からだを動かす/バレエ 2018.3.27

子どもが確実に変わる! 強い心と自己アピール力を育むバレエの効果

編集部
子どもが確実に変わる! 強い心と自己アピール力を育むバレエの効果

バレエのレッスンを続けることによって、身体面だけではなく精神面でも子どもたちに大きな影響を及ぼします。けれどもそれは目に見えず、すぐには実感として得難いものであるのもたしかです。姿勢がよくなったり身体が柔らかくなったりするように、頭の中や心の中で子どもたちに良い変化をもたらしているとしたら、それはどのようなものなのでしょう。

ここでは実際にバレエを習っている子どもや保護者の経験談、そしてプロとして活躍された方たちが実感している「精神面で得られたメリット」をご紹介していきます。

普段のレッスンで身につくもの

1.“礼で始まり礼で終わる” 礼儀と感謝の気持ちが身体に染みつく

バレエでは最初と最後に必ず『レヴェランス(おじぎ)』があります。まるで武道のようですが、礼儀というものを重んじるのはバレエも同じ。教えてくれる先生への感謝、一緒にレッスンを受ける仲間への感謝、バレエを習う環境を与えてくれる親御さんへの感謝……それらが自然と身につくことで、お子さんの日常生活にも大きな影響を与えています。

また親への感謝という点においては、世界的なバレリーナとして活躍された吉田都さんはインタビューでこのように語っています。

バレエの世界は、母親の気力、体力がどこまで持つかにかかっていると思います。プロになると別ですが、子どもの頃は舞台の度に、衣裳の飾り付けから髪結いまで、母親がやるわけですしね。衣裳ひとつとっても、夜なべしてようやく出来たと思ってバレエの先生にそれを見せたら、「う~ん、ちょっとイメージと違うからもう一度、作りなおして」なんて言われてしまったり。それは本当に大変だったと思います。

(引用元:Lenajapon|Kanimamanの元気人対談vol.5

バレエという習い事はとにかく親の協力が必要不可欠です。子どもたちはそんな親の姿を側でずっと見ているからこそ、感謝の気持ちが自然と芽生えてくるのでしょう。

さらに、親子で一緒に同じ目標に向かって進んでいくという経験や、「お母さんはわたしを応援してくれている」という安心感は、親子の信頼関係を深めることにもつながっていくはずです。

2.神経を研ぎ澄まして学ぶ姿勢が集中力を培う

老舗バレエ用品メーカー・チャコットのアンケートによると、実際にバレエのレッスンに通っているお子さんをお持ちの保護者の方からは「集中力がついた」という意見が圧倒的に多かったようです。

その原因として、次のようなことが考えられます。バレエで学ぶテクニックや型は非常に多く、それゆえに注意深く先生の指導に耳を傾けていなければすぐに取り残されてしまいます。レッスンについていくためにも、さまざまな技術を習得するためにも、同時に集中力を高める訓練ができているのでしょう。

幼いころからしっかりと集中する力を磨いておくことで、成長後も他のスポーツや勉強面でその能力を発揮できるようになるはずです。

3.努力することの大切さを身をもって知る

才能さえあればバレエは上達する? いいえ、どんなに著名なバレリーナに聞いても「日々の努力」こそが結果を生み出していると説きます。バレエのレッスンでは毎回しっかりと基礎練習をします。バーを使って何度も何度も同じ動きを繰り返してこそ、難しい振りをマスターできるのです。

一日レッスンを休めば取り戻すのに何倍もの時間と労力が必要であること、怠ければ怠けた分だけ自分が苦しむこと、それらはプロを目指していなくても実感できるといいます。

努力は自分の能力を高める基礎になるのだということを、子どもたちはバレエのレッスンを通して学んでいけるでしょう。

舞台に上がることで身につくもの

1.大舞台で実力を発揮できる度胸と強い精神力

バレエの技術が上達するにつれて、発表会やコンクールなど人前に出て踊る機会が圧倒的に増えてきます。どんなに緊張していても、どんなに不安でも、発表会となればステージに上がらなければなりません。その経験を重ねるうちに、次第に度胸が備わってくるといいます。

最初のうちは緊張から実力を発揮できなかったとしても、少しずつ自信がつき、日々の練習で培った実力を発揮できるようになるでしょう。

2.子どもが本来もつ積極性が表面化される

日本人バレエ・ダンサーとして国際的に高い評価を得ている中村祥子さんは、普段の自分とは真逆な自分になれるバレエの世界観について、次のように語っています。

小いときはわりと内気な性格だったんですが、バレエをしているときはそれとは真逆な自分がいて、内なものをオープンにできたんですよね。バレエのファンタジーな世界観に入り込んでいくのが居心地よくて。(中略)それにバレエの発表会でも、衣裳をつけ、お化粧をしてもらってティアラをつけて、それで「パン!」とスイッチが入るような感覚があって。緊張よりも気持ちよさを感じていましたね。

(引用元:CINERA.NET|世界を舞台に踊る日本人バレリーナSHOKOインタビュー

引っ込み思案で自分の気持ちを表現することが苦手な子も、バレエという言葉を使わない身体表現だからこそ、自分の内面をさらけ出せるのかもしれませんね。

また、学校生活や友人関係で悩みを抱えたときにも「自分らしくいられるもうひとつの場所」として、バレエの舞台は大きな役割を果たしてくれるでしょう。

3.「最高の自分」を表現するアピール力

これからの時代に求められるものは、自分をアピールする能力。2020年から新たに導入される学習指導要領では、子どもが主体的に考え、積極的に他者と議論する能力を高めるなど、いわゆる『アクティブ・ラーニング』を目指しています。

一昔前までは、集団から外れないことや悪目立ちしないように控えめであることが好まれてきました。しかし今や自分の意見を堂々と主張できる人間に育てるための教育へと変化しているのです。

バレエのステージでは、誰もが自分の最高のパフォーマンスを披露することを目標とします。つまり、舞台に上がるときには、最高の自分を表現できるレベルに到達できていなければならないのです。これまで練習を重ねてきた成果を発揮するために、そして大勢の観客や応援してくれている家族のために、自信を持ってステージに臨みます。

もしかしたら失敗するかもしれない、恥をかくかもしれない……そんな不安に打ち勝ち、自分をアピールできる力を身につけることで、これからの時代に求められる人間へと確実に近づくことができるでしょう。

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バレエの奥深さは、実際にレッスンを受けなければわからないことばかりです。また身体の変化と違い、内面的な成長は目には見えずに実感しづらいもの。しかし多くの有名なバレエダンサーが語るように、続けることで確実に人間性が高まり、精神面での成長を感じ取ることができるはずです。

(参考)
「クララ」,新書館,2018年4月号,p49
chacott はじめてバレエ|バレエをはじめたいキッズ&ママ・パパへ
Lenajapon|Kanimamanの元気人対談vol.5
CINERA.NET|世界を舞台に踊る日本人バレリーナSHOKOインタビュー