っているからこそ教えることができる、目から鱗の子どもの「才」の伸ばし方を、全10回に渡って公開します。第8回目となる今回は、言葉遣いについてのお話です。

言葉遣いの荒い親が増えている?

街中に出てみて気付くことですが、最近は、言葉遣いの荒い親御さんが増えてきているようですね。子どもに向かって、「おい、なにやってんだよ!」「いい加減にしろよ!」などと怒鳴る親御さんがいたり……ちょっとびっくりさせられます。ストレスが多くて……なんてことは言い訳にはなりません。当たり前の話ですが、荒い言葉遣いで子どもと接していれば、子どもの言葉遣いはどんどん乱れていきます。

子どもは、親の仕草や言葉遣いをマネしながら、成長を繰り返す生き物。言うまでもなく、それは当然のことです。得てして、わが子に「言葉遣いが悪い!」と注意している親御さんに限って、自分の言葉遣いが悪かったりするもの。子どもの言葉遣いを正したいのなら、まずは自分自身の言葉遣いを気にすることです。自分の言動を改めない限り、子どもが変わることはないでしょう。

わたしは『アヴァンセ』に通う子どもたちに、大人の役者に対するのと、同じ言葉を遣って演技指導しています。相手が小さいからといって赤ちゃん言葉にしたり、上から目線の言葉を遣ったりすることはありません。


※写真は2015年撮影のもの(©辰巳千恵)

子どもは大人の言葉遣いに敏感

目の前にいる子どもたちは、世間一般の年齢としては子どもですが、わたしのなかでは「役者の後輩」にあたる存在。正直なところ、子どもと思っていないところがあります。同じ役者として接する以上、普段から丁寧な物言いを心がけますし、一方では大人の役者に対するのと同じように本気で怒鳴ることもあります。

年齢によって変えていることがあるとすれば、たまに子どもが喜びそうな、ちょっとだけ下品な言葉をレッスン用の台本に盛り込むこと。大人にとっては、本当に単純な言葉ですよ。少々汚くて申し訳ないですが、うんちとかそういう程度のもの。子どもはこういう言葉が大好きなので、場を和ませたり、雰囲気を明るくしたいときにあえて使用します。

なぜそうするのかと言えば、わたしが人を動かす立場にいるからです。「ああしろ!」「こうやれ!」「早くしろ!」と言って、人が動くのであればいいですが、人になにかを教えるというのはそんなに単純なものではありません。上から物を言うような言葉遣いで人を動かしたのであれば、それは単なる独裁者にすぎない。言うまでもなく、わたしは独裁者なんて目指していませんし、目の前の子どもときちんと向き合いたいのです。

子どもを気持ちよく動かすこともあれば、ときには力ずくで動かすこともあります(力ずくというのは、言葉を駆使してという意味です)。場の雰囲気や稽古の進み具合を見て、臨機応変に言葉を遣って人を動かすのが、わたしの仕事でもあるのです。

言葉ひとつ、言葉遣いひとつで、子どもは右にも左にも前にも後ろにも進んでいきます。子どもは、こちらが思っている以上に大人の言葉遣いに敏感で、影響を受けやすいのです。

皆さんも、あとから考えると「荒い言葉遣いをしてしまったかも……」と思い当たる節があるのではないでしょうか? ときには、厳しい言葉遣いが必要な場面もあるでしょう。でもそんなときこそ、フォローの言葉をしっかりと入れて、最後には笑顔の瞬間が訪れるように導いてあげてください。


※写真は2015年撮影のもの(©辰巳千恵)

※当コラムに関するお断り
この連載コラムは、2015年に刊行された坂上忍さんの著書『力を引き出すヒント~「9個のダメ出し、1個の褒め言葉」が効く!~』(東邦出版)を、当サイト向けに加筆修正をしたものです。

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■坂上忍 著『力を引き出すヒント~「9個のダメ出し、1個の褒め言葉」が効く!~』はこちら→