あたまを使う/プログラミング 2018.2.28

“身近なもの” として感じてもらう。プログラミング教育必修化により小学校で行なわれることとは?

編集部
“身近なもの” として感じてもらう。プログラミング教育必修化により小学校で行なわれることとは?

2020年度より、小学校教育におけるプログラミング教育が必修化されることは、多くの方が耳にしたことがあるニュースでしょう。ではいったい、小学校ではどんなプログラミングの授業が行われるのでしょうか?

コーディングを覚えることが目的ではない

たとえば2012年に新しくなった中学校の学習指導要領には、『技術・家庭科』科目において「コンピュータを利用した計測・制御の基本的な仕組みを知ること」「情報処理の手順を考え、簡単なプログラムが作成できること」が盛り込まれており、プログラムによる計測・制御が必修となりました。

また、高校でも現在、選択科目『情報の科学』においてプログラミングが取り扱われ、「問題解決のためにプログラミング・コンピュータを活用する」レベルまでスキルを習得することが求められています。

このように聞くと、プログラミング教育が目指すものとして「プログラミング言語を覚える」「実際にコーディングできるようになる」「プログラムで何かを動かせるようになる」といった内容を思い浮かべる方も多いかもしれませんね。

しかしこれらは、プログラミング教育の真の目的ではないようです。2016年6月に行なわれた有識者会議でも、プログラミング教育について「コーディングを覚えることが目的ではない」と言明されています。

プログラミング教育とは、子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない。

(引用元:文部科学省|小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)

そしてこれは、2020年度より必修化される小学校でのプログラミング教育においても例外ではないのです。

プログラミングを “身近なもの” として感じてもらう

文部科学省が発表した「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」では、小学校でのプログラミング教育の目的を以下のようにまとめています。

小学校におけるプログラミング教育が目指すのは、(中略)子供たちが、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験しながら、身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと、各教科等で育まれる思考力を基盤としながら基礎的な「プログラミング的思考」を身に付けること、コンピュータの働きを自分の生活に生かそうとする態度を身に付けることである。

(引用元:同上)

私たちの周囲には、コンピュータやプログラミングが活用されている物や仕組みが数限りなくあります。スマートフォンやロボット掃除機、信号機、自動改札機など枚挙にいとまがなく、この便利な生活はコンピュータやプログラミングなくして成立しないと言っても過言ではありません。

この便利さの裏側でどのような仕組みが機能しているのかに思いを巡らせ、便利な機械が「魔法の箱」ではなく、プログラミングを通じて人間が意図した処理を行なわせるものであることに気づいてもらう。そして、自分が意図する動きを実現するにはどのような動きや記号を組み合わせていけばいいのかといった、「論理的・創造的な思考」「プログラミング的思考」を身につけてもらう。

こういった部分に、プログラミング教育の目的があるのです。

小学校のプログラミングの授業はどうなるの?

プログラミング教育について世界に目を向けてみると、たとえば先進的なイングランドでは、2014年よりプログラミング教育のための「Computing」という教科が導入されています。

しかし日本における小学校でのプログラミング教育必修化に関してひとつ注意しなければならないことがあります。それは。プログラミングが新しい教科として新設されるわけではなく、あくまで算数や理科といった既存の教科の中に組み込まれるという点です。そしてどのような内容を扱うのかに関しても、各学校・各教員の裁量に委ねられるのだそう。

各教科におけるプログラミング教育の一例として、以下のような内容が紹介されています。

【理科】
身の回りには、電気の性質や働きを利用した道具があることをとらえる学習を行う際、プログラミングを体験しながら、エネルギーを効果的に利用するために、様々な電気製品にはプログラムが活用され条件に応じて動作していることに気付く学習を取り入れていく

【算数】
図の作成等において、プログラミングを体験しながら考え、プログラミング的思考と数学的な思考の関係やそれらのよさに気付く学びを取り入れていく

【音楽】
音楽づくりの活動において、創作用のICTツールを活用しながら、与えられた条件を基に、音の長さや音の高さの組合せなどを試行錯誤し、つくる過程を楽しみながら見通しを持ってまとまりのある音楽をつくることや、音長、音高、強弱、速度などの指示[13]とプログラムの要素の共通性など、音を音楽へと構成することとプログラミング的思考の関係に気付くようにする

【特別活動】
既存のクラブ活動にプログラミングを体験する学習を取り入れたり、子供の姿や学校・地域の実情等に応じて、プログラミングに関するクラブ活動を運営・実施できるようにしたりしていく

(引用元:同上(一部抜粋))

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授業内容の詳細は今後検討されていく見通しですが、小学校で目指されているのは「プログラミングを身近なものとして感じてもらうこと」と「プログラミング的思考を身につけること」です。

コンピュータやITテクノロジーがもはや当たり前のこの時代。小さいうちからプログラミングに慣れ親しんでおくことで、“プログラミングアレルギー” のない子どもに育ってもらいたいものですね。

(参考)
文部科学省|小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)
文部科学省|諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究(PDF)