教育を考える 2018.2.28

【陰山英男の「教育論」第2回】“考える子ども” を育てる。集中速習力が身につく学習塾「スコーラ」とは?

編集部
【陰山英男の「教育論」第2回】“考える子ども” を育てる。集中速習力が身につく学習塾「スコーラ」とは?

※第1回『どんな時代でも揺るがない “普遍的なチカラ” とは?』から続く

インタビュー記事の第2回では、百ます計算に代表される「陰山メソッド」で有名な陰山英男(かげやま・ひでお)先生が監修する学習塾『陰山式スコーラ』を取り上げます。

第1回では、基礎基本の重要性について「(どんな時代にあっても)いささかも揺るがない」と力強く語ってくださった陰山先生。このスコーラでは、具体的にどんな学習が行われているのでしょうか? 詳しくお伺いしました。

陰山メソッドの真髄がここにある

——2016年8月に武蔵小杉校を、2017年7月には京都校を開校したスコーラですが、そもそもスコーラを設立した背景には陰山先生のどのような思いがあったのですか?

陰山先生:
子どもたちの能力や学力を伸ばす方法については、百ます計算や漢字の集中学習に代表されるように、従来の発想にとらわれない新しい方法を、これまで非常にクリエイティブに開発実践してきたという自負を持っていました。ところが、ちょうど2、3年ほど前から学校現場の先生方の指導を始めたのですが、その機会に新しく考えたことを実践してみると、またさらに劇的に子どもが伸びるという場面に遭遇し続けているのです。

たとえば、漢字指導。ふと「子どもたちはいつ漢字を覚えるのだろう?」と考えてみると、「その漢字を最初に書くときではないか?」と気づいたんですね。

そこで、家に帰ってからの宿題で覚えさせるのではなく、すぐにその場で覚えさせるという指導をしてみました。そうしたら、その瞬間に覚えてしまう子どもたちが続出したんです。なかには、1年生の漢字を2ヶ月少々で覚えてしまう幼稚園児も。「あれ?」と驚きましたね。今まではやっていなかったけれども、いざ実践してみたらできてしまった。そんな新しい発見がいくつもありました。

既存の教育理論に引きずられず、子どもたちを伸ばす方法をもっと追求したい。これまでの実践を基盤に、子どもたちの成長の可能性をもっともっと探りたい。そんな思いから、この陰山式スコーラを立ち上げました。

——陰山式スコーラとは、どのような塾なのでしょうか?

陰山先生:
スコーラとは “考える子どもを育てる塾” です。脳そのものを活性化・高機能化させることで、集中力はもちろん、学力の基礎基本を高いレベルまで押し上げていきます。具体的な学習内容としては、「百ます計算」「音読指導」「漢字学習」を三本柱としてさらにそこから多様に思考する学習を展開しています。

塾というと一般的に、学校のテストや入学試験に出るような問題を訓練する場というイメージが強いですよね。「百ます計算や漢字練習などの “基本的なもの” を繰り返して、本当に効果はあるの?」と思われる方もたくさんいるでしょう。実際、難しい問題が解けた瞬間に子どもは伸びると考えている方のほうが圧倒的多数だと思います。でも本当はそうではない。基礎学習の完全なる習熟こそが、高い思考力の土台となるんです。

私は2003年に、全国公募によって広島県尾道市立土堂小学校の校長に赴任しました。そこでは、百ます計算や漢字の徹底反復などに代表される “読み書き計算” といった基礎学力の向上を図る「陰山メソッド」を実践しましたが、当時小学校1年生だった50人の子どもたちが、先日ちょうど成人式を迎えたんですね。話を聞いたところ、50人のうち12人が国公立大学に進学したのだそう。東京大学が1人、国公立大学の医学部が3人、その他九州大学や神戸大学や広島大学など。

幼少期や小学校時代に培った能力は確実に生き続けます。基礎学習の完全なる習熟こそが、その後の高い学習能力となるんです。小学校で教えた子が、高校生となって定期テストの前日に学校に遊びにきたことがあります。私が、早く帰ってテストの準備をするように言うと、「定期テストの内容くらいなら、一度読んだら覚えられる。他の学校から来た友だちが苦労しているのが不思議だ」と豪語していたのに驚いたことがあります。やはり小学校で身につけた学習能力は、その後も生かされ、様々なテストでも生きているものなのです。

基礎学習を徹底的に

——ここからは陰山式スコーラの三本柱について詳しくお話をお伺いできればと思います。まず、百ます計算はどのような狙いで行なわれるトレーニングなのでしょうか?

陰山先生:
脳の処理速度を最大限まで引き上げる。百ます計算はまさにそういうトレーニングです。自分自身のベストタイムに挑戦することが、脳を極限まで速く動かす絶好のトレーニングになります。「最初はなかなか速く計算できず苦労するのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、意外にもほとんどの人が初めから楽しみながら取り組んでくれますね。

そして百ます計算は、繰り返しによって速くなっていきます。子どもの成長には段階があるので、一生懸命やっているのになかなか伸びない時期にぶつかることもありますが、地道に続けていたらある日突然ブレイクスルーが訪れた、なんてパターンが非常に多い。

もちろん、乳幼児期の数字への接し方が弱かったために、百ます計算にスムーズに入っていけない子もたまにはいらっしゃいます。しかし、スコーラでは独自の教材を使うことで、そういう子でも入っていきやすいように工夫をしています。

そして百ます計算の力が定着してから、一般的な計算練習をしてもらいます。基礎ができているので当然習得は速くなります。ですから、みんな計算が得意になってくるのです。

——次に音読についてです。音読というと、私自身も小学校時代に学校の宿題で取り組んだ経験があるのですが、なぜあえて陰山式スコーラで実践しているのですか?

陰山先生:
音読は、脳の言語領域を鍛える重要で必須の学習です。単に読みがうまくなることが目的ではありません。音読の力が鍛えられることで、今後必要となるプレゼン能力も大きく成長します。しかも、家庭では指導が難しいので、この音読に期待して入塾を決められた方もいらっしゃいます。これも幼稚園児や低学年の子の方が成長しやすく、『学問のすすめ』の出だし400字くらいを課題に出しておくと翌週にはもう暗唱できているということもよくあります。

音読をするにあたっては、気を配らなければならないポイントが実はたくさんあります。姿勢をきちんと正さなければいけないし、はきはきと発音するためには呼吸を整えて腹式呼吸にする必要がある。声をしっかり出すためには、当然ですが口の形にも気をつけなければならない。そして適切な教材を選ぶことも忘れてはいけません。これらを達成できて初めて、音読の本当の学習効果が表れます。その点、よくあるだらだらとした音読は、子どもたちにとってはほとんどプラスにはなっていないでしょう。

よくある間違いは、子どものレベルに即した “易しい文章” を音読させてしまうこと。わかりやすい日本語を読ませると、子どもたちはその文章の意味を考えようとしてしまい、かえって音読に没頭できなくなります。余計なことは考えさせず “心を空にして” 読ませることが有効なのです。

一番良い代表例は『論語』ですね。陰山式スコーラでも、音読の教材として『論語』を使っています。なぜならば、子どもたちにとっては難しくて意味がわからないから。音読も結局は脳のトレーニングですから、「音読しやすいリズムがあって、なんとなく大きな意味がありそうだ」ぐらいのものがちょうどいいんです。「子 曰く」とか、子どもたちも喜んで読んでくれています(笑)。難しい言葉に対しての抵抗感もなくなりますからね。


(写真:授業では、陰山先生が自ら教壇に立って『論語』の音読をご指導なさっていました。)

——次に、三本柱最後の漢字についてです。陰山式スコーラでは、漢字学習の指導はどのようにされているのですか?

陰山先生:
具体的な指導内容についてはまだ企業秘密としているので、詳しくは言えないのですが……(笑) 最も重要なのは、漢字を覚えるのに手間暇をかけないことですね。努力と根性からは完全に切り離し、“瞬時に覚える” というメソッドを確立して実践しています。

よく「覚えたい漢字を10回書きましょう」なんて教え方がありますよね。あれはいけません。漢字を覚えられなくなります。例えば最初に “へん” だけを書いて、次に “つくり” だけを書いて、といったようなことをする子が出てきます。それは非常に具合が悪い。なぜならば、文字を書くときに頭を使わない練習をしているから。10回書くことが目的になってしまい、結果として “漢字を覚えられない脳” が育ってしまうんです。

逆に、勉強ができる賢い子って、勉強時間が短くて済みますよね。それはなぜかというと、ものすごい集中力があるから。集中力を高めることによって、一瞬にして速く学習できるんです。これを「集中速習」と言いますが、陰山式スコーラではこの集中速習力の育成をとても大切にしています。

最近気がついたのですが、良くない学習方法をずっと長くやっていると、やがて学習そのものができなくなってくる、そんな感じがあるのです。高学年の子の学び直しをさせていると、それまでの学習方法をまずリセットさせなければ、本当の学習に入っていけないのです。その一方、幼稚園児や入学したばかりの子のすさまじい成長。まさしく乾いたスポンジに水が入っていく感じです。

また、基礎が確立してくると、自然と学習は高速に進むようになります。ですから2年生でも高学年の学習をする子が出てきます。

勉強は時間ではない

——スコーラに通われている生徒さんに見られる “成長” についてお話を聞かせてください。

陰山先生:
スコーラの授業は、週1回50分間です。これは一般の塾からすると最小時間ですよね。でも、 “勉強は時間ではない” ということ。集中速習に代表されるように、勉強ではまさに「集中」が重要事項なんです。そしてスコーラでは、このコンセプトのもとみんな大きく伸びています。

スコーラに通っている、ある小学校1年生の男の子。漢字を覚えるのが快感に変わったらしく……。4年生以上のドリルを教室からこっそり持って帰って、自宅で自主的に漢字勉強をやっていたそうなんです。「あ、子どもって本当に勉強を好きになるんだな」と思いましたね。学習意欲というのもまた「集中力」から生まれるものだと、確心できた瞬間でした。

野球が好きで毎日練習している男の子。時間が足りず、勉強ではミスが多い。そこで入塾して集中速習ができるようになって、テストはすべて満点になったと、入塾前と入塾後のテストを分けて見せていただいたお母さんがおられます。また野球でもその集中力は生きているそうです。

小学校入学時、学習障害が疑われ、実際に言葉の学習に支障をきたす可能性があると診断されたお子さん。でも、そのことを知らずに指導させていただいていたら、今は普通以上に力が伸びているのです。最近になってそんな話があったことを聞き、驚きました。

武蔵小杉のほうでも、最初は学力不振から入塾されたお子さんが、めきめき力をつけ成績が急上昇。以前ならまったく考えられもしなかった中学入試に挑戦しようかというお子さんもおられます。

できたばかりの塾ですが、そんな例はまだまだたくさんあります。成長する子どもたちにはそれぞれのドラマがあります。すべての子どもたちにそんなドラマを提供するのが陰山式スコーラと思っています。

【プロフィール】
陰山英男(かげやま・ひでお)
1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒。学生時代はアナウンサー志望だったが断念。その後兵庫県で小学校教師となる。百ます計算を生み出した岸本裕史氏に師事し、その活用法から実践を広げ、そろばんからデジタルのまで新旧を問わない学習が評価される。2000年にNHKでその様子が報道され、『本当の学力をつける本』で50万部のベストセラーとなる。その実績で広島県尾道市立土堂小学校にて日本初の公募校長に就任した。以後政府の教育再生会議や文部科学省の中央教育審議会委員、大阪府教育委員長を歴任し、立命館大学教授を経て、現在は基礎力財団理事長、ドラゼミ総監修者。小学館の『徹底反復百ます計算』など、そのドリルは国内のみならず世界でも販売され一千数百万部売れている。

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応用・活用が優先されているこの時代、基礎基本の徹底は、一見すると時代に逆行した学習方法のように思われるかもしれませんね。

でも忘れてはいけないのは、「基礎学習の完全なる習熟こそが高い思考力の土台となる」ということ。基本のなっていないスポーツ選手がスーパープレーをするのは不可能であるように、基礎なくして応用力の習得は絶対にありえません。

確かな実績を誇る「陰山メソッド」のもと、基礎学習を徹底するスコーラは、子どもたちの脳を高機能化させ集中速習力を育てます。東京近郊では神奈川の武蔵小杉教室、関西では京都教室が開校中。スコーラにご興味を持たれた親御さまは、ぜひ一度教室をのぞいてみてはいかがでしょうか?

『スコーラ』公式サイトはこちら