教育を考える/知育 2018.5.30

子どもの「やりたい」を大切に。社会性が育まれる『ドイツゲーム』の正しい選び方

中村桃子
子どもの「やりたい」を大切に。社会性が育まれる『ドイツゲーム』の正しい選び方

こんにちは。一般社団法人 日本知育玩具協会認定講師の中村桃子です。

連載『知育玩具で育てる アタマとココロ』も第3回。今回は、「遊びながら子どもの能力を育てるドイツゲームの選び方」についてです。

社会性が身につく「ドイツゲーム」。どんなものから始めるべき?

なんでもお口に入れる時期が終わったら、お子さまと一緒にドイツゲームで遊んでみましょう。ドイツゲームで遊ぶことを通して、“ルールを守る・順番を守る・人の気持ちを推し量る” という社会性が、自然と身についていきますよ。

さて、ドイツゲームには、記憶力・集中力・俊敏性・決断力・数の感覚・観察力・手先の器用さ・見通しを立てる力など、さまざまな「能力」を使って勝つゲームがあります。一方で、能力ではなく「運」や「偶然」で勝敗が決まるゲームもあったりします。

例えば、サイコロを振って進んでいくゲーム。これは後者に該当しますね。完全に運や偶然に左右される “サイコロの目” によって、勝敗が決まるからです。

では、ドイツゲームを始めるにあたり、まずはどちらを選ぶのがよいのでしょうか。私がおすすめするのは後者です。なぜならば、何度も遊んでいれば、必ず勝つチャンスがやってくるから。まずはこの「運」や「偶然」のゲームから出合わせてあげましょう。

まずは「パッケージ」をチェックしよう

次にお伝えするのは、「実際にどんなゲームを選んであげるのがいいのか?」について。

まずチェックすべきはパッケージの絵です。ちょっとでも興味を抱いたら、手に取ってみてください。

例えば、HABA社(ドイツ)の「スティッキー」。青・赤・黄の太さの異なるスティックの束を、サイコロが示した色に従い、倒れないように順番にそーっと抜いていきます。ハラハラドキドキがたまらない、手先の器用さを集中力が必要がゲームです。パッケージを見てみると、男の子と女の子が何やら楽しそうにスティックを抜いている絵が描かれていますね。

実は、大人のゲームの見方と子どものゲームの見方には大きな違いがあります。このスティッキーで言えば、「手先の器用さが必要なゲーム」「倒さないために集中力を必要とするゲーム」という見方をするのが大人です。でも、子どもの見方は違います。子どもたちは、「いろいろな色のスティックのゲームだよね」「男の子と女の子の棒倒しのゲームだよね」なんて具合に考えるのです。

また、こちらの「ねことねずみの大レース」。大人は「サイコロで進むすごろくゲームだから、偶然のゲームだよね」と考える一方、子どもは「これは、こわーい猫から逃げるゲームだよね」と考えるのです。

このように子どもたちは、パッケージの絵を見て、主人公になりきるかのごとく、ゲームを物語として感じていきます。絵本の表紙を見るのと同じですよね。

ゲームの雰囲気をパッケージに上手に表現しているのが、ドイツゲームの特徴です。ゲームを選ぶ際はパッケージを見て、「うちの子に合うかな?」というところをチェックしてみてください。加えて、対象年齢やプレイヤーの人数など客観的な情報も記載されているので、こちらも参考にするとよいでしょう。

そして「おもしろそう!」と思ったら、ぜひためらわずにやってみてください。

大人の「させたい」ではなく、子どもの「やりたい」を優先しよう

ここでひとつ、注意しなくてはならないことがあります。それは、大人の「させたい!」という思いだけでゲームを選んではいけないということです。子どもの能力をのびのびと伸ばしていくためには、子ども自身が「やりたい!」と思うゲームを主体的に選ぶ、つまり “自己決定” がとても大切になってきます

例えば、アミーゴ社(ドイツ)の「ハリガリ」、これは、4種の果物が描かれているカードを順にめくり、同じ果物の合計が5になったら「チーン」とベルを鳴らせる、数の感覚や俊敏性を必要とするゲームです。

もしこれを、「うちの子はもう5歳になったから、足し算のお勉強のためにこれで遊ばせよう!」という大人の気持ちだけで、むりやり子どもに与えてしまったらどうなるでしょうか? 一気にノーサンキュー、やる気が失せてしまいますよね。これではせっかくの楽しいゲームも台なしです。

たしかにドイツゲームには、遊ぶことでさまざまな能力を育てられるものがたくさんあります。しかし、これはあくまで “楽しく遊ぶなかで” 育っていくもの。遊びたいゲームを自分で選ぶことで子どもの自主性は守られ、存分に能力を伸ばしていけるのです。我が子にドイツゲームを大好きになってもらうためにも、大人はこのことを心に留めておくとよいでしょう。

得意・不得意があって当然。ゲームは “バランスよく” そろえてあげよう

先に登場した「スティッキー」と「ハリガリ」。どちらも能力を使って勝つゲームですが、使う能力はまったく違います。

子どもには、得意・不得意があって当たり前。ある子は手先を使うゲームが得意で、ある子は数に関するゲームが得意、なんてことも往々にしてあります。

大人がドイツゲームを選ぶ際にすべきことは、その子が必ず勝てるゲームをバランスよく混ぜてあげること。そして、運や偶然で勝敗が決まるゲームも同時に用意してあげることです。大切なのは、“勝つ体験” をたっぷり味わい、「ゲームをまたやりたい!」という気持ちを引き出すことなのですから。

次回は、子どもへの “ゲームの与え方” についてお伝えしていきます。どうぞお楽しみに。

監修:(社)日本知育玩具協会