あたまを使う/国語 2018.4.18

子どもの問題解決能力を高めてくれる。今こそ “辞書の力” を見直そう!

編集部
子どもの問題解決能力を高めてくれる。今こそ “辞書の力” を見直そう!

わからない言葉に出会ったとき、みなさんはどのようにして対処していますか?
いつも持ち歩いているスマートフォンでその言葉を入力し、検索サイトで上位に出てくるページを開く人が圧倒的に多いのはないでしょうか。

しかし、こんなにも便利な時代だからこそ、言葉を調べる手間やひとつひとつの言葉と向き合う労力を惜しまない姿勢が身につくことで、子どもたちが本来持っている能力が引き出されるのです。そしてそれは、人が生きていくうえで非常に役立つ「問題解決能力」を鍛えることにもつながります。

今回は、辞書がもたらすメリットと、それにまつわる相乗効果について考えていきましょう。

便利だけど危険。デジタル頼りは諸刃の剣

私たち大人が子どものころは、まさかこんなに便利な時代になるとは思ってもいませんでしたよね。言葉の意味を知りたいとき、まずは親や先生など身近な大人に尋ねる、もしくは自分で辞書を引いて調べていたはずです。そのように時間や労力を使って調べた言葉は、比較的記憶に残っているような気がしませんか?

今やほんの数秒あれば、インターネットを使ってほとんどの疑問は解決できる時代です。一方で、解決した途端に満足して、またすぐに忘れてしまう……そういった経験もあるのではないでしょうか。この問題は「デジタル健忘症」や「デジタル認知症」といった症状と深く関係します。

スマートフォンを中心としたデジタル依存によって右脳に支障をきたし、それにより引き起こされる記憶力の低下から海馬が衰え、脳が衰退していくという研究結果もあることから、便利さを優先するにはリスクがともなうということがわかります。

とくに、幼少期からのデジタル依存は脳の発達に良くない影響を及ぼすため、なんでもかんでもスマートフォンで調べて解決するという習慣はおすすめできません。

日常のなかの疑問はできるだけ親子で一緒に考え、ともに解決までの道のりを進むことで、その経験は子どもの記憶に残り続けるでしょう。忙しい毎日を送っている親御さんも、1日のうちほんの数分だけでも子どもとの会話を深める時間を作ってみませんか?

「辞書引き学習」に見る子どもたちの変化

では具体的に、わからない言葉を辞書で調べるメリットについて見ていきましょう。

無数の付せん紙によってパンパンに膨らんだ国語辞典が強烈なインパクトを与える「辞書引き学習」の生みの親であり、多数の著書やメディアでもおなじみの深谷圭助氏は、次のように述べています。

新しい言葉と出会うことで「これは何だろう?」と疑問に思い、調べるようになります。疑問に思ったら調べる癖がつくことは、自ら問題を解決する力の獲得ともいえます。これは生きていくうえでとても大切な力です。

(引用:3M|正しい「辞書引き」学習法とは?

最初のうちはひとつの言葉を調べるのに時間がかかり、苦戦している様子の子どもたち。しかし、調べた言葉に付せんをつけて、その付せんの数が増えるにしたがって自分の知識量が可視化できるようになると、辞書を引く意欲や達成感を実感できるようになるのです。

それこそが、「自分で調べる力」「問題解決能力」を鍛えることにつながっていくというわけです。

それだけではありません。深谷氏とベネッセの共同研究により、辞書引き学習は国語の学力や読書量にも影響を与えていることがわかったのです。


(引用:舟を編むニュース|『舟を編む×辞書出版社11社タイアップ』最終回「チャレンジ小学国語辞典」プレゼント企画に寄せ、Benesse様より寄稿を頂きました

そもそも子どもは好奇心が旺盛であり、「知りたい」気持ちが溢れているもの。そんな子どもの好奇心という知の欲求を満たすことで、好奇心を思考力や読解力に結びつけることができるのです。

辞書を引くことが習慣づくまでは大変かもしれませんが、一度習慣として身についてしまえば、子どもは自分からどんどん知的好奇心を満たそうとするでしょう。

子どもに辞書。いつ与えるのがベスト?

では辞書引きを習慣づけるには、何歳から始めるべきなのでしょうか。

現在辞書を使用した学習は、小学校3年生から始まります。しかし、深谷氏は「1年生こそ国語辞典を使うべき」と力説します。その理由として、次のように述べています。

小学校低学年の時期こそ「言葉の吸収力」がピークに達するといっていいからです。学ぶ意欲が高い時期に、辞書を与えて子供が好きなだけ学ぶ機会を提供する。そうすれば、自ら学び、自ら考え、自ら答えを導く面白さに気づくはずだ。

(引用:Benesse|「辞書引き学習」のススメ

小学校に入学すると同時に、子どもたちは本格的に文字を習うようになります。「ことば」への関心が高いこの時期は、いわばスポンジのような状態であり、文字を読むことや書くことに意欲を持って取り組み、どんどん吸収していきます。

「まだ早いかな?」「うちの子には難しいかな?」なんて考えずに、総ふりがな付きの辞書を一冊用意してあげてみてはいかがでしょうか。私たち大人が思っている以上に、子どもたちには「学びたい・知りたい」欲があります。お子さんの可能性を信じて、伸ばしてあげましょう!

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書店の辞書コーナーを眺めていると、子ども向けの辞書のバリエーションの豊かさに驚かされます。おなじみのキャラクターが描かれているもの、オールカラーのもの、パラパラとめくっているだけでもワクワクさせられます。ぜひお子さんと一緒に辞書選びをしてみましょう。きっとお気に入りの一冊が見つかるはずですよ。

(参考)
認知症で要介護にならない脳トレ予防の老年若脳|14%が若年性認知症になるデジタル認知症とは
3M|正しい「辞書引き」学習法とは?
舟を編むニュース|『舟を編む×辞書出版社11社タイアップ』最終回「チャレンジ小学国語辞典」プレゼント企画に寄せ、Benesse様より寄稿を頂きました
Benesse|「辞書引き学習」のススメ